トヨタ、ソニーのEVカー戦略の違い CES2020
ラスベガスで開催されているCES2020の会場からのリポート。
■トヨタの『WovenCity』構想
トヨタCEO豊田章男氏は、『WovenCity(ウーベンシティ)』構想を発表した。静岡県の東富士の工場跡地に未来都市を建設するという。
かつて発表した『イーパレット』などが実際に走る街を作るという。
この構想を聞いた時にウォルト・ディズニーの1960年代の『EPCOT』構想を想いだした。ディズニランドで1日、ディズニーワールドで一ヶ月、そしてEPCOTでは一生を過ごせるという未来都市計画だった。
EVカーによる自動運転は、進化をするが、実証実験を自治体と進めようにも法的な整備がなかなか追いつかない。…であれば、工場跡地という私有地において、未来都市を一気に実現してしまおうという計画だ。技術よりも重要なのは経験値であったりする。実際に『イーパレット』などを走らせることによっての知見が得られることは大きい。EVカーによる自動運転で人はクルマに何を求めるのか…。ハンドルやドライバーがいない空間が移動することによってのアドバンテージが何なのか?新産業として新たな『モビリティカンパニー』としてのトヨタの挑戦を感じることができた。
実際にこのプロジェクトが実現できると大きな日本の先進性が発揮されることだろう。
■ソニーのセンサーを搭載した『ソニーカー』の発表
今回のCES2020で一番の注目を集めたのは、ソニーの発表した『VISION-S』だろう。
EVカーであればソニーが作ってもおかしくない。しかし、あのソニーがクルマを発表するということに衝撃を覚えた。しかしながら、ソニー側には、世界で一番売れているカメラセンサー技術があり、自動運転カーに必要な技術をすでに開発していることによって参入も容易だが、むしろパーツ供給の総合的なデザインの指針としてのソニーカーの発表だったようだ。ソニーはパーツを提供することによってのビジネスモデルが確立しているので、わざわざEVカーを自ら販売する必要はない。
しかし、参考展示でありながらも、ディスプレイなどのこだわりは、自動車メーカーにはないソニーならではの先進性を感じることができた。また、クルマのデザインとしても、ソニーが作るとこんなクルマになるのかというフォルムであった。
■ヒュンダイ(現代自動車)はUBERと共に空飛ぶタクシーを発表
ヒュンダイはUBERと共に、空飛ぶタクシーのビジョンを発表した。自動車はついに空を飛ぶ時代へ向けて、UBERと一緒にシェアリングで活用するという手法を発表する。
■どこの企業も似たようなコンセプトばかりだった…
LGのEV
BOSCHのEV
しかしながら、ビジョンの発表としてのCES2020は、全自動のEVカーからドローンタクシーまでとハンドルのない空間としてのパレットEVと、どこの会社もビジョンが酷似している気がして仕方がなかった…。
ビジョンと目標だけではなく、そろそろ実証実験をスタートしないと、単なるビジョンの発表会にしかすぎない気がしてきている。どの企業も参考出品と言う名の作る気のない発表だらけだった。