Yahoo!ニュース

オートバイのあれこれ『これがホンダのやり方。6気筒レーサー』

Rotti.モトエンスー(moto enthusiast)

全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。

今日は『これがホンダのやり方。6気筒レーサー』をテーマにお話ししようと思います。

1959年(昭和34年)のマン島TTレース出場を皮切りに、WGP(ロードレース世界選手権)へ本格的に参戦し始めたホンダ。

60年代のWGPにおけるホンダの大活躍は、オートバイレースが好きな人ならよくご存知のことでしょう。

その栄光の時代を支えたホンダのマシンのひとつが、『RC174』です。

▲GP350レーサー・RC174〈1967/画像引用元:本田技研工業〉
▲GP350レーサー・RC174〈1967/画像引用元:本田技研工業〉

RC174の見どころは、並列6気筒エンジンを搭載していたこと。

ホンダは当時、4ストロークエンジンでライバルの2ストマシンへ対抗するため、回転数を上げられる多気筒化戦略を取りました。

125cc5気筒の『RC148』や50cc2気筒の『RC116』等は、その戦略の象徴的なマシンといえるでしょう。

RC174も、そのなかで生まれてきた1台になります。

▲約300ccで6気筒!内部構造はまさに精密機械〈1967/画像引用元:本田技研工業〉
▲約300ccで6気筒!内部構造はまさに精密機械〈1967/画像引用元:本田技研工業〉

RC174は350ccクラス用のマシンだったわけですが、ホンダはあえて排気量を“目一杯”にはせず、297ccに抑制。

その狙いは、各シリンダー内における燃焼(爆発)をなるべく小さくして振動を軽減することでした。

振動を抑える(=エンジンから発生する余計なエネルギーを抑制する)ことができれば、エンジンを支える周囲のパーツも簡素に済ませることができ、これによって車体全体のコンパクト化・軽量化を狙っていたのです。

このホンダの策は功を奏し、RC174は排気量縮小によるパワーロスを補って余りある俊敏な運動性を獲得。

当時のWGPではイタリアのMVアグスタが手強い存在でしたが、ホンダのライダーだったマイク・ヘイルウッドはこのRC174のキレ味鋭いハンドリングを存分に活かして勝利を重ね、結果的にシリーズ全8戦中6勝を記録。

RC174は見事、1967年シーズンの350ccクラスのチャンピオンマシンとなったのでした。

▲RC174と共に世界王者となったM・ヘイルウッド選手〈画像引用元:本田技研工業〉
▲RC174と共に世界王者となったM・ヘイルウッド選手〈画像引用元:本田技研工業〉

モトエンスー(moto enthusiast)

バイクを楽しむライター。バイク歴15年で乗り継いだ愛車は10台以上。ツーリング/モータースポーツ、オンロード/オフロード、最新バイク/絶版バイク問わず、バイクにまつわることは全部好き。

Rotti.の最近の記事