【オートバイのあれこれ】MAZDAではなく…SUZUKIのロータリーエンジン!
全国1,000万人のバイクファンへ送るこのコーナー。
今日は「MAZDAではなく…SUZUKIのロータリーエンジン!」をテーマにお話ししようと思います。
「ロータリーエンジン」
この単語を聞いて、おそらく大半の人はMAZDA(マツダ)のクルマを最初に思い浮かべるのではないでしょうか。
マツダは、1967年(昭和42年)に量産型ロータリーエンジン(RE)を搭載した『コスモスポーツ』をリリースして以降、『ルーチェ』『サバンナ』『RX-7』等のモデルにREを載せ、その歴史を紡いできました。
“ロータリーエンジン=MAZDA”
という等式は、ほとんどの人が異論なく認めるところかと思います。
ただ、このREを実用化していた日本メーカーは、実はマツダだけではありません。
スズキも、REを搭載した市販量産車(バイクですが)を作っていたのです。
そのRE搭載車が、『RE-5』でした。
スズキは’70年(昭和45年)に西ドイツのNSU社およびバンケル社とREに関する特許契約を結び、REを用いたオートバイの開発に着手。
約3年の開発期間を経て、’75年に「RE-5」の名でついに発売します。
RE-5に載せられたREは、排気量497ccの水冷式シングルローターで、最高出力62psを発揮。
それまで、ロータリーエンジンの二輪車が実用化された例はほとんど無く、RE-5はデビューするやいなや世界中から大いに注目を集めることになりました。
しかし、RE-5はデビュー時点で「儚い運命をたどることになっていた」と表現してしまってもあながち間違いではないかもしれません。
どういうことかと言うと、RE-5が登場する2年ほど前の’73年に石油危機(オイルショック)が発生しており、その影響から省エネ志向が世間に立ち込めるなか、燃費性能が決して良いとは言えないRE搭載車のRE-5は、順調には売れなかったのです。
結局RE-5は、当時の時流に弾き飛ばされるような格好で、わずか1年ほどで生産が中止されてしまいました。
REばかりにスポットライトが当たりがちなRE-5ですが、実はパワーユニット以外の部分にも見どころがあります。
RE-5の外観デザインは、なんとジョルジェット・ジウジアーロ氏が担当。
(この点に関しては、バイク好きよりもクルマ好きのほうが関心を示してくれそうです)
ジウジアーロ氏はイタリアの工業製品デザイナーで、デザイン会社『イタルデザイン』の創設者です。
マセラティやアルファロメオ、フィアットなど、欧州メーカーのクルマを主にデザインしたことで有名ですが、一方で日本車のスタイリングもいくつか担当しており、トヨタ『アリスト』やスバル『アルシオーネSVX』、いすゞ『ピアッツァ』などは、彼が手がけたものとして有名ですね。
基本的には“クルマの分野”の人であるジウジアーロ氏が、(珍しくも?)RE-5のデザインを描いたということですね。
RE-5は生産期間が1年しかなかったことから生産台数もかなり少なく、全世界で6000台ほどしか出回らなかったようです。
数が少ないという意味では、ホンダのCBやカワサキのZよりも「お宝度」が高いと言えるかもしれません。
画像引用元:スズキ/MAZDA/いすゞ自動車