火照った体に染みる優しいこし餡「特製水羊羹」に桜の香りと塩気をのせた鈴懸さんの優雅な涼味
まだまだ肌を刺すような日差しに体力を奪われる今日この頃。それでも、日没の時間が早まり、刻一刻と秋の訪れをゆっくりと感じられるようになりましたね。とはいえ、あくまでゆっくりと。エアコンを手放せない夜が続き、お風呂上りの体に纏わりつく肌着や髪の毛がうっとうしいと思う夜が続きます。
和菓子屋さんでは、丁度夏の和菓子と秋の和菓子の入れ替えの季節。ショーケースにはふたつの季節のお菓子が並んでいる、というところを見たことがあるのではないでしょうか。今回は、福岡県の名店「鈴懸」さんの水ようかんをご紹介しながら、涼を感じていただきたく。
スッと鼻腔に飛び込んでくる桜の葉の塩漬けが香り高い「特製水羊羹」。容器等から竹や笹の葉の清涼感に満ちた香りをうつした水羊羹は畳みかけますが、桜の葉というのはなかなか見かけないかもしれません。葛さくら、という葛餅の中にあんこを包んだお菓子はありますが、あちらはあくまでそういった形のもの。なかなかの好相性です。
表面は桜の葉の塩気をほんのりと宿しながらも、やはり上品でどこか甘美な芳香にうっとりとするような仕上がりに。二口目からは慎ましやかなこし餡の旨味やさらりとした甘味に加え、ほろほろっと軽やかにほどけていく寒天の食感も面白い。
一見するとしっかり固まっているように見えるのですが、舌先で崩れていく感覚と非常にあっさりとした味わいは、物足りないと感じるか丁度良いと感じるか好みが別れるところが非常に難しいところではありますが、喉を潤すという意味合いでは私は好み。お風呂上りやお酒を飲んだ後、ふうとひと息肩の力を抜きながら楽しみたい水羊羹です。
水羊羹といいますと、お中元の贈答品として頂く方もいらっしゃるかと思います。缶やプラスチックカップに入った長期保存可能な水羊羹もしっかりとした甘味がついて美味しいのですが、お日保ちが当日中の水ようかんもなかなか乙なもの。季節の変わり目に、シンプルな小豆の旨味で体を癒してみてはいかがでしょうか。
<鈴懸・本店>
公式サイト(外部リンク)
福岡市博多区上川端町12番20号 ふくぎん博多ビル1F
092-291-0050
9時~19時