カシメロがサウナで王座剥奪か 井上尚弥のバンタム級統一の行方に影響は
22日、イギリスのリバプールでボクシングWBO世界バンタム級タイトルマッチの開催が予定されていた。しかし、王者のジョンリール・カシメロ(フィリピン)が、英国ボクシング管理委員会(BBBofC)が定める医療ガイドラインの違反行為を行ったとして、出場できなくなった。
カシメロの王座剥奪
カシメロはイギリスに入国後、サウナを使用する映像を自身のYouTubeチャンネルにアップした。
英国ボクシング管理委員会は、試合直前のサウナの使用に厳格な規定を設けている。
動画を公開したことでタイトル剥奪という、自ら墓穴を掘ってしまう結果となった。
今回のバトラー戦は昨年12月に予定されていたものだ。しかし、防衛戦前日に体調不良を訴え、計量をキャンセル。
後日ウィルス性胃腸炎と診断され、王座の保持が認められた。
そして今回の試合に至ったわけだが、試合直前のトラブルで今回も中止となってしまった。
ボクサーと減量
カシメロは以前から減量苦が噂されていた。特にオフの時期は10キロ以上体重が増え、別人のような体をしている。
今回は順調に体重を落としていただけに、本人にとって予期せぬ事態だっただろう。
減量は長期的な視点を持って行えば、体に負担をかけずに体重を落とせるが、短期間で落とそうとすると、体や精神に悪影響を及ぼす。
試合直前に無理な減量をし、体を壊してしまう選手は少なくない。その原因の一つとして、水抜きが挙げられる。
水抜きは計画的に行えば、筋力を落とさずに短期間で効率的に体重を落とすことができる。練習で厚着をして動いたり、サウナや風呂を活用したりケースが多い。
しかし、あくまでもしっかりとした管理のもと行うことが前提だ。
現状、ほとんどのボクサーが減量を自己管理で行っている。1日で5キロ近く落とした選手もいると聞くが、急激に体重を落とすことは危険な行為だ。
そのために、医療ガイドラインも設けられている。
今回は、そのガイドラインの違反行為が問題になったが、事前に選手に通告するなど、十分な対応が必要になってくるだろう。
バンタム級の行方は
カシメロは以前からビッグマウスで井上尚弥を挑発していた。
両者は2020年の4月に対戦予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期。その後、何度か対戦の話も出たが結局実現はしなかった。
井上との因縁が続いていたカシメロだが、今回の騒動で試合をする前に離脱となりそうだ。
バンタム級の注目は、WBAスーパー&IBFと二つのベルトを持つ井上尚弥と、WBC王者のノニトドネアと3団体統一だ。
カシメロはその勝者との対戦を望んでいた。
井上も4団体統一戦を望み、その後は、スーパーバンタム級への準備を進める予定だったが、計画にズレが出てきそうだ。
カシメロと対戦予定だったバトラーは、同級4位ジョナス・スルタン(フィリピン)と暫定王座決定戦を行うことになった。
バトラー対スルタンはWBO暫定王座決定戦として行われるが、カシメロがタイトル剥奪になれば正規王座へ昇格される見通しとなるだろう。
井上のドネア戦以降となるが、階級を上げるのか、それとも統一戦に進んでいくのか、注目が集まる。