アメリカ主導の有志連合ドローンがシリア北西部をミサイル攻撃、アル=カーイダ系組織の外国人2人を殺害
反体制系サイトのEldorarやパン・アラブ系サイトのAlarabyが伝えたところによると、アメリカ主導の有志連合(生来の決戦作戦合同部隊(CJTF-OIR))に所属する無人航空機(ドローン)1機が10月15日、シリア北西部イドリブ県を移動中の車2台に対してミサイル攻撃を行った。
ミサイル攻撃が行われたのは、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構(旧シャームの民のヌスラ戦線)が軍事・治安権限を掌握するいわゆる「解放区」内、イドリブ市西のアラブ・サイード村に至る街道。韓国ヒュンダイ社のサンタフェ2台が狙われた。
「解放区」はまた、ロシア、トルコ、そしてイランを保証国とする停戦プロセスのアスタナ会議で「緊張緩和地帯」(de-escalation zone)に指定されており、ロシアとトルコが停戦監視にあたり、ロシアが領空権を握っている。
攻撃を受けた2台は炎上し、乗っていた3人、新興のアル=カーイダ系組織のフッラース・ディーン機構の幹部の1人で「若年層法務研究所」なる組織を監督していたエジプト人カーディーのアブー・ザッル・ミスリー氏、モロッコ人メンバーのアブー・ユースフ・マグリビー、そして子供1人が死亡した。
フッラース・ディーン機構は2018年2月にシャーム解放機構の離反者らが結成した組織。シャーム解放機構やトルコの支援を受ける国民解放戦線(シリア国民軍、TFSA(Turkish-backed Free Syrian Army))の支配下にあるイドリブ県、ラタキア県北東部、アレッポ県西部、ハマー県北西部のいわゆる「解放区」で停戦に反対の立場を取っている。
なお、英国を拠点とする反体制系NGOのシリア人権監視団や反体制系サイトのBaladi-Newsは攻撃を受けた車が1台だと発表している。また、攻撃を行ったドローンの所属についても「有志連合と思われる」として断定はしていない。
有志連合は9月14日にも、イドリブ市のクスール地区内を走行中のサンタフェに対して、空対地ミサイルR9X(通称ニンジャ)と見られるミサイルをドローンから発射し、乗っていたフッラース・ディーン機構のチュニジア人司令官を殺害している(「シリアでトルコ軍がクルド民族主義勢力、政府軍と地上戦を激化させる中、イスラエルと米国は各々の敵を爆撃」を参照)。
補足(10月17日)
米中央軍(CENTCOM)のベス・ライアーダン報道官(大佐)は10月16日、フォックス・ニュースに対して、米軍がイドリブ県でドローンによる爆撃を実施し、アル=カーイダの幹部2人を殺害したことを明らかにした。
(「シリア・アラブの春顛末記:最新シリア情勢」をもとに作成)