Yahoo!ニュース

ダブル台風発生へ、沖縄から本州付近へカーブするかは太平洋高気圧の盛衰次第

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
熱帯低気圧情報(ウェザーマップ)

強い勢力で沖縄直撃のおそれ

熱帯低気圧情報(ウェザーマップ)
熱帯低気圧情報(ウェザーマップ)

熱帯低気圧や台風の最新情報(気象庁発表)

タイトル画像にある通り、現在、フィリピンの西(南シナ海)と東に、ダブル熱帯低気圧が発生しています。これらの熱帯低気圧は、ともに今後24時間以内に台風へ発達する見込みで、発生すれば、台風3号と台風4号になります。どちらか先に発生した方が台風3号となり、もし同じ時間に発生すれば、南シナ海の熱帯低気圧が台風3号となります。

ダブル台風のうち、南シナ海で発生する台風は、タイトル画像にある通り、今のところ、日本への影響はほとんどなさそうですが、フィリピンの東で発生する台風は、沖縄などに大きく影響するおそれがあります。

海水温が30度以上ある暖かな海面上で発達し、予報円の真ん中を進むと、来週24日(水)から25日(木)頃に、強い勢力で、先島諸島付近に到達する予想です。その後の進路は、太平洋高気圧の盛衰によるところが大きくなっています。

太平洋高気圧は、弱まった後、盛り返す?

太平洋高気圧と台風の予想(筆者作成)
太平洋高気圧と台風の予想(筆者作成)

台風は一般に太平洋高気圧の中を割って進むことは出来ずに、その縁辺に沿って進むことが多くなります。上図は太平洋高気圧と今後発生が予想される台風の予想ですが、23日(火)の段階では、太平洋高気圧が沖縄付近まで張り出しているため、このままの状態が続くならば、台風は台湾から中国大陸へ進むようなコースとなるでしょう。

ところが25日(木)には太平洋高気圧が弱まり、沖縄付近に台風が北上する道が開けるため、台風はゆっくりと沖縄付近を北上する見込みです。ただその後は26日(金)夜のように、本州付近で再び太平洋高気圧が盛り返し、一気に強まる予想で、この高気圧に押されるように、やや西寄りに曲がりながら、北上する可能性が最も高くなっています。ですから、今のところ、本州付近へカーブしてくる可能性はかなり小さいと思われます。

九州接近は1割程度の計算

アンサンブル予報の一部抜粋(ウェザーマップ)
アンサンブル予報の一部抜粋(ウェザーマップ)

上図はアンサンブル予報における23日(土)午前9時の予想を一部抜粋したものです。先述したとおり、沖縄付近からはやや西寄りに北上する真ん中付近のコース計算が最も多く、半数程度を占めています。その他、最も西寄りのコースや最も東寄りのコースはともに1割から2割程度で、九州に大きく影響しそうな最も東寄りのコースは、今のところ、1割程度の計算となっています。

来週中頃にかけて40度のおそれも

予報と予想最高気温(ウェザーマップ)
予報と予想最高気温(ウェザーマップ)

少なくとも、来週中頃にかけては、関東から九州で35度以上の猛暑が続き、体温を上回る危険な猛暑となる所も多いでしょう。特に桐生や館林など、関東の内陸では39度という予想も出ていて、気象条件によっては、40度を上回る可能性もあります。

一方、沖縄の那覇は、23日(火)から27日(土)まで傘マークが並んでいて、先島諸島では大荒れとなるのはもしろん、今後発生する台風の勢力や進路によっては、那覇でも荒天となるおそれがあります。

来週の後半には、台風からの湿った空気の影響で、雲が広がりやすくなるため、猛暑はややトーンダウンする予想ですが、台風が逆に太平洋高気圧を強める働きをする可能性もあり、そうなれば、来週後半にかけても、危険な猛暑が続くおそれがあります。引き続き、熱中症に厳重に警戒し、今後の台風情報にも、十分ご注意ください。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

杉江勇次の最近の記事