“誤球”隠ぺいで韓国ツアー3年出場停止の20歳ユン・イナの処分はなぜ「1年半」に軽減されたのか?
昨年、韓国女子プロゴルフ界に激震が走った“誤球”騒動に新たな動きがあった。
この事件は2022年6月の韓国女子ゴルフメジャー「韓国女子オープン」の初日に起こった。当時19歳のユン・イナが誤球に気づきながらもそのままプレーを続け、大韓ゴルフ協会(KGA)には約1カ月後にメールで報告。
その報告が行われたのは、ユン・イナがツアー初優勝した大会の2日目で、最終日の優勝会見でも不正行為に触れなかったことものちに明らかになり、大バッシングを浴びていた。前代未聞の行為に大韓ゴルフ協会と韓国女子プロゴルフ協会(KLPGA)は、同協会それぞれが主管・主催する大会に3年間の出場停止処分を下し、ユン・イナは自粛を続けている最中だった。
そんな中、26日にKGAスポーツ公正委員会が、ユン・イナの3年間の出場停止処分を1年6カ月にすると決定したのだ。
米ミニツアーの賞金もすべて寄付
なぜ、処分は短縮されたのか? 韓国メディアが報じている同委員会の説明はこうだ。
「同選手は協会の決定に素直に応じ、懲戒処分後には約50時間の社会奉仕活動、米ミニツアーの13試合で獲得した賞金全額を寄付するなど、真摯(しんし)に反省している。また、救済を訴えるファンや選手など各界5000人以上の嘆願があったこと、さらに協会の懲戒処分が国内すべてのプロツアーの出場停止につながる重い処分だという世論を考慮した。出場停止期間を3年から1年6カ月に減らし、出場停止処分が終わる2024年2月18日まで社会奉仕活動50時間を追加する」
今回の報道で驚いたのは、復帰を望むファンや関係者が多かったことで救われたということ。もう一つは、ユン・イナが自費で米ミニツアーに出ていたことだ。選手の参加費で賞金を用意する規模の小さいツアーではあるが、実戦感覚を失わないようにゴルフは続けていた。
つまり、復帰を見据えていたわけだが、確かに20歳はプロゴルファーをやめるには早い年齢でもある。準備さえしておけば、いくらでも巻き返しは可能だろう。
KLPGAツアーの処分も短縮を検討?
これでユン・イナは「KGAが主管する大会」への早い復帰が可能となり、来年6月の韓国女子オープンには出場可能となった。ただ、韓国女子プロゴルフ(KLPGA)ツアーに関しては3年出場停止処分のまま。それでも今回の決定により、KLPGAも処分期間の短縮を検討する動きとなるかもしれない。
いずれにしてもユン・イナは、韓国女子ツアーに久しぶりに登場した大型新人で、身長170センチと恵まれた体格から放たれるドライバーの平均飛距離は約260ヤード。
才能豊かな選手だけに出場停止処分を残念がる関係者も多かったが、彼女自身が真摯に反省を続けてきた結果、復帰への道筋が見えてきた。また一からやり直して、プレーでギャラリーを沸かせる日が来るのかに注目しておきたい。