年俸と勝利数から見た費用対効果 日本シリーズは格差対決
ドラフト、戦力外通告の話題を目にするこの時期、来季へ向けたフロントの戦いはすでに始まっている。
球団収入の柱となる入場料、放映権料、グッズ販売などは未知数な部分もあるが、大きな支出となる選手年俸はシーズン前に決まる。
球団経営にとってやっかいなのは、このいくら入ってくるかわからないのに払う額は決まっているということ。となれば理想は「少ない年俸でたくさん勝つこと」が望ましい。
年俸を勝利数で割れば各球団の費用対効果が見えてくる。
チーム別年俸は選手会のホームページを参照したが、外国人選手は含まれていないため今季の推定年俸を合算した。必ずしも正確な金額では無いのであくまでも参考、目安程度に。
総年俸、勝利数、1勝当たりの年俸
巨人 43億2710万円 84勝 5151万円
阪神 29億8760万円 73勝 4092万円
広島 20億6800万円 69勝 2997万円
中日 33億7160万円 64勝 5268万円
DeNA 24億0470万円 64勝 3757万円
ヤクルト 23億5550万円 57勝 4132万円
年俸は過去の貢献も加味されたものだが、今季に限って言えばベテランの多い中日が苦しんでいる。
対象的に、最も効果的な投資をしたのは広島。今季、規定打席に到達したのはキクマルコンビの2人だけ。年俸は丸が2300万円、菊池が1500万と格安。2人合わせてようやくプロ野球選手の平均年俸3733万とほぼ同じになる。高額なスター選手を追うのではなく素材型の選手を獲って自前で育てる、という方針が実を結びペナントレースを盛り上げた年だった。
楽天 22億9970万円 82勝 2804万円
西武 23億9330万円 74勝 3234万円
ロッテ 23億9430万円 74勝 3235万円
ソフトバンク 32億7150万円 73勝 4481万円
オリックス 25億3750万円 66勝 3844万円
日本ハム 25億4870万円 64勝 3982万円
CSファイナルステージを勝ち上がり日本シリーズを戦うのは両リーグの覇者となった。戦力の充実ぶりから巨人有利の声が多いが、年俸面からもその差は歴然。楽天の年俸総額は巨人の約半分で差額は約20億円。実績ある選手が集まれば勝利に近づくのは当然、限られた予算でいかに戦力を揃えるかというのはフロントの腕の見せ所。もし広島VS楽天の日本シリーズが実現していれば、年俸面からの“下克上対決”となっていた。打者と投手の対戦成績に加えて、推定年俸を比べながらの観戦もおもしろいかもしれない。