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山川穂高が異例の決断。全143試合で4番なのに、フェニックスリーグ参戦の理由を語る

田尻耕太郎スポーツライター
今春キャンプ時に撮影した山川穂高

 ソフトバンクの山川穂高内野手が自身初の日本シリーズ出場、そして日本一に向けて異例ともいえる調整でポストシーズンに臨む決意を口にした。

 10月7日から宮崎県内で行われるみやざきフェニックスリーグの一部日程に参戦する意向を示したのである。

 みやざきフェニックスリーグは主体の秋季教育リーグ。ポストシーズンに進出したチームの主力が調整で参加するケースもあったが、今回のソフトバンクはチーム全体としてそれを行うわけではない。山川は自ら志願して宮崎行きを決めたのだという。

レギュラーシーズンはチーム唯一のフル出場

ホークスのレギュラーシーズン最終戦のスタメンボード
ホークスのレギュラーシーズン最終戦のスタメンボード

 山川はレギュラーシーズン最終戦となった4日のロッテ戦(みずほPayPayドーム)も4番ファーストで先発出場した。0打点に終わって2019年(120打点)以来の自身3度目の100打点には惜しくも届かず「残念でしたね」と苦笑いを浮かべたが、34本塁打、99打点で打撃2冠獲得は確実視されている。なによりチーム唯一の全試合出場、そして全試合で4番に座ってチーム4年ぶりリーグ優勝の原動力になった。

「いま、正直非常に疲れてはいます」

 チームの1軍は2日間の全体休養を経て、週明けから今月16日に開幕するCSファイナルに向けてみずほPayPayドームで始動する。山川は休み明けから間もなく宮崎に飛ぶ予定のようだ。

「フェニックスリーグは朝早いじゃないですか。また初心に返れるかなと。キャンプと同じホテルに泊まって。今年の1月31日、ホークスの一員として初めてそのホテルの部屋に入った時にしびれた印象があった。部屋が広くてびっくりしたのもあったんですけど、段ボールを開けてユニフォームを取り出して。そんな記憶があるんです。疲れてはいるけど、よしもう1回頑張ろうと。フェニックスリーグで打席に立って、そこで打った打たないで(CS)の調整にどうつながるか分からない部分もありますが、心持ちのところですね。今年はここから始まったんだなという気持ちを思い出してみたかったんです」

自身初の日本一へ

 山川は西武時代、2018年と2019年にリーグ連覇を経験しているが、CSでは奇しくも現在在籍しているソフトバンクに敗れて日本シリーズ進出を果たせなかった。

 それでも、2017年のファーストステージも含めてCSは全12試合に出場して40打数13安打、打率.325、3本塁打、5打点と決して悪くない成績を残している。

「(短期決戦は)今より集中力は増すと思います。もちろんシーズンも集中力はありますけど、集中力って自分が自発的に行える部分だけでなく、周りの要素が必要な部分もある。その雰囲気にいい意味で入って、プレーできたらいいと思います。ただ、意気込みまくっても、なるようにしかならない。だから準備できるところは準備をして臨みたい」

 打撃2冠にも満足感はなし。自身初の日本一という頂に向かって、山川は最善を尽くすつもりだ。

(※写真はすべて筆者撮影)

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。「Number web」でのコラム連載のほかデイリースポーツ新聞社特約記者も務める。2024年、46歳でホークス取材歴23年に。 また、毎年1月には数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。

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