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昨年の最多勝投手を放出し、交換に通算39登板で防御率9点台の投手を獲得する。トレードは1対1

宇根夏樹ベースボール・ライター
カイル・ライト Apr 27, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 11月17日、アトランタ・ブレーブスとカンザスシティ・ロイヤルズは、1対1のトレードを成立させ、右投手と右投手を交換した。

 ブレーブスからロイヤルズへ移ったカイル・ライトは、2017年のドラフト全体5位。ライトと球団を入れ替わったジャクソン・コワーは、2018年の全体33位だ。現在の年齢は、28歳と27歳。ちなみに、誕生日は、10月2日と4日だ。

 メジャーリーグ6年目の今シーズン、ライトは、肩の故障に泣かされた。だが、昨シーズンは180.1ニングを投げ、奪三振率8.68と与四球率2.65、防御率3.19とブレイク。両リーグ最多の21勝を挙げた。

 一方、コワーは、まだブレイクしていない。メジャーリーグでは、3シーズンの計39登板、74.0イニングで防御率9.12だ。今シーズンは、23登板で28.0イニングを投げて防御率6.43。AAAの45.1イニングも、防御率は5.96と高かった。

 先月、ライトは、肩の手術を受けた。来シーズンは、リハビリが順調に進んでも、ほぼ全休だろう。2026年のオフにFAとなるので、それまでに投げられるのは、実質的に2025年と2026年の2シーズンだ。コワーは、2028年のオフまでFAにならない。

 ブレーブスは、ライトと引き換えに、ライトよりも長く保有できるコワーを手に入れた。スタットキャストによると、今シーズン、コワーの4シームは、平均96.9マイルを記録している。制球さえ定まれば――それが大きな課題ではあるものの――セットアッパーにもなれそうだ。先発投手として台頭する可能性も、完全に潰えてはいない気がする。

 ちなみに、コワーの制球難は、今シーズンに限ったことではない。振り返ると、メジャーリーグ初登板は、その後を象徴するような投球だった。それについては、こちらで書いた。

「史上最も「ワイルド」なデビュー!? 初登板の初回に3暴投」

 ロイヤルズが望んでいるのは、言うまでもなく、2025年のライトの復活だ。そのため、来シーズンは、登板しそうにないライトに年俸を支払う。

 なお、このトレードと同じ日に、ロイヤルズは、金銭と交換に、ブレーブスからニック・アンダーソンを獲得した。こちらは、33歳のリリーフ右腕だ。今シーズンは、2年ぶりにメジャーリーグで投げ、35.1イニングで防御率3.06を記録した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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