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ワールドシリーズ中のDバックスが、エンジェルスから25歳の投手を獲得する

宇根夏樹ベースボール・ライター
クリス・ロドリゲス Jun 11, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 10月30日、ワールドシリーズの第3戦が始まる前に、アリゾナ・ダイヤモンドバックスは、ロサンゼルス・エンジェルスからクリス・ロドリゲスを手に入れた。

 エンジェルスがロドリゲスをウェーバーにかけ、ダイヤモンドバックスが獲得の名乗りを上げた。ロドリゲスは、エンジェルスとエンジェルスのファンに向けた感謝のメッセージを、Xに書き込んでいる。

 もちろん、この時点で加入しても、ワールドシリーズに出場することはできない。ダイヤモンドバックスの選手たちが今年のワールドシリーズ優勝をめざしてプレーしている最中も、フロントはその先を考えている、ということだ。

 ロドリゲスは、2016年のドラフトで4巡目・全体126位指名を受け、エンジェルスに入団した。メジャーリーグで投げたのは、2021年の1シーズンだけ。開幕ロースターに入り、リリーフ13登板と先発2登板の計29.2イニングで、奪三振率8.80と与四球率4.55、防御率3.64を記録した。

 メジャーデビュー前から、ロドリゲスは故障が多く、2021年も、降格だけでなく離脱した時期がある。また、ここ2シーズンは、肩の故障により、全休に近かった。2022年はまったく投げず、今年は9月にAとAAAで計3登板。しかも、オレンジ・カウンティ・レジスターのジェフ・フレッチャーによると、シーズンが終わる前に腰を痛めたという。

 ただ、ロドリゲスは、まだ25歳と若い。次の誕生日は、来年の7月下旬だ。スタットキャストによると、2021年に投げた318球のシンカーは、平均95.8マイル。コンスタントに、90マイル台後半を記録していた。

 今シーズン、ダイヤモンドバックスでは、ザック・ギャレンメリル・ケリーがどちらも175イニング以上を投げて防御率3.50未満ながら、彼らに次ぐ、ローテーションの3番手以降が弱かった。ワールドシリーズ第3戦の先発マウンドに上がったブランドン・フォートにしても、先発19登板とリリーフ1登板の96.0イニングで防御率5.72だった。

 ロドリゲスが来シーズンのローテーションに入るかどうかはわからないが、健康を維持することができれば、その候補の一人になり得る。あるいは、ブルペンの一角を占めてもおかしくない。

 エンジェルスがロドリゲスをウェーバーにかけたのは、40人ロースターの枠を空けるためだろう。だが、こちらの投手陣も万全ではない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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