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夏のトレードでエンジェルスが放出するのは…。エステベスは確定、レンヒーフォやウォードは!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
左から、T.ウォード、L.オホッピー、L.レンヒーフォ Jun 28, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ロサンゼルス・エンジェルスは、この夏のトレード市場で売り手に回る。今年のトレード・デッドラインは、7月30日だ。

 7月19日が終わった時点で、エンジェルスは、借金15を抱えている。地区首位のヒューストン・アストロズとの差は10.0ゲーム、ワイルドカードの3番手に位置するボストン・レッドソックスはさらに遠く、12.5ゲームの差がある。エンジェルスの勝率.423(41勝56敗)は、ア・リーグで3番目に低い。エンジェルスは、7月19日に続き、20日もオークランド・アスレティックスに敗れた。

 夏のトレードは、多くの場合、ポストシーズンへ進めそうにない球団とポストシーズン進出あるいはその先のワールドシリーズ優勝をめざす球団の間で行われる。主力選手を放出する前者が売り手(セラー)、その選手を獲得する後者は買い手(バイヤー)だ。主力選手と交換に、売り手の球団は、買い手の球団から若手を得る。

 エンジェルスのブルペンには、クローザーのカルロス・エステベスをはじめ、今オフにFAとなる投手が少なくない。外野手のケビン・ピラーも、今オフにFAだ。エンジェルスが彼らを手放そうとしない理由は、どこにもない。ブルペンについては、今月中旬にこちらで書いた。

「エンジェルスにもうすぐ新クローザーが誕生する!? 104.5マイルは今シーズンの全投手最速」

 また、先発投手のタイラー・アンダーソングリフィン・キャニングに、内野手のルイス・レンヒーフォは、来オフにFAとなる。彼らも、この夏に放出の可能性はある。

 外野手のマイク・トラウトが復活すると信じ、来年のポストシーズン進出をめざすなら、この夏にアンダーソンらを放出しない、という選択肢もある。けれども、数年後を見据え、捕手のローガン・オホッピーや遊撃手のザック・ネトを中心としたチーム作りをする場合、来オフにFAの選手も、今夏の放出候補となる。

 トラウトの契約は2030年まで。来月初旬に33歳の誕生日を迎える。オホッピーとネトは、それぞれ、2028年のオフと2029年のオフにFA。現在の年齢は、24歳と23歳だ。

 防御率5.20のキャニングはともかく、防御率2.97のアンダーソンと出塁率.358&OPS.800のレンヒーフォは、買い手を見つけることができるだろう。レンヒーフォは、一塁以外の内野だけでなく、外野も守る。昨シーズンまでの通算448試合で18盗塁に対し、今シーズンは22盗塁を記録している。

 アンダーソンとレンヒーフォに加え、外野手のテイラー・ウォードも、放出はあり得る。ピッツバーグ・ポスト-ガゼッタのノア・ハイルズは、ピッツバーグ・パイレーツがウォードに興味、と報じている。また、ピッツバーグのラジオ局の番組、93.7ザ・ファンでホストを務めるポール・ザイスによると、エンジェルスとパイレーツは、ウォードのトレードについて話し合っているという。

 ウォードは30歳。FAになるのは、2026年のオフだ。エンジェルスは、あと2シーズン以上保有できるが、その見返りとして、オホッピーやネトとともに次代のコアとなるポテンシャルを持つ若手を得られるのであれば、ウォードを手放すのも一策のような気がする。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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