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ゲーム音楽配信サービス「Nintendo Music」 今後に与える影響は #専門家のまとめ

河村鳴紘サブカル専門ライター
「Nintendo Music」の公式サイト

 任天堂が31日、スマートフォン向けのゲーム音楽配信サービス「Nintendo Music(ニンテンドーミュージック)」の配信を始めました。同サービスの狙いや見通しについて考えてみます。

ココがポイント

Nintendo Music 紹介映像

使い勝手を編集部記者がさっそく試してみた(中略)ゲーム作品数はそれほど多くないものの、それでも現時点で満足度は十分に高い
出典:PHILE WEB 2024/10/31(木)

2021年の世界のビデオゲームミュージック市場規模は13億910万ドル(中略)多くのメリットをもたらす大規模な成長市場
出典:Business Research Insights 2024/10/14(月)

メディアも評論家もほとんどゲーム音楽を相手にしようとしなかった1980〜1990年代と比べると、隔世の感がある
出典:WIRED 2022/09/16(金)

エキスパートの補足・見解

 テレビゲームを彩るゲーム音楽は、シンプルなメロディーゆえか、特に誕生の初期は評価されづらい一面がありました。しかし今は、本格的な演奏会を開催するのも普通になりました。ゲーム音楽が東京五輪で使用され、グラミー賞がゲーム音楽部門を設ける時代になったのです。

 一方でゲーム音楽が、コンテンツビジネスとして十分に活用されてきたかと言えば、ノーでしょう。2030年には現在の2~3倍になるという調査会社の予測もあります。となればゲーム音楽をより積極的に活用するのは、当然の戦略です。

 ただし「Nintendo Music」の狙いは、収益を増やすよりも、ユーザー囲い込みの一環と見るべきでしょう。具体的には、コンテンツと利用者の接触点を増やしつつ忠誠心を高め、任天堂の有料ネットワークサービス「Nintendo Switch Online」の会員増を促すツールです。そして有料サービスの安定収益は、ヒットに左右されがちなゲーム会社にとってありがたいのです。

 なお、昨年にソニーグループのソニー・ミュージックレーベルズが、ゲーム音楽に目を付けたプロジェクト「SACRA GAME MUSIC」をスタートさせています。ソニーと任天堂が動けば、コンテンツ業界の今後に影響がないはずはありません。ゲーム会社は、コンテンツ市場で優位に戦うため、よりゲーム音楽を活用する動きを見せるのではないでしょうか。

サブカル専門ライター

ゲームやアニメ、マンガなどのサブカルを中心に約20年メディアで取材。兜倶楽部の決算会見に出席し、各イベントにも足を運び、クリエーターや経営者へのインタビューをこなしつつ、中古ゲーム訴訟や残虐ゲーム問題、果ては企業倒産なども……。2019年6月からフリー、ヤフーオーサーとして活動。2020年5月にヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞。マンガ大賞選考員。不定期でラジオ出演も。

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