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ソニーがKADOKAWAの筆頭株主に 買収でなく資本業務提携 今後は #専門家のまとめ

河村鳴紘サブカル専門ライター
ソニー本社(写真:イメージマート)

 ソニーグループは19日、KADOKAWAと資本業務提携を締結すると発表しました。ソニーが約500億円でKADOKAWAの新株を取得し、2021年に取得済みのものと合わせて約10%を保有、実質的に筆頭株主になります。発表について考えてみます。

ココがポイント

ソニーGは(中略)、取締役1人を派遣する予定だ。現時点で株式をさらに取得する予定はないという。
出典:日本経済新聞社 2024/12/19(木)

集英社のジャンプ系IPが爆発的なヒットをたたき出すのに対し、KADOKAWAは中規模ヒットのIPをコツコツと積み重ねる
出典:東洋経済オンライン 2024/11/26(火)

KADOKAWAは上場企業で、大きな株主も存在しない、時価総額も直近で5000億円前後と大き過ぎない。買収で狙われやすい
出典:現代ビジネス 2024/11/21(木)

IP創出事業群としてまとめて7つ目の事業セグメントを新設することです。ソニーグループが本業として異物を取り入れようと
出典:ダイヤモンド・オンライン 2024/11/22(金)

エキスパートの補足・見解

 ロイターの初報では、ソニーがKADOKAWAの買収へ協議……でした。結果は資本業務提携で、当初の衝撃を考えると薄れますが、妥当なところに着地したといえます。初報後に考察記事がいくつも出ましたが、両社の課題・不足部分を埋め合うなどと概ね評価されていました。

 ただしコンテンツの制作スタイルで、両社のスタンスに違いがあります。ソニーは世界でビジネスを展開することから、地域的なタブー、表現の潮流に対して敏感です。一方でKADOKAWAは出版社らしく、作家性を重んじる分先鋭的になるため、コンテンツ次第で海外展開に不向きなものも出るわけです。

 こうしたKADOKAWAの自由度、長所を生かすには、今回のような資本業務提携が妥当でしょう。ソニーはKADOKAWAのコンテンツを囲い込めますし、KADOKAWAもソニー側から後押しを受けやすく、大株主としても期待できます。

 現時点は、両社ともメリットが圧倒的に見えますが、企業規模の差は歴然としている分、ソニーの方針が変更になったときはどうなるか。今後ですが、ソニーのやり方と違うKADOKAWAの手法に、ソニーが理解を示し続けられるのかが問われそうです。

サブカル専門ライター

ゲームやアニメ、マンガなどのサブカルを中心に約20年メディアで取材。兜倶楽部の決算会見に出席し、各イベントにも足を運び、クリエーターや経営者へのインタビューをこなしつつ、中古ゲーム訴訟や残虐ゲーム問題、果ては企業倒産なども……。2019年6月からフリー、ヤフーオーサーとして活動。2020年5月にヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞。マンガ大賞選考員。不定期でラジオ出演も。

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