「台湾ラーメン」味仙 今池本店会長の郭明優さんが死去 「味仙」が店ごとに味が違う秘密とは?
愛知・名古屋にある「中国台湾料理 味仙 今池本店」の会長・郭明優さんが29日、多臓器不全で亡くなった。82歳だった。
郭会長は、名古屋のご当地ラーメン「台湾ラーメン」を考案、命名した人物である。
「台湾ラーメン」は台湾ミンチをのせたニンニクの効いた辛いラーメン。醤油ベースのスープに唐辛子でダイレクトな辛味を付け、ニラやミンチでかなりジャンクに仕上げた一杯だ。東海地方で特に広がっており、東京や大阪の大都市圏を中心に、今ではカップ麺なども発売されている。
「台湾ラーメン」のルーツとは?
台湾ラーメンは、1970年代に台湾出身の郭会長が台湾の麺料理「担仔麺(タンツーメン)」を元にアレンジした賄い料理がルーツとされる。
台湾に実際にあるメニューではなく、台湾出身の郭会長が台湾をイメージして作ったラーメンなのだ。80年代以降に激辛ブームが訪れ、一気に人気がヒートアップした。
辛いラーメンでは担々麺が通常1000kcalを超えるのに対して、台湾ラーメンは490kcal(「味仙」調べ)と意外と低カロリーなのも人気の秘密だ。
店ごとに味が違う秘密とは?
「味仙」は台湾ラーメンの元祖として知られ、名古屋エリアだけでもお店がいくつもある。面白いことに、店ごとに味やメニューが微妙に違う。これはなぜか?
「味仙」はかつて名古屋で中華料理店「万福」を営んでいた 郭宗仁さん、郭汪蘭さんの子供たち5兄弟が各地でそれぞれ開業したお店なのである。基本メニューは同じだが、味付けはそれぞれの個性に任せており、店ごとの違いが生まれている。
「味仙」ファンの中では、「どのお店が好きか」というのは大きな話題だ。
亡くなった長男・明優さんが会長を務める「味仙 今池本店」は「台湾ラーメン」を生み出したお店で、飲み屋街で深夜まで営業していることもあり、呑んだ後に訪れたことのある方も多いだろう。
長女・黎華さんの営む「矢場 味仙」も超人気店だ。どのメニューも辛めで濃いめの味つけになっており、岐阜県中津川の唐辛子「あじめこしょう」が辛さの秘密だ。
三男・政良さんが開業し、現在は娘さんが引き継ぐ「郭 政良 味仙」は東京進出を果たしており、現在は新橋と神田に出店している。
各店の味の違いがまた「味仙」の人気の秘密。
明優さんが作り上げた1メニューが名古屋の一つの文化となった。
心よりご冥福をお祈りいたします。
※写真はすべて筆者による撮影