元WBAスーパーライト級王者の復帰戦
2024年3月30日、WBAスーパーライト級タイトル初防衛戦で、イサック・“ピットブル”・クルスに8ラウンドKOで敗れたローランド・ロメロ。9月14日に行われたWBA/WBC/WBOスーパーミドル級タイトル戦の前座、スーパーライト級10回戦でリングに復帰した。
対戦相手のマニュエル・ジャイメスは、16勝(11KO)1敗1分けの24歳。噛ませ犬として元チャンピオンにぶつけられた。
試合が決まった際の記者会見で、ジャイメスは言った。
「自分が無名だってことを理解しています。ずっと羨望の眼差しを送ってきた選手たちと一緒の興行に出られるなんて、実に光栄です。が、ロメロがとてつもなく大きな相手とは感じません。タフな相手ですが、勝ちに行きます。
ロメロは僕よりも大舞台を経験していますが、こちらも8歳からボクシングをやってきました。今、ロベルト・ガルシアのジムでスパーリングをこなしています。ロメロ陣営と我々のボクシングIQに差は無いでしょう。この試合をモノにします。勝てると分かっています。
幼い頃から、メキシコ独立記念日近くの週末に行われるビッグマッチを見て来ました。そのPPVイベントに自分が出場できるなんて、夢が叶います。ロメロが僕を見下しているなら、完璧な状況と言えますね。準備万端でリングに上がります」
発言通り、ジャイメスはようやく掴んだチャンスをモノにしようと積極的に前に出る。ロメロは2022年5月28日にジャーボンテイ・デービスに6回KO負けして以来、反射神経に問題があるように映るが、この日の動きもぎこちなかった。
バックステップする折、バランスが崩れる。ジャブを放つ時にも、右の脇が開く。元世界チャンプに相応しい動きとは、とても呼べない。言うなれば、噛ませ犬と変わらないレベルだった。
それでも3名のジャッジそれぞれが99-91と採点し、3-0の判定で勝者となった。
ロメロは言った。
「飢えた選手との厳しい10ラウンドを経験する必要があった。まさに今日は、そうなった。これまでのファイトですべきだった動きを、今夜はたくさんやれたよ。ジャイメスは前に出てきたが、うまく捌けた。自分の思い通りにコントロール出来たね。終盤はこちらもギアを入れ、ボディブローをいくつも放った。
次でタイトルマッチが決まればいい。どのチャンピオンでもやってやるぜ」
判定に納得できない敗者も述べた。
「ジャッジは何を見ていたのか。映像を見て受け止めたいです。もっと攻めればよかったのかな。 この舞台に立てたことが大きかったですね。ずっと望んでいた戦いだったので。仕事に戻って、次のことを考えます」
「美味しい元世界チャンプ」として、ロメロには対戦のオファーが複数届くだろう。無名選手の踏み台となってしまうのか‥‥。