主な新興国/米国経済ニュース(25日)
GM、リコール問題に揺れる北米製造部門のナンバー2にクレッグ氏を起用
米自動車最大手ゼネラル・モーターズ<GM>は23日、今年2月のエンジン始動スイッチの不具合の発覚に端を発した一連の大量リコール(無償回収・修理)問題で揺れる同社の主力製造部門であるノース・アメリカ・マニュファクチュアリングの新副社長に、キャシー・クレッグ氏の起用を決めた、と発表した。
同氏はGMの全世界の車体やプレス加工、組み立てなどの製造部門を統括するグローバル・マニュファクチュアリング・エンジニアリング副社長で、7月1日付でジェラルド・ジョンソン氏に代わって就任する予定。また、クレッグ氏の後任にはグローバル・プロダクト・デベロップメント取締役のクルト・ヴィーゼ氏が就任する。
クレッグ氏は米国とカナダ、メキシコを網羅する北米アメリカ・マニュファクチュアリングのナンバー2として、北米の55工場と7万4000人の従業員を束ねることになる。クレッグ氏は2011年の人事担当の副社長当時、全米自動車労組(UAW)との交渉に携わり、労務畑でも手腕を発揮してきている。
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ゴールドマン・サックス、リコール騒動に揺れるGMを「買い推奨」に
米証券大手ゴールドマン・サックス<GS>は最新の顧客向けリポートで、一連の大量リコール(無償回収・修理)問題で揺れる米自動車最大手ゼネラル・モーターズ<GM>に対する投資判断を「買い推奨」に選定した。米経済専門オンラインメディア、CNNマネーが23日に伝えた。
これはゴールドマン・サックスが、割安感があり、今後、高い成長性やリターンの上昇が期待される15銘柄の一つとして、GMを選出したもので、S&P500種に比べて25%割安になっている銘柄を選択したとしている。また、15銘柄の中でも、6銘柄を「買い推奨」としており、その中にはGMも含まれている。
実際、GMの株価は1月時点で1株41ドルだったが、リコールが起きた2月以降では4月時点で32ドルの安値を付けている。現在、GMの株価を来年の予想純利益で除した株価収益率は9倍となっているが、これはS&P500種の平均的な企業の16倍を大幅に下回っている。また、GMの配当金の見通しについても、ゴールドマン・サックスは、現在の配当利回り(1株購入額に占める1株当たり年間配当金の割合)は3.3%で、S&P500種の1.87%を上回っており、投資妙味があるとしている。
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医薬品アラガン、株主に対し加同業バリアントのTOB拒否を呼びかけへ
カナダ医薬品大手バリアント・ファーマシューティカルズ・インターナショナル<VRX>から敵対的買収を受けている問題で、米同業大手アラガン<AGN>は23日、同社の取締役会で、株主に対しバリアントによるTOB(株式公開買い付け)を拒否するよう呼びかけていくことを決めた、と発表した。
アラガンの経営陣は、「バリアントの買い付け価格はアラガンの企業価値をかなり下回って、極めて不適切で、アラガンの持ち株売却は株主にとって相当な損失リスクを生じる」とし、「アラガンだけでなく、株主にとっても利益にならない」と強い口調で批判している。
バリアントは4月に455億ドル(約4.6兆円)の1回目の買収額を提示したあと、5月28日には494億ドル(約5兆円)に引き上げ、さらに、5月30日には3回目の提示額となる530億ドル(約5.4兆円)を提案。しかし、アラガンが身売りを拒否したため、バリアントは直接、アラガンの株主にTOBを仕掛けている。
現在、バリアントはアラガンの株主に対し、1株72ドルの現金と、アラガン1株に対しバリアント0.83株の株式交換を提案している。この提案は8月15日まで有効としているが、期限が延長される可能性がある。
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オラクル、ホテル向けソフトのマイクロズを5400億円で買収へ
米業務用ソフト大手オラクル<ORCL>は23日、ホテルやレストランの業務用ソフト大手マイクロズ・システムズ<MCRS>を1株68ドル(約6940円)、計53億ドル(約5400億円)の現金で買収することで最終合意したことを明らかにした。
オラクルでは今年下期(7‐12月)中に買収を完了したい考え。同社にとって、買収額では2010年にサン・マイクロシテムズを74億ドル(約7500億円)で買収して以来、4年ぶりの大型買収となり、ミクロスの買収によって、小売りやホテルなどの分野への進出を果たす。これを受けて、オラクルの株価は23日、0.69%高の41.1ドルで引けている。他方、マイクロズの株価も23日、3.36%高の67.98ドルで引けている。
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医薬品アボット、ロシア同業ベロファーム買収で合意
米医薬品大手アボット・ラボラトリーズ<ABT>は23日、ロシアの同業大手ベロファームを136億‐170億ルーブル(約410億-510億円)で買収することで合意したことを明らかにした。このほか、アボットはベロファームの純債務47億ルーブル(約140億円)も承継する。
アボットは、ベロファームの株式81%を保有している新興財閥ロマン・アブデエフ氏の持ち株会社ガーデン・ヒルズから全株を買い取るが、ガーデン・ヒルズは買い取りの約定日までに持ち株比率を95%まで拡大する見通し。もし、ガーデン・ヒルズの持ち株比率が約定日までに100%に達した場合には、買収額は170億ルーブルとなる。
買収は10-12月期に完了する予定で、今後、アボットはロシアの医薬品市場に進出を果たすほか、女性向けの治療薬を中心とした100種類以上の医薬品が新たに追加される。これを受けて、アボットの株価は23日、0.29%安の40.73ドルで引けている。
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ハンガリー中銀、0.1%利下げ―23回連続
ハンガリー中央銀行(MNB)は24日の金融理事会(MC)で、政策金利の2週間物預金金利を市場の予想通り、現行の2.4%から過去最低水準となる2.3%へと、0.1%ポイントの小幅引き下げを決めた。利下げは25日から実施される。
中銀は2011年12月に7%へ0.25%ポイント利上げしたあと、しばらく政策金利を据え置いたが、2012年8月29日から0.25%ポイントの利下げキャンペーンを開始しており、今回の会合で23回連続となる。引き下げ幅は3月の0.1%ポイント引き下げから4会合連続の小幅な利下げとなっている。これで計4.7%ポイント引き下げたことになる。
次回の金融政策決定会合は7月22日に開かれる予定。
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インドネシア中銀総裁、政策金利を年末まで7.5%で維持と表明
インドネシア中央銀行のアグス・マルトワルドヨ総裁は24日、記者団に対し、今後の金融政策の見通しについて、「今年末まで金融引き締め政策を継続する」と述べ、政策金利である翌日物BI金利を現行の7.5%のまま据え置くとの考えを示した。ジャカルタ・グローブ(電子版)が伝えた。
中銀は今月12日の理事会で、政策金利を据え置いており、据え置きは2013年12月から7会合連続となっている。同総裁のこの据え置き発言は、インドネシアの次期大統領選挙を2週間後に控えた中で行われた。中銀の次の金融政策決定会合は7月10日に開かれる予定。(了)