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一度聞いたら耳に残るCMソング イタリアのラップ会社CUKI(クキ)のドギーバッグと食品ロス削減啓発

井出留美食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)
イタリアの会社CUKI(クキ)のドギーバッグ、Francesca Nota氏撮影

イタリアへ食品ロスの取材で渡航した際、ラップ(食品用のラップフィルム)やアルミホイル(食品用のアルミニウムはく)などを製造する企業、CUKI(クキ)社が、外食で食べ残した料理を持ち帰るための容器、ドギーバッグを製造していることを知った。

CUKI(クキ)社製のラップやアルミホイルは、イタリア国内のスーパーマーケットなどで販売されている。

イタリア・ミラノのCOOPで販売されていたCUKI社のアルミホイル(筆者撮影)
イタリア・ミラノのCOOPで販売されていたCUKI社のアルミホイル(筆者撮影)

CUKI(クキ)社の公式サイトにも掲載されているこのドギーバッグ。外側は、紙で出来ている。

CUKI(クキ)社のドギーバッグ(筆者撮影)
CUKI(クキ)社のドギーバッグ(筆者撮影)

中に、使う際の注意事項などが書かれている。

イタリア、CUKI(クキ)社のドギーバッグ、使用上の注意(筆者撮影)
イタリア、CUKI(クキ)社のドギーバッグ、使用上の注意(筆者撮影)

組み立て式。持ち手がついていて、外箱には自社のブランド名や、イタリアのフードバンクであるBANCO ALIMENTARE(バンコ・アリメンターレ)の名前、TERRA MADRE(テッラ・マドーレ)の名前などが載っている。テッラ・マドーレとは、150カ国にまたがる、食環境に関するネットワークである。

組み立て式紙製容器の中に、アルミホイルで作った容器をセットして用いる。

中にアルミホイルで出来た容器をセットして使う(筆者撮影)
中にアルミホイルで出来た容器をセットして使う(筆者撮影)

障害者が働くレストランのMagazzini O’zでは、このCUKI社のドギーバッグを使っていた。イタリアのCOOPは、このレストランやフードバンクなどへ余った食材を提供している。

障害者が働くレストランのMagazzini O’zの代表者。ドギーバッグの使い方を説明してくれた(筆者撮影)
障害者が働くレストランのMagazzini O’zの代表者。ドギーバッグの使い方を説明してくれた(筆者撮影)

CUKI社は野菜や果物の保存性を高め食品ロスを減らすための啓発ツールの作成も

CUKI社が製造しているのは、ドギーバッグだけではない。

野菜や果物、乳製品など、家庭で食品ロスになりやすい食材の保存方法を啓発するためのマンガ形式の冊子も作成している。

イタリア・CUKI社が制作した、食品ロスを減らすため、家庭での食材の保存方法を啓発するための冊子(筆者撮影)
イタリア・CUKI社が制作した、食品ロスを減らすため、家庭での食材の保存方法を啓発するための冊子(筆者撮影)

イタリア人のRITA(リタ)さんに、この冊子を翻訳して頂いた。

下の写真の左ページには、鶏肉は、紙製のオーブンシートをはさんでフィルムの袋に入れるとよい、と書いてある。

イタリア・CUKI社制作の、食品ロス削減のための冊子(筆者撮影)
イタリア・CUKI社制作の、食品ロス削減のための冊子(筆者撮影)

右側のページは、冷蔵庫の、どの棚に何をおけばいいのかが示してある。

一番上が、乳製品。

次の段が、卵や肉の加工品(ハム、サラミソーセージなど)、甘いものや調理済み食品。

一番下が鮮魚や肉。

野菜室には野菜や果物を保存する。

CUKI社製の製品を使った保存方法もイラストで描かれているが、製品名ではなく、一般名称で書かれている。

イタリア国内のイータリーで販売される、CUKI社製のラップやアルミホイル(筆者撮影)
イタリア国内のイータリーで販売される、CUKI社製のラップやアルミホイル(筆者撮影)

家庭用ラップフィルムの会社が消費者向け食品ロス削減啓発に踏み込むのは新鮮

日本でも、三井化学東セロなど、包装材メーカーが野菜保存袋などを製造している。

食品メーカー各社も、賞味期限をできる限り延長するため、包装材や製法に工夫を凝らしている。

だが、ラップフィルムやアルミホイルの会社が、ドギーバッグを作ってレストランに提供したり、一般消費者向けに食品ロス削減のための食品保存啓発ツールを作ったり、という例は、筆者自身は、まだ目にしていないため、新鮮だった。

日本では、小林富雄先生が理事長としてドギーバッグ普及委員会を通してドギーバッグを推進している。2019年2月6日付の読売新聞の記事で「家庭用ラップは、食品の廃棄ロスを1%防止する効果があると言われている」と、家庭用ラップフィルム会社社員の方の発言が掲載されていた。ドギーバッグ普及委員会が家庭用ラップフィルムの会社と連携できたら、使う場面の幅も、より広がりそうだ。

参考記事:

ビュッフェの残りをなぜ寄付できるか イタリア食品ロス削減の最前線

障害者が働くレストランのMagazzini O’zで使われているCUKI社のドギーバッグ(筆者撮影)
障害者が働くレストランのMagazzini O’zで使われているCUKI社のドギーバッグ(筆者撮影)

「クキ、クキ、クキ♪」と思わず口ずさみたくなる、CUKI社のコマーシャルソング

冊子を翻訳してくれたRITA(リタ)さんによれば、小さい頃、CUKI社のコマーシャルを頻繁にテレビで目にしていたそうだ。

コマーシャルソングも実際に歌ってくれた。

映像にはドゥオーモ(教会堂)も出てくる。

最後のシーンは、「CUKI社のアルミホイルの強度がいかに高いか」を表現するもの、だそうだ。

食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け、誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』他。食品ロスを全国的に注目させたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。https://iderumi.theletter.jp/about

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