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今季リーグ戦で初先発を果たしたレスター岡崎慎司。「第一歩を踏み出せたかな」

田嶋コウスケ英国在住ライター・翻訳家
27日に行われたサウサンプトンとのリーグ杯4回戦で相手選手と競り合う岡崎慎司。(写真:ロイター/アフロ)

レスターのFW岡崎慎司の出場機会が増えてきた。

11月24日に行われた13節のブライトン戦で国内リーグ初先発を果たすと、その3日後に行われたサウサンプトンとのリーグ杯4回戦でも途中交代で61分から出場した。これまでは途中出場で5〜10分程度の出番しか与えられなかったが、ここにきてようやく状況が改善してきた。

転機は、11月の代表ウィークに訪れたという。

日本代表から遠ざかっている岡崎は、レスターでこつこつと調整を進めてきた。W杯ロシア大会で痛めた足首の怪我も完治し、「コンディションは完璧に仕上がっている」と話す。加えて、エースのFWジェイミー・バーディーが故障明けで、ナイジェリア代表FWのケレチ・イヘアナチョも代表戦でイングランドを離れていた。そんな中、良質のパサーであるMFジェームズ・マディソンとトレーニングマッチでコンビを組んでいたという。岡崎は明かす。

「(クロード・ピュエル)監督は練習をよく見てくれる人で。自分としても『動けているな』と手応えを感じていました。ちょうどバーディーが怪我明けで、イヘアナチョは代表に行っていた。(この2人がいない)練習でマディソンとコンビを組んでいて、僕らの連係が良かった」

「怪我から、どこまでコンディションが上がってきているのか。そこを監督は見ていたと思う。今は、練習でもガツガツ行けている。そういうところを見て、そろそろ準備ができているなと思われたのではないか」

岡崎は、ブライトン戦で4−2−3−1の1トップとして先発した。バーディーとイヘアナチョはベンチスタートで、岡崎としてはこの試合で最大限のアピールをしたかった。しかし、前半28分にハプニングが起きる──。トップ下で先発したマディソンが2枚目の警告を受け、退場処分になってしまったのだ。それ以降、岡崎は守備に追われるシーンが増えて無得点。本人も「マディソンが退場してしまったので、練習の成果を見せることができなくて残念」と肩を落とした。

それでも、これまで出番が極めて限定的だった現状を踏まえれば、このブライトン戦は大きな前進だった。岡崎も「序列を変えるには、点を取るとか、そういうところが必要だけど、自分の中では第一歩を踏み出せたかな」と手応えを掴んだ様子だった。

こうして迎えたリーグ杯のサウサンプトン戦。3日前にブライトン戦で先発した岡崎はベンチにまわり、代わりにバーディーとイヘアナチョがスタメンに復帰した。

岡崎に出番の声がかかったのは、0−0で迎えた61分だった。「チームの勢いみたいなものがどうしても欲しかった」と語るように、岡崎は投入直後から精力的に走り回った。相手DFとMFの間のスペースに入ってパスを受け、クロスボールが入りそうになるとゴール前に突進。76分には、サウサンプトンのDF吉田麻也を背負った状態で反転し、交わしてからミドルシュートを放った。岡崎は言う。

「(吉田が)取りに来ていたから、イチかバチかで反転したら入れ替われたので。もうちょっとドリブルできたかもしれないですけど、シュートを打っておきたいなと思っていた。狙いはよかったんですけど、(シュートが)ちょっと踏み込めなかったなと。積極性のところで、そういうプレーを何回か繰り返していけば、感覚として次は良いシュートが打てるのではないか」

出場時間は延びてきたが、岡崎の立ち位置は現状、先発とベンチのちょうど中間のような位置づけだろう。それだけに、定位置を奪い返すにはプラスアルファのプレーを見せていかないといけない。岡崎も力を込める。

「普通のプレーではいけない。1試合に1回は、何かポイントとなるようなプレーを見せていかないと。そのためには、ゴールを取らないとレスターでの自分の地位は変えられない。でも、ゴールを目指すことだけやっても、試合に出られるものでもない。(ボールキープやパス、ハードワークなどの部分で)監督から信頼されないと使ってもらえないので」

岡崎の持ち味である献身性やチームプレーを円滑にする動きをこなしながら、ストライカーとしてゴールを目指す。2つを両立させることは難しいが、そこをクリアしないことには定位置確保は見えてこない。試合数と出番のチャンスが格段に増える12月の連戦に向け、32歳のストライカーはいっそう意欲を高めていた。

英国在住ライター・翻訳家

1976年生まれ。埼玉県さいたま市出身。中央大学卒。2001年より英国ロンドン在住。香川真司のマンチェスター・ユナイテッド移籍にあわせ、2012〜14年までは英国マンチェスター在住。ワールドサッカーダイジェスト(本誌)やスポーツナビ、Number、Goal.com、AERAdot. などでサッカーを中心に執筆と翻訳に精を出す。

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