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ペップ・グアルディオラとクロップの熱いライバル関係が見えたプレミア天王山。「食事には行かないが…」

田嶋コウスケ英国在住ライター・翻訳家
肩を組むクロップ監督(左)とグアルディオラ監督(右)(写真:ロイター/アフロ)

まさに息もつかせぬ熱戦だった。

マンチェスター・シティーとリバプールのプレミアリーグ頂上決戦が10日に行われ、打ち合いの末に2−2の引き分けに終わった。プレー強度、技術、戦術とすべてにおいてハイレベルな試合展開に、テレビ解説を務めた元イングランド代表DFジェイミー・キャラガー氏も「世界最高の2クラブによる素晴らしい戦いだった」と称賛した。

試合内容もさることながら、試合後に両監督が交わした熱い抱擁も印象的だった。マンチェスターCのジョゼップ・グアルディオラ監督と、リバプールのユルゲン・クロップ監督。試合終了のホイッスルが鳴ると、2人の名将は力強く抱きしめ合い、互いの健闘を称え合った。

興味深いのは、この2人が「深い尊敬の念」で結ばれていることだ。両軍は近年のプレミアリーグで優勝を争う絶対的なライバルだが、この2人が険悪な雰囲気に包まれたり、舌戦を繰り広げたりすることはまずない。互いに切磋琢磨し、それぞれの力を高め合う理想の関係を築いているようだ。

試合前の記者会見でも、クロップ監督はグアルディオラ監督に尊敬の言葉をかけた。54歳のドイツ人指揮官は次のように話した。

「ペップ(グアルディオラ)は世界最高の監督だ。そのことには皆、同意すると思う。マンチェスターCで欧州チャンピオンズリーグをまだ制していないのは、単なる偶然だろう。彼の才能を疑う者がいるなら、どうしてそのような考えになるのか。私には理解できない。彼らとの試合はいつだって興味深いものとなる。試合自体がまず楽しいし、忘れられない内容になる。私は、彼のチームとの試合を本当に愛してやまない」

クロップの話は、スポーツ界のライバル観に及んだ。

「手強いライバルを持つことが自身の成長につながる。長期的に見れば、それが最も役立つ。例えば、テニスのラファエル・ナダルとロジャー・フェデラー。2人はライバルとして競いあったことで、互いの成長を促していたと思う。(優勝を争うライバルとして)マンチェスターCが目の前にいることを楽しんでいるとまでは言わないが、我々の成長を阻害しているとは思わない」

そんなクロップ監督の言葉に呼応するかのように、グアルディオラ監督もドイツ人への賛辞を惜しまない。激戦を終えた後のインタビューで、51歳のスペイン人指揮官は静かに語った。

「クロップが、私をより優れた監督にしてくれた。彼のチームは前向きな姿勢を持ち、アグレッシブに攻撃を仕掛けてくる。この点に関して、私は彼のスタイルを自分のチームに取り入れようとしている。リバプールの試合は、いつだって見るのが楽しい」

「彼の携帯電話の番号は知っているが、電話はしない。友達でもないし、一緒に食事に行くこともない。だが私は、彼に大きな尊敬の念を抱いているんだ。いつか自分が監督業をリタイアして、ゴルフに興じる時がくれば、自分にとって最大のライバルはリバプールだったと思い出すだろう」

合計4ゴールが生まれた首位決戦について、クロップ監督が「まるでボクシング・ファイトのようだった」と表現すれば、グアルディオラ監督は「彼は本当に打ち合いの試合が好きだ」と笑っていた。2人は、直接対決を心から楽しんだようだった。

ここから、イングランドサッカー界は佳境に入る。天王山が引き分けに終わり、両雄は1ポイントをそれぞれ分け合った。首位マンチェスターC(74ポイント)と、2位リバプール(73ポイント)の差はわずか1。残り試合は7だ。勝ち点をひとつも落とせない、緊張感溢れる試合が続く。

しかも今週末のFAカップ準決勝で、2チームが再び相まみえる。欧州CLでも互いにベスト8まで勝ち進み、頂点を狙える位置につけている。

プレミアリーグ、FAカップ、そして欧州の頂点を決めるチャンピオンズリーグ──。稀代の名将グアルディオラとクロップの2人は、ライバルとしてしのぎを削りながら、3大会で頂点を目指す。

英国在住ライター・翻訳家

1976年生まれ。埼玉県さいたま市出身。中央大学卒。2001年より英国ロンドン在住。香川真司のマンチェスター・ユナイテッド移籍にあわせ、2012〜14年までは英国マンチェスター在住。ワールドサッカーダイジェスト(本誌)やスポーツナビ、Number、Goal.com、AERAdot. などでサッカーを中心に執筆と翻訳に精を出す。

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