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リーグ杯決勝で「タイトルが懸かっている」と意気込むリバプール遠藤航。アンカーで大事に思うことは?

田嶋コウスケ英国在住ライター・翻訳家
リバプールのレギュラーに定着した遠藤航。(写真:REX/アフロ)

試合後の取材エリアで、リバプールのMF遠藤航はいつもと変わらず淡々と試合を振り返っていた。

2月21日に行われたリバプール対ルートン戦。降格争いの真っ只中にいるルートンに前半12分の早い時間帯に先制点を奪われたが、リバプールは後半だけで4ゴールを奪って4−1で大勝した。

そして日本代表MFの遠藤は4−3−3のアンカーとして先発出場。アジア杯終了後から3試合連続でスターティングメンバーに加わり、プレミアリーグの優勝争いを演じているリバプールのレギュラーとして圧勝に貢献した。

前半と後半で試合展開がガラリと変わったそのルートン戦。「ユルゲン・クロップ監督からハーフタイムに特別な指示があったのか」との質問に、遠藤は次のように答えた。

「いや別に。『前半も悪くなかった』っていう話で。自分たちがやろうとしてる良さは出ていた。

ただ、相手がマンツーマン・ディフェンスで来ていた。前半は相手がフレッシュな状態でやってきて。失点はちょっと事故みたいな感じで許しましたけど、自分たちのやってること自体は悪くなかったので、『続けよう』みたいな感じでした。それをやり続けた結果、後半4点という形になったと思う。相手は後半ペースが落ちましたけど、自分たちはしっかり最後までパワーをかけてやれた。それが全てだったと思います」

試合で、遠藤は2つの決定的なチャンスをもたらした。ひとつは前半32分。相手のマークをドリブルで交わし、DFラインの背後に浮き球のスルーパスを出した。コロンビア代表FWルイス・ディアスのシュートはわずかにゴール左へそれたが、得点チャンスでアンフィールドの住人たちを沸かせた。

もうひとつは後半36分のプレー。遠藤が中盤でボールを奪うと最前線のオランダ代表FWコーディ・ガクポにパスを出した。こちらも決定機になったが、ガクポのシュートが枠を大きく外れ、遠藤は悔しそうなジェスチャーで感情をむき出しにした。その姿を隣で見ていたアルゼンチン代表MFアレクシス・マクアリステルが、遠藤の頭を撫でてなだめていたのが印象的だった。

遠藤は、ルートン戦での自身のプレーと戦術について次のように語る。

「相手がマンツーマンで来ていたので難しさはあったが、どう動いたら味方をサポートできるか考えてました。パッと敵を剥がせればチャンスになったり、ロングボール1本でチャンスになったりした。そこは分析通りでしたね。

マンツーマンでディフェンスをしてくる相手の弱点なので、『そこをうまく活かしながら』と考えていました。ルイス・ディアスに出したパスについても、ああやって自分が相手のマークを1枚剥がせれば、相手はマンツーマンで来ているので、背後にスペースが生まれる。

後半にガクポに出したパスで『アシストになれば』みたいな場面もありましたけど、自分があそこで相手からボールを奪えることが大事。自分の良さっていうのは、最後までああやって足を動かして動き続けられることだと思う。そこは良かったと思います」

試合後の英メディアの評価も高く、地元紙リバプール・エコーは遠藤に8点の高評価をつけた。同紙は「ディアスにスルーパスを通すなど奮闘。セカンドボールを拾う場面も多かった。後半のリバプールの巻き返しに貢献した」と評した。

遠藤とリバプールは、25日にサッカーの聖地ウェンブリー・スタジアムでリーグ杯ファイナルを戦う。相手はマウリシオ・ポチェッティーノ監督率いるチェルシー。英メディアでは、昨夏の移籍期間でリバプール行きが噂されながらチェルシーへ移籍したMFモイセス・カイセドと、その代わりにリバプールに加入した遠藤の「中盤対決」にも注目が集まっている。

31歳のベテランMF遠藤は「ウェンブリーでやるのは初めてなので楽しみ。9万人が入ると聞いているので、サポーターの雰囲気もまた一段とすごいと思う。初タイトルが自分に懸かっているので、とにかく楽しみ」と気持ちを高めていた。

英国在住ライター・翻訳家

1976年生まれ。埼玉県さいたま市出身。中央大学卒。2001年より英国ロンドン在住。香川真司のマンチェスター・ユナイテッド移籍にあわせ、2012〜14年までは英国マンチェスター在住。ワールドサッカーダイジェスト(本誌)やスポーツナビ、Number、Goal.com、AERAdot. などでサッカーを中心に執筆と翻訳に精を出す。

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