Yahoo!ニュース

シカゴのチームが組んだ史上初の打線は、1番から4番までキューバ出身。そこにコラスは入っていないが…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ルイス・ロバート(シカゴ・ホワイトソックス)Aug 1, 2020(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月1日、シカゴ・ホワイトソックスのスターティング・ラインナップには、1番にルイス・ロバート(センター)、2番にヨアン・モンカーダ(三塁)、3番にホゼ・アブレイユ(一塁)、4番にヤズマニ・グランダル(捕手)が並んだ。彼らは皆、キューバで生まれた。イライアス・スポーツ・ビューローによれば、先発メンバーの1~4番にキューバ生まれの選手が揃うのは、史上初だという。

 4人のうち、ロバートはメジャーリーグ1年目。開幕戦でデビューしたばかりだ。3試合目には、初ホームランを前田健太(ミネソタ・ツインズ)から打った。グランダルはホワイトソックス1年目。昨オフ、4年7300万ドルの契約を得た(それについては、昨年11月に「1年前に4年6000万ドルを断った捕手が、より高額な契約をゲット。その裏にあったのは好成績だけでなく」で書いた)。

 前日まで、ホワイトソックスのリードオフは、遊撃手のティム・アンダーソンが務めていたが、右足の付け根を痛めて故障者リストに入った。それにより、主に打順7番(前日は6番)だったロバートが1番へ移り、トップ4人がキューバンのラインナップが誕生した。

 リック・レンテリア監督がロバートを1番に据えたことに、驚きはない。スピードがあるだけでなく、ロバートはトップ・プロスペクトだ(すでに、だったと言うべきか)。今年1月、ホワイトソックスはメジャーデビュー前のロバートと、6年5000万ドルの延長契約を交わした。

 今回の史上初が、他のチームではなくホワイトソックスだったことにも、驚きはない。今から6年前に「プイーグ、フェルナンデスに続くMLBのキューバ旋風はシカゴ発。アブレイユを筆頭にチームメイトも絶好調」でも書いたように、ホワイトソックスでは、これまでも多くのキューバンがプレーしてきた。その嚆矢は、1951年のシーズン序盤にクリーブランド・インディアンズから移籍したミニー・ミノーソだ。「キューバン・コメット」と呼ばれたミノーソは、1957年までホワイトソックスでプレーしたのに加え、1960~61年と1964年、1976年と1980年にも、ホワイトソックスの選手として試合に出場した。

 今年の1月3日にキューバから亡命し、2月中旬に福岡ソフトバンクホークスから制限選手とされたオスカー・コラスについても、新たな球団として、ホワイトソックスの名前が何度も浮上している。

 例えば、ホワイトソックスが2月上旬にキューバン右腕のノルへ・カルロス・ベラと契約した際、ESPNのケリー・マクダニエルは、それを報じる記事のなかで「ホワイトソックスはキューバのスター外野手/左投手であるオスカー・コラスにも興味を抱いている、と複数の国際スカウトが語った」と書いた。6月上旬には、シカゴ・サン・タイムズのダリル・バン・スハウェンが「ホワイトソックスはオスカーを手に入れられるのか?」と題した記事を発表している。

 福岡ソフトバンク以外でプレーできるようになった場合、コラスが入団するのがホワイトソックスであっても、そこに驚きはない。

 なお、1~4番に並んだホワイトソックスのキューバンは、4人合わせて22打数11安打を記録した。いずれもマルチ・ヒット。ホワイトソックスは、11対5で勝利を収めた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事