東京でさくら開花 早い開花に思うこと
東京でさくらが開花した。平年より4日早い。靖国神社のさくらが標本木になったのは1966年頃で、気象庁庁舎の移転によるものだったらしい。温暖化の進行で春の気候は一変し、さくらの開花は早まるばかり。
日本一有名なさくら
気象庁は20日(日)午後、東京でさくらが開花したと発表しました。平年より4日早く、昨年と比べると6日遅い開花です。
東京には数多くのさくらの名所がありますが、気象庁が観測に使っている標本木は千代田区九段下の靖国神社にあります。この時期は報道や気象関係者が入り代わり立ち代わり足を運び、さくらの成長に一喜一憂する姿がみられます。そういう私も落ち着いた佇まいの能楽堂脇にあるさくらは特別に思えたものです。
なぜ、東京の標本木は靖国神社にあるのか
靖国神社のさくらが標本木になったのは昭和41年(1966年)頃とされています。昭和39年(1964年)に気象庁の庁舎が麹町区元衛町(現KKRホテル東京)から千代田区大手町に移転するにあたり、標本木の確保が求められ、今の靖国神社に決まったと思われます。ただ、当時の資料が残っていないため、詳しいことはわかりません。
さくらの開花時期から季節の進みや遅れなど気候の変化を知るためには10年や30年、それ以上の長い間、観測を続けられる環境が必要です。標本木が靖国神社になったのは気象庁に近く環境が似ていること、そして長期にわたり観測が続けられることが決め手になったのでしょう。
温暖化で春の風景が一変
東京では昭和63年(1988年)を最後に、4月になって開花したことはありません。さくらには入学式のイメージがあったのですが、今は卒業式でしょう。
それもそのはず、2020年、2021年と二年続けて観測史上最も早い3月14日に開花しました。今年は2月まで寒い日が続いたため、久しぶりに開花が遅くなると思っていましたが、3月に入り天気は一転、気温が20度を超える日が続き、あれよあれよという間に開花した印象です。
実際、日本の平均気温は100年あたり1.26度高くなっていて、とくに春は上昇率が著しい。温暖化というと夏の猛暑を思い浮かべますが、春の気候も大きく変わりつつあるのでしょう。さくらまでもが早く、早くと咲き急いでいるように感じて、季節感が窮屈です。
【参考資料】
気象庁:気候変動監視レポート2020,2021年4月28日公表