ソフトバンクとの首位攻防 3タテを阻止したのは岩田、岡崎の同い年バッテリー《阪神ファーム》
鳴尾浜にソフトバンクを迎えて行われた首位攻防の3連戦は、1勝2敗と負け越した阪神ですが、1ゲーム差で首位にいます。15日、16日と2日続けて逆転負けし、いったん2位に落ちたものの、17日は6対1で快勝!また首位に戻りました。ただし対戦成績は阪神の4勝7敗と苦手なカード。まだまだ苦しい戦いが続くかもしれません。
18日は試合がなく、午後に練習をしてからチームは淡路島へ移動しました。きょう19日と、あす20日は兵庫県立淡路佐野運動公園(ボールパークあわじ)第一野球場で、イースタン・巨人とファーム交流試合です。雨も上がり、午後からは青空がどんどん広がって来ています!初戦は望月惇志投手が先発し、5回を投げて8安打4失点(自責3)でした。
なお18日の公示で、西岡剛選手と高山俊選手が登録を抹消され、高橋遥人投手と熊谷敬宥選手のルーキーコンビが昇格しました。さっそく先発した高橋遥投手は2勝目、おめでとうございます!そして熊谷選手は初めての1軍ですね。ウエスタン・リーグ断トツの20盗塁、その脚力とスライディングを見せてきてください!
さて、きょうは首位を奪い返した…といっても1ゲームしか差はありませんけど、その17日のウエスタン・ソフトバンク戦の結果をご紹介します。
《ウエスタン公式戦》5月17日
阪神-ソフトバンク 11回戦 (鳴尾浜)
ソフ 001 000 000 = 1
阪神 000 112 02X = 6
◆バッテリー
【阪神】○岩田(2勝)-呂彦青-モレノ / 岡崎
【ソフ】●椎野(1敗)(5回)-大竹(2回)-小澤(1回) / 堀地-谷川原(7回~)
◆本塁打 神:岡崎1号2ラン(大竹)
◆二塁打 神:伊藤隼、北條、岡崎 ソ:グラシアル、塚田
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗/失) 打率
1]三:大山 (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .200
〃中:緒方 (2-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .228
2]遊:北條 (5-2-0 / 0-0 / 0 / 0) .228
3]中:伊藤隼 (2-2-0 / 0-1 / 0 / 0) .375
〃一:森越 (2-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .208
4]左三:陽川 (4-2-2 / 2-0 / 0 / 0) .220
5]一左:中谷 (4-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .189
6]指:西田 (3-2-0 / 0-1 / 0 / 0) .353
7]右:島田 (4-1-0 / 2-0 / 0 / 0) .252
8]捕:岡崎 (4-2-3 / 0-0 / 0 / 1) .333
9]二:熊谷 (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .214
◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ
岩田 5回105球(3-4-5 / 1-0 / 0.53) 146
呂 3回 38球 (2-2-0 / 0-0 / 3.60) 144
モレ 1回 18球 (1-0-1 / 0-0 / 8.03) 151
※モレ=モレノ
《試合経過》※敬称略
先発の岩田は1回、2回とヒットや四死球で2人ずつ走者を出しますが無失点。しかし3回、先頭のグラシアルのヒットと犠打、連続四死球で1死満塁として、2死後に岡崎が三塁へ悪送球。これで1点を先取されました。でも4回は三者凡退で、5回も1安打のみ。
打線は4回、伊藤隼が翼線二塁打を放ち、陽川の右前タイムリーで生還!5回は熊谷が内野安打、北條は左翼線二塁打、伊藤隼の四球などで1死満塁となり、陽川が今度は中犠飛。2対1と勝ち越します。
岩田のあと6回からは呂が登板。6回が三者凡退で、7回は2死から二塁打されるも明石を三振に。8回はヒットと呂自身の野選(投ゴロを捕った時に「セカンド!」という声。送球するもセーフ)で1死一、二塁としましたが、最後は遊ゴロで北條、熊谷、森越と渡って併殺!
一方の攻撃は、6回1死から島田が右前打、続く岡崎はレフトへ今季1号の2ラン!8回にも左前打で出た先頭の西田を、1死後に岡崎が左翼線タイムリー二塁打で還して5点目。熊谷の一ゴロで2死三塁とし、緒方が左前タイムリー。北條、森越も連打で2死満塁と攻めたものの、それ以上は追加点なし。
6対1とリードを広げて迎えた9回、マウンドには前日5失点してしまったモレノが上がります。先頭の塚田に三塁線を破る二塁打、次は四球で嫌な予感もしたのですが、以降を捕邪飛、一ゴロ、左邪飛と3人で片づけて試合終了!しっかりリベンジを果たしました。
矢野監督、大いに語っていただきました
試合後の談話をご紹介します。矢野燿大監督は、まず岩田稔投手について「前の2回のピッチングがすごくよかったから。きょうはストライク先行できずにカウント負けして苦しんでるなってのはあった。5回であれだけの球数いったのはそういうところも。前回は岩田らしい打ち取り方だったけど、きょうはなかなかそういかなかったかな。でも、終わり方はちょっと兆しが見えた。まったく修正できません、っていうのではなかったし。終わり方は何とかできたと思うので」
前の2試合がよかったから余計に?「メチャクチャよかったから。これなら1軍ですぐ通用するというようなピッチングやったんで。次がどうなるかやね」。ちょっとコントロールに苦しんだところも?「そうやね。変化球でカットボールだけが唯一、勝負球になったから持ったかなという感じはある。ツーシーム系、真っすぐ系もちょっと浮いて押さえ込めないというか。そう見えた」
次に呂彦青投手には「球の強さもちょっと出てきたし、抑え方も危なっかしくないというか。押し込んだり、引いたりするところもできつつあるピッチングになってきたかな。ブルペンの回数を増やしたり、球数も増やしたりして。ちょっと前に向いていけるかな?という感じ。本人もいい意味で自信になってくると思うから。まあ北條のあのプレー、大きかったと思うけどねえ」と、8回の遊ゴロで併殺を取ったことを挙げました。
「バッターを見ても、真っすぐで空振りを取れていたし。強さが求められるところで、ちょっと出始めた。継続してほしい。中継ぎというタイプでもないと思うけどねえ。まあ長く投げるにも強さは必要。そのスタートラインに、きょう立てたかな」というのが、長い目で見て育てる方針の呂投手へのコメント。矢野監督の話はまだ続きます。
モレノ投手を連投させた意味
モレノ投手が、今回は抑えましたね。「そう。きょう投げさせないと戻らんかなと思って。はじめの点差から行くって決めていたし。俺も星野監督の下でやって、ミスして次にチャンスをくれたら、何とかしたいという思いもあったしね。モレノを復活させるって意味では、投げさせない状況を作ってしまうよりは。3回続いたけど、きのうやられて、よし!きょう行ってこいという方が、モレノの復活という意味ではね」
それにしっかり応えてくれたわけで「マテオもそんなに安定しているわけじゃないし、チーム状況を考えてもモレノを殺してしまうのはよくなかったと思うから。そういうの総合して、自分の中ではモレノを早めに。きのうの段階からチャンスがあれば使うと言っていた。ちょっと危なっかしかったけど、ゼロでいけたってのが大きいよな。あそこで2点取られちゃうと次の登板に本人が気持ちよく入れないのでね」と矢野監督。
さらに「俺もホッとした!」と少し笑って「(次の登板まで)間があったらいいかというと、その間に不安も増えちゃうから。きょうでフラットにできるでしょう。チーム的にも本人にもよかった。使った意図があったかな」と、うなずきました。
打のヒーローへの言葉
まだ続く矢野監督の談話、最後は“打”の2人です。2ランとタイムリーで2安打3打点の岡崎太一選手について「始まってから、まだ1軍に上がれていないけど、ずっとバッティングの状態はいいからね。あいつの中で打撃ってのは課題だから、そういうとこで打てたというのも。しかも場面もよかったし。1軍との兼ね合いがあるけど、いい意味でアクセントをつけられる。ミスはあったけど、リードも含めて、いいアクセントをつけられるような選手の部類に入ってくる。打てたことでチャンスも近づいてくると思うから」
こちらはタイムリーと犠飛の陽川尚将選手。「(犠飛は)本人も行ったかなと思ったと言っていたけど、風なのか。ホームランにはならなかったが、ああいうところでしっかり打てたってのはね。最初のライト前も追い込まれてからノーアウトで、こっちは返してくれってことでフリーで打たせたんだけど、本人が意図的に逆方向へ打ちにいったと思う。ああいう結果を出してくれて、お互いの信頼度が高まる1本になった」
そして陽川選手へ向けて「あとはアウトの打席の内容を、もっともっと上げてきてほしいってのはあるけどね」と、いつもの注文です。
3投手で自責0のリレー
では選手のコメントをご紹介しましょう。先発の岩田投手は「きょうみたいなビッチングの方が多いと思うので、そこで粘れたのがよかったです。最初は暴れていましたが、3回以降は真っすぐがよくなって、カットやスライダーなどいろいろ使えるようになりました。真っすぐがよくないと他が生きてこないので」と試合を振り返っています。
「任されたところで、しっかりゼロに抑えていくのが一番の目的であるので、今後に向けては1つずつアウトを取ることをシンプルに考えていきたい」
呂投手は、ストライク先行で投げられた?と聞かれ「いつもマウンドに上がる前、フォアボールを出さないことを目標にしています。フォアボールを与えてしまうと、ヒットと同じなので。ストライク先行で投げることを心がけて、いつもマウンドに上がっています」と回答。自分で納得できる内容?「いいところに、キャッチャーの要求するところに投げられたので、きょうは満足しています」
目指すところは先発であり「台湾にいた時も先発で、最低でも5回か6回以上投げていたので、これからもっと投げていきたい」と呂投手。理想の先発像は?との問いに「これというのはないです。皆さん、長所はいっぱいあるので。いいところを学んでいけたらと思います」と言っていました。模範的な答えです。
球の強さが必要と矢野監督。「その通りです。ストレートも変化球も。変化球については感覚がまだつかめないところがあるので、初球からしっかりつかんでいって、キレやスピードを上げていきたい」。最速144キロが出ていましたね。「天気が暖かくなってきたので(笑)」。これからもっともっと暑くなりますよ。「暑さは問題ないです。今はまだ台湾でいうと涼しいくらいなので」。へえ~この時はもう30度近くあったんですけどね。
バットで貢献、岡崎&陽川
次に陽川選手。4回の右前タイムリーは「2球で追い込まれたので、何とか進めようと思って」打ったものだそうです。5回の中犠飛は「つないで回ってきたから、うしろにつなぐ意識でいました」とのこと。続けて「あとの2三振ですね…。凡打の内容にこだわってやっていきたい」と言います。ところで、犠飛で戻ってきた時に苦笑いしながらバットを見ていた陽川選手。入らなかった~って感じでしょうか。首を傾げていましたね。
岡崎選手は、まず貴重な追加点となった6回の2ラン。打ったのは107キロ、カーブだったようです。「岩田も頑張っていたし、ここ2試合は悔しい負け方をしたので。追加点を取れたのは、まあよかったですね」。打撃好調?「打席は少ないですけど、少ない中で何とか結果を出せるようにと思っています。状態とか、内容とかというより結果を、という気持ちで」
もう1本、タイムリー二塁打も大きかった!「3ボールのあと、追い込まれてから打てたのでよかったです」
そして勝利した日のヒーロースピーチは、早くも2度目の登場です。前回は甲子園で、昭和の日にちなんだ話をした岡崎選手。17日は「4年に一度しか出ない僕のホームランを見ていただいて…」と言っていました。試合後に聞くと「オリンピックって言おうかと思ったんですけど、4年に一度にしました。割合的にはそれくらいなんで(笑)」
初球からバチン!と、そして走った
最後は西田直斗選手です。2回が四球、4回はカウント1-3からの6球目、低めの真っすぐをライト前へ運んでいます。6回は初球を打って一ゴロ、8回も初球の真っすぐを今度は左前へ。3打数2安打で、まだ通算打席数は20ですけど打率が353となりました。
しっかり初球から打ちにいっていますね。「そういう意識で打っているので。何とかバットに当てたい。当てれば何かあるから。開かずに打とうというのがあります。きょうはランナーが一塁にいたから抜けたので場面によっては違うけど。一、二塁間はヒットになりやすい、と去年から言われてます。ボテボテでも抜けるので」。なるほど、それで率も上がるわけですもんね。
「とりあえず速い真っすぐに合わせていますが、初球からタイミングを合わせることはしています。追い込まれてもいいけど、初球からバチン!といけたら“あ、準備しているな”と思わせることができるので。ただ打つのではなくタイミングとか、ファーストストライクが甘かったら絶対にいきたい」
ルーキーイヤーに印象的だった、あの渋いヒットが見られ、それだけでなく果敢に次の塁も狙う積極性も。この日は8回に岡崎選手の左翼線二塁打で一塁から生還しました!ホームインしたところを熊谷選手が笑顔で迎え、ベンチではまるでホームランを打ったかのような歓迎ぶり。思い出して苦笑いをしながら「速かったですか?」と聞く西田選手。「きょうは三塁まで思ったより速かった」と失礼な返事をしたんですけど、そこで「塁を回ると遅くなるのかも」と返してくれました。また楽しみにしています!
<掲載写真は筆者撮影>