またもや文科省の病
栃木県那須町のスキー場付近で高校生ら8人が死亡した雪崩事故で、文科省は全国の国公私立高校や高専などを対象に、冬山・春山登山の実態調査を実施することを明らかにした。調査すること自体は必要なことなのだろうが、その方法が問題だ。
文科省の調査は、アンケートである。3月31日付で、文科省の外局であるスポーツ庁が各教育委員会や高校などにアンケート用紙を送付したという。
その結果を5月中にとりまとめ、栃木県教委が事故について設置した検証委員会の報告や有識者からのヒアリングなどを参考に再発防止策を検討するそうだ。
つまり、文科省・スポーツ庁は学校現場に足を運ぶことなく、机上だけで防止策をまとめるわけだ。そこから有効な防止策がでてくるとは、とても思えない。結局は、あれをやるな、これは禁止といった、「上」からの命令を降ろすだけになってしまうことは容易に想像できる。
アンケートが、有効な調査方法の一つだということは否定しない。しかし、なんでもかんでもアンケートでは、ほんとうのことが見えてこないのではないだろうか。
何か問題が起きるとアンケート用紙を配って、その結果だけで、「これを禁じる」「あれをやれ」というのが、文科省の常套手段のような気がする。文科省にしてみれば、いちばん手間のかからない方法でもある。
その分、学校現場はアンケートに答えるために時間を割かなければならない。それが有効な防止策につながるのなら積極的に取り組むのだろうが、「いつものことか」と思えば負担ばかりがのしかかってくる。学校も、教員も、疲弊するだけだ。
防止策に本気で取り組むのなら、自らの足を使い、目と耳を使っての調査が必要なのではないだろうか。そうでなければ実態は把握できない。型どおりのアンケートで、実態が把握できるとは、とても思えないのだ。これは、文科省の病ともいえる。