保育士は「子どもを褒める」よりも「子どもに共感する」ことが大切~元男性保育士がすすめる【共感保育】
保育士として毎日頑張っている皆さん、お疲れさまです。
元保育士ライターのナイスです。
皆さんは、子ども達と楽しい毎日を過ごせていますか?
僕は30年以上保育士として働きましたが、今は退職してWebライターやリトミック講師として活動中です。30年以上の経験の中には楽しい思い出や嬉しかったことがたくさんあり、保育士として働くことができて本当によかったと思っています。しかし、数多くの反省や失敗があり、思い出すと胸が痛むこともたくさんあるのも事実です。辛かったことや苦しかった日もたくさんありました。
そんな自分の経験から、保育士として頑張っている皆さんに何かヒントになるようなことやためになる情報をお伝えしたいと思い、記事を書いています。
今回のテーマは、「共感」です。
子どもをたくさん褒めていますか?
褒めることの大切さや効果は、皆さんよくご存じだと思います。中には「褒める言葉がいつも同じ」とか「褒めるところが見つからない」など、褒めることの難しさを感じている人もいるかもしれませんが、同じことを何度も褒めたり褒める言葉がいつも同じになったりしてもよいと思います。子どもは何回褒められても嬉しいものだからです。しかし、日々工夫しながら、子ども達一人ひとりのよいところをたくさん見つけて、今までと違うところを褒めたり違う褒め方ができたりするとますます子ども達は嬉しく感じ、自信や意欲、自己肯定感が高まっていくでしょう。ぜひ、これからも毎日工夫をしてください。
子どもに共感できていますか?
褒めることは大切ですが、共感することもとても大切です。「共感する」ということを、毎日意識して保育していますか?
「共感する」とは、「子どもの心に寄り添う」ことにも通じると思います。たとえば、転んで痛がって泣いている子がいたら「泣かないで」と声をかけるのではなく、子どもの心に寄り添って共感すると「痛かったね」という言葉に変わるでしょう。
友だちにおもちゃを取られて、怒って噛みついてしまったことがいたら、噛みつくことはよくないので「噛みついたらお友だちは痛いからやめようね」ということを伝えなくてはなりません。しかしその前に、まずは「おもちゃを取られて悲しかったね」と子どもの悲しみや怒りの気持ちに共感しましょう。その後で「でも、お友だちを噛んだらいけないよ」ということを伝えると、子どもも素直に理解しやすいと思います。
きっと、日々の保育の中で共感することを実践している保育士さんは多いでしょう。特に子ども達がマイナスの感情になっているときに、より共感しやすいと思います。もちろん何か嬉しいことがあって喜んでいる子どもには「よかったね」と、喜びを共感する言葉かけもたくさんしていることでしょう。
褒めるときこそ共感を!
先ほど褒めることについて書きましたが、「褒める」という行為は保育士が子どもを評価しています。つまり、上から目線の行為です。保育士は大人なので子ども達よりも経験や知識はたくさんあり、日々の保育の中で教えたり叱ったりする場面があるでしょう。しかし、子ども達を褒めるときには「上から」ではなくて、子ども達の目線に下りて「共感する」ということを意識することをおすすめします。
褒めるときに共感することを意識すると、次のような言葉に変わります。
- のびのびと絵を描けた子に対して「上手に描けたね」と声をかけることがあると思います。しかし、子どもは上手に描けたことよりも、楽しく描けたという満足感でいっぱいになっていることでしょう。保育士はその気持ちに共感し、「楽しく描けてよかったね」と気持ちに共感する言葉をかけます。
- かけっこで1位になった子には「速かったね」という言葉よりも、「1位になって嬉しいね。おめでとう」と共感する言葉をかけるのです。上から褒めるよりも共感することを意識すると、言葉が変わります。
子どもは褒められると嬉しいので、「上手だね」と褒めることが悪いわけではありません。しかし、「上手にできてよかったね」など子どもの気持ちに共感した言葉を心がけることで、子どもは「先生に気持ちを分かってもらえた」という喜びで満たされるでしょう。喜びで気持ちが満たされることで、子どもは満足感や達成感が、より高まります。そして自分に自信をもち、また頑張ろうという意欲をもつでしょう。
まとめ
大人も自分の考えや気持ちに共感してもらえると、とても嬉しいものです。保育士の皆さんは、子どもの気持ちに寄り添いながら保育をしていると思います。子どものよいところを見つけて、毎日たくさん褒めているでしょう。これからは、褒めるときに「共感する」ということもぜひ意識してみてください。共感することを意識すると言葉が変わり、子ども達の反応やその後の行動にもよりプラスの変化が表れるかもしれません。ぜひ、実践してみてもらえたら嬉しいです。