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週末は北日本で再び暴風と雪に注意

饒村曜気象予報士
南岸低気圧による雨と風の分布予報(3月18日15時の予想)

前線を伴った低気圧接近

 前線を伴った低気圧が発達しながら本州南岸を進むため、18日(金)は西日本から東日本では雨が降り、太平洋側を中心に降り方が強まる見込みです(図1)。

図1 予想天気図(左は3月18日9時、右は19日9時の予想)
図1 予想天気図(左は3月18日9時、右は19日9時の予想)

 特に南西諸島や九州、四国付近では、昼頃にかけて局地的に非常に激しい雨の降るおそれがあります。

 天気図には表れていませんが、2つの高気圧に挟まれている東北南部から北陸地方には、潜在的な前線がありますので、大きな地震のあった東北では、低気圧が接近するよりも早く、18日の午前中から雨や雪の降り出す所があるでしょう。

 タイトル画像は、3月18日15時の雨と風の分布予報ですが、低気圧の渦巻きは四国付近にあって四国東部から紀伊半島に低気圧の本体に伴う強い雨雲がありますが、仙台付近から佐渡島付近にも雨域がかかっています。

 地震の揺れの大きかった地域では、地盤が緩んでいる可能性があります。土砂災害や、なだれが発生するおそれがあるため注意・警戒が必要です。

寒気南下

 今週末は、通過した低気圧が日本の東海上で発達し、強い寒気が南下してきますが、強い寒気の目安となる5500メートルで氷点下36度以下の寒気は北海道止まりですし、氷点下30度以下の寒気も東北北部までしか南下しません(図2)。

図2 上空約5500メートルの気温分布
図2 上空約5500メートルの気温分布

 このため、大雪の可能性があるのは、北海道と東北北部の太平洋側だけです。

 気象庁は、5日先までに警報を発表する可能性を、早期注意情報として「高」「中」の2段階で発表しています。

 これによると、暴風警報(暴風雪警報)については、3月19日は岩手県沿岸で「高」、北日本の太平洋側と栃木県で「中」となっており、週末の北日本は強い風が吹く見込みです(図3)。

図3 暴風警報(暴風雪)警報の可能性(上は3月19日、下は3月20日)
図3 暴風警報(暴風雪)警報の可能性(上は3月19日、下は3月20日)

 また、大雪警報については、3月19日は北日本の太平洋側で「中」、20日は北海道東部で「中」となっています(図4)。

図4 大雪警報の可能性(上は3月19日、下は3月20日)
図4 大雪警報の可能性(上は3月19日、下は3月20日)

 北日本から東日本の山沿いでは、平年より多くの雪が積もっていますので、降雪の量がひところほどの量ではなくても、十分な警戒が必要です(図5)。

図5 積雪の深さ(3月17日16時現在)
図5 積雪の深さ(3月17日16時現在)

札幌の気温変化

 札幌の気温変化を見ると、2月の前半までは寒い日が続いていましたが、2月後半以降、最高気温、最低気温ともに平年より高い日が続いています(図6)。

図6 札幌の最高気温と最低気温の推移(3月18~24日は気象庁、3月25日から4月2日はウェザーマップの予報)
図6 札幌の最高気温と最低気温の推移(3月18~24日は気象庁、3月25日から4月2日はウェザーマップの予報)

 週末は、南下した寒気によって平年より気温が低くなりますが、平年値そのものが高くなっている季節に入っていますので、ひと頃の寒さではありません。

 そして、3月下旬は10度以上に気温が上がる予報です。

タイトル画像、図2、図3、図4、図5の出典:

図1の出典:気象庁ホームページ。

図6の出典:気象庁ホームページと、ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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