ここ2シーズンはセンターしか守っていない選手が、2年ぶりに二塁を守る。その理由はトレードにあり!?
7月13日、「1番・センター」として出場したジャズ・チザムJr.(マイアミ・マーリンズ)は、5回裏から、二塁へ移った。
それまで、二塁を守っていたジョナ・ブライドは、5回表に代打を送られた。ブライドに代わって打席に立ったヘスス・サンチェスは、外野手だ。ライトのデイン・マイヤーズがセンターへ移動し、サンチェスはライトの守備についた。
もともと、チザムJr.は、ミドル・インフィルダーだった。マイナーリーグ時代は、遊撃をメインとしていた。メジャーデビュー後は二塁を守ることが多く、昨年1月にルイス・アライズ(現サンディエゴ・パドレス)が加入したのに伴い、外野手に転向。そこからは、センターを定位置としてきた。
この経緯からすると、7月13日のポジション変更に、おかしなところはない。ただ、昨シーズンも、今シーズンの前日までも、チザムJr.が守備についたのはセンターだけ。最後に二塁――だけでなくセンター以外――を守ったのは、2年以上も前だ。2022年は、腰を痛め、6月下旬にシーズンを終えた。
そこには、トレード市場の買い手に向けたデモンストレーション、という意味合いもあるように思える。
マーリンズは、7月13日に63敗目を喫した。その一方で、32勝しか挙げておらず、勝率は.350に届いていない。5月初旬には、アライズをパドレスに放出している。
チザムJr.は、5ツール・プレーヤーのポテンシャルをフルに発揮しているとは言い難いものの、2021年と2023年は、どちらも20-20に迫った。それぞれ、18本塁打&23盗塁、19本塁打&22盗塁だ。今シーズンは、12本のホームランを打ち、18盗塁を記録している。
26歳と若く、FAになるのは2026年のオフなので、必ずしも、今夏に放出する必要はない。けれども、十分な見返りが得られるなら、マーリンズは、チザムJr.を手放すのではないだろうか。
現時点でも、センターにとどまらず、センターと二塁のどちらでもプレーできることを――可能性だけでなく――実際に示せば、その分、チザムJr.を欲しがる球団は増える、という寸法だ。