攻守の“BBC”が激突。史上初の連覇を目指すマドリーと驚異的な守備力誇るユーヴェが欧州の頂を争う。
最強の称号に相応しい2チームが出揃った。レアル・マドリーとユヴェントス、3日のチャンピオンズリーグ(CL)決勝でビッグイヤーを掲げられるのは、一体どちらになるだろうか。
「準優勝チームは記憶に残らない」。これは昨季、決勝で敗れた際にアトレティコ・マドリーのディエゴ・シメオネ監督が放った言葉だ。2度決勝で散った指揮官が狼狽して口にしたように、ファイナルは天国と地獄を明確に分ける残酷な舞台でもある。
CL(前身のチャンピオンズカップ時代含む)におけるマドリーとユヴェントスの対戦成績は8勝2分け8敗とまったくの互角だ。しかしながら過去15年のノックアウトラウンドを遡れば、ユヴェントスの方に軍配が上がる。2002-03シーズンの準決勝、03-04シーズンの準々決勝、14-15シーズンの準決勝で、いずれもラウンド突破を決めたのはユヴェントスだった。
それでも、勝負強さを見せているのはマドリーだ。マドリーは1997-98シーズンに実現した唯一の決勝戦で、プレドラグ・ミヤトビッチが得点を挙げて1-0で勝利を収め、クラブ史上7度目のCL制覇を成し遂げている。 ただ、ミヤトビッチの得点にはオフサイドの疑惑があり、難癖をつける者もいたようだが。
「あの得点はオフサイドではなかった」と今でもミヤトビッチが主張していることはさておき、あれから多くの時が流れた。現役時代にイタリアとスペインを代表する2クラブで司令塔として活躍したジネディーヌ・ジダンは、現在マドリーで監督を務めている。
■功を奏したジダンのローテーション
史上初のCL連覇。前人未到の偉業を達成するため、マドリーの監督としてジダンほど相応しい人物はいないだろう。そのジダンは今季、「24選手で1つのチーム」を命題として掲げ、カリスマぶりを如何なく発揮してきた。
彼はクリスティアーノ・ロナウド、ガレス・ベイル、カリム・ベンゼマ、ルカ・モドリッチ、トニ・クロース、ハメス・ロドリゲス、セルヒオ・ラモスらスター軍団を見事に束ねあげた。それだけでなく、これまで試合出場を常としてきた選手たちにローテーションの重要性を理解させた。
今季のリーガエスパニョーラでは、マドリーの20選手が1000分以上の出場時間を確保した。バルセロナ(18選手)、アトレティコ(16選手)を上回り、これはリーガ最多の数字である。それでいて5年ぶり33度目のリーガ制覇をもたらしたのだから、指揮官の辣腕に称賛が集まるのも無理はない。
ただ、ローテーションの副作用として、一時はマドリディスタの間で“Aチーム”と“Bチーム”の論争が巻き起こった。イスコ、マルコ・アセンシオらは「スタメンに値する」とのファンの評価を勝ち取った。だが第33節のクラシコでバルサに敗れて以降、リーガで破竹の6連勝を飾って優勝を果たしたことで指揮官は周囲の喧騒を沈めた。勝利が一番の薬となったのである。
■攻撃の“BBC”と守備の“BBC”が激突
マドリーはベンゼマ、ベイル、C・ロナウドの“BBC”の出来が勝敗を左右するはずだ。負傷明けのベイルはベンチスタートになる可能性もあるが、試合の展開によって途中出場で決定的な仕事を任されるだろう。
対するユヴェントスは守備の要に“BBC”を据える。アンドレア・バルザーリ、レオナルド・ボヌッチ、ジョルジョ・キエッリーニだ。彼らの存在が3バック、4バック、5バックを可能にし、マッシミリアーノ・アッレグリ監督に戦術の幅を提供している。
アッレグリ監督はマドリー戦で5-4-1ではなく4-2-3-1の施行を検討している。しかし、“BBC”が「カテナチオ」の主役になることに変わりはない。バルザーリが右SBに入り、ボヌッチとキエッリーニがCBでコンビを組む。左SBにはアレックス・サンドロが位置し、今季キャリアハイの得点数を記録しているダニエウ・アウベスは右MFにポジションを上げるようだ。
ユヴェントスの今季の公式戦での1試合平均失点数は0,6点。CLに限れば、12試合で僅か3失点と、驚異的な守備力を示している。リオネル・メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールを擁するバルサでさえ、ユヴェントスとの2試合では1ゴールも奪えなかった。パンチ力のあるマドリー攻撃陣を抑えられるかどうか、“BBC”対“BBC”は大きな見所のひとつだ。