日本ハムの大谷翔平選手に「全米が注目」しているか?
二刀流の日本ハムの大谷翔平選手が劇画のような大活躍でチームの日本シリーズ進出に貢献した。
16日のソフトバンクとのパ・リーグクライマックスシリーズ最終ステージ第5戦で、プロ野球最速となる165キロを記録。自身が9月にマークした164キロを更新した。大谷は16日は「3番・DH」で先発出場。九回にDHが解除されて救援登板し、プロ野球最速を投げ込んだのだ。
プロ野球選手離れした大谷に、メジャーリーグ球団が強く関心を持ち、調査を続けているのは周知の事実。大谷はメジャーリーガーではないのに、メジャーに移籍した場合という仮定で、獲得球団が二刀流を続行させるかどうかが議論されているほど、一部の米国野球ファンにもその名前が知られている。
現時点で、米国人は、大谷選手にどれくらい注目したり、関心を持ったりしているのだろうか。
どれだけ「全米が注目」し、「全米が感動」したかどうかを正確に調べる方法を、私は知らない。
しかし、グーグルで大谷選手がどれだけ検索されているかを調べることで、大谷への注目度や関心度を推測できるのではないかと考えた。
そこで、グーグルトレンドを使用してみることにした。グーグルトレンドは、ある単語が、グーグルでどれだけ検索されているのか指標化し、グラフで表示するものだ。グーグルトレンドに過去5年と設定し、「shohei otani」と入力して調べてみた。
※shohei otaniかshohei ohtaniかの表記についての注釈を文末に付け加えました
shohei otani という言葉が過去5年で最も検索されたのは、2012年10月21-27日の1週間である。グーグルトレンドではこのときの指標が100である。(この指標は絶対値ではなく、他の時期と比べて相対的なshohei otaniの検索ボリュームを示している)
shohei otani が過去5年にグーグル上で最も多く検索された、2012年10月21-27日に起こった出来事を記憶している方も多いだろう。高校生だった大谷がメジャー挑戦を表明し、その直後の10月25日のドラフト会議で日本ハムから指名された時期だ。
この5年間で2番目に検索のボリュームが大きかったのは、2016年10月16日から23日までで指数は25。16日のソフトバンク戦での165キロ連発による影響だろう。23日まであと4日残っているので、数字が大きくなる可能性もあると思う。3番目に検索されている時期は、164キロをマークした2016年9月のオリックス戦と重なる。2016年9月11-17日で指標数22。(日本時間10月18日時点)
「shohei otani」という単語だけでは、どの国からの検索数が多いのかは分からない。地域別のインタレストによると、過去5年間の総合では「shohei otani」と検索してきているのは、米国からが圧倒的に多いようだ。ただし、過去1週間の総合では「shohei otani」と検索しているのは1位が日本、2位・韓国、3位・台湾、4位・カナダ、5位・米国だという。
2012年10月20日から26日までに、米国では大谷に関するどのような記事が出ていたのかをグーグルでさらに検索してみた。
東京発で大谷がメジャー希望している記事が配信され、ニューヨークタイムズ紙は2012年10月24日付で、大谷のメジャー希望と、これまで日本球界からメジャー入りした選手たちの移籍経緯などをまとめた特集記事を発表。
さらに、当時、大谷の獲得に積極的だったレンジャーズやレッドソックスのそれぞれの地元紙が熱心に大谷がどのような選手であるかを伝えていた。ヤンキース、カブス、オリオールズが大谷に関心を持っているという内容も報道されていた。日本球界を経ずにメジャー入りするかもしれない、超有望株の大谷をどこの球団が獲得するのか、ということに関心が高まっていたことをうかがわせる。
2番目に検索指数が高い2016年10月16日からは、ソフトバンク戦やWBC入りについて報道する日本発の英文記事が多い。
3番目に検索指数が高かった2016年9月11日ー17日には、米国人を対象とした報道はどのようなものだったのだろうか。
まず、メジャーリーグ公式ホームページが大谷の163キロを動画を入れて短く伝えている。このほかは、伝統ある野球専門誌「ベースボールアメリカ」や、米ヤフースポーツ、CBSが球速についての記事を掲載した。
大谷選手の凄まじい活躍ぶりは日本では、野球ファンはもちろん、特にファンでないという人も関心を持っているだろう。米国でもメジャーリーグ関係者や熱心なファンは注目している。常に誰かがshohei otaniを検索しているようだ。
しかし、グーグルトレンドのデータから推測する限りでは、全米のファンが日本ハムでプレーする大谷に注目しているとは言うことができない。
ちなみにマーリンズのイチロー(ichiro suzuki)、レンジャーズのダルビッシュ(yu darvish)と、大谷翔平(shohei otani)の過去5年間の検索ボリュームを相対的に表したグラフがこちらだ。
(イチロー選手がマリナーズからヤンキースに移籍した時期に検索の指数が最大になっている。野球のパフォーマンスによって記録を作ったときよりも、去就や移籍に関わる時期のほうが検索ボリュームが大きくなるということもあるのかもしれない)
「全米の野球ファン」が、大谷のパフォーマンスを軽んじているわけではない。大谷が現時点でメジャーリーグでプレーしておらず、いつメジャーリーグに移籍するかがわからないことから、自分たちの選手とは感じられず、注目したり、応援したりする対象になっていないだけだろう。
9月13日に米国ヤフースポーツの掲載された記事はこのような一文を書いている。
「大谷がメジャーに来ることを決断した時には必ず、高い関心が集まることになる」
大谷はメジャーリーグファンや米国人ファンが観戦し、応援できる対象となった時には、「全米の野球ファンが注目」し、そのパフォーマンスによっては「全米の野球ファンが感動」する日がくるかもしれない。大谷は、そういう期待を抱かせてくれる選手であると思う。
※ツイッターを通じて読者の方からshohei ohtaniという表記で検索すると異なるグラフになると教えていただきましたので以下に追記しています。
2012年に発表された大谷に関する記事をグーグル検索したところ、すべてがshohei otani という表記になっていました。しかし、2014年11月にメジャーリーグの公式ホームページの記事内でohtani という 表記が使われています。2016年現在もshohei otaniと表記されている記事やウェブサイトの方が多いと思われますが、メジャーリーグ公式ホームページは表記をohtaniとしています。
shohei ohtani という言葉でトレンドを調べると以下のようになりました。
しかし、shohei otani と shohei ohtaniのグーグル検索のボリュームを比較したところ、以下のようにshohei otaniの方がボリュームが大きいことがわかりましたので、記事の趣旨は変えないものとしました。