オカザえもんはなぜこんなにブレイクしたのか?
「キモい」「子供泣き出す」
デビュー当初はブーイングの嵐
愛知県岡崎市のキャラクター、オカザえもん。2012年秋にデビューすると、翌年には岡崎アート広報大臣に任命され、ご当地キャラ総選挙では何と全国2位に!関連グッズは500種類以上発売され、アッという間にゆるキャラ・ご当地キャラ界屈指の人気者になりました。“岡崎が顔”のキャラがまさに“岡崎の顔”となったのです。
2013年度の愛知県最大のヒットとも言えるオカザえもんですが、当初の評判は最悪。地元有力紙の中日新聞には「子供泣き出す岡崎ゆるキャラ」と書かれ、市民からも「キモい」「かわいくない」「岡崎をバカにしてるのか?」などブーイングが数多く寄せられました。
なぜブレイク?本人に直撃インタビュー(ただし筆談)
ところが、いつの間にやらの大ブレイク。オカザえもんはなぜこんなに人気沸騰したのでしょうか? 本人に直撃してみました(ただしオカザえもんはしゃべらないのでインタビューは筆談です(笑))
「拙者としてはもともと気持ち悪いなんてつもりはないので、なぜ?と言われるのは心外でござる!」
表情がまったく読めませんし、筆談ですから口調も分かりませんが、ブレイクしたのを不思議がられるのに少々憤慨しているご様子です。それにしても、かわいくて愛されるべきキャラクターとの自己評価らしく、この臆面のなさが逆風をものともせずにブレイク街道を強行突破したゆえんのひとつかもしれません。
「それでも、他のキャラクターとは違う、とインパクトを感じてもらったのは確かでござろう。“キモい”でも“変”でも印象に残り、それがいつの間にか“かわいい”“面白い”と転換するのがキャラクターの面白さでござる」
とも言いますから、ネラった上での確信犯なのか、それとも本人と消費者との間で認識にギャップを抱えたままで受け入れられていったのか、よく分かりません。それでも、当初不評だったことは本人の耳にも入ってたようで、それを払拭するために奮闘したことが後のブレイクにつながったのではないかと言います。
「まず地元で愛されなければいけないでござるから、幼稚園やショッピングセンターのイベントなどにもたくさん出演したでござる。岡崎を広く知ってもらうことが拙者の役目でござるから、PRになるのであればと1日7本イベントに出たこともあるでござるよ。岡崎は郷土愛が強い土地柄なので、地元のためにガンバってる、という姿勢が少しずつ認められてきたのでござろう」
キャラクター使用料無料で商品化のオファーが殺到
徐々に地元で認められてきたことで、関連グッズの商品化の依頼が次々舞い込むように。ここでポイントとなったのが、岡崎の企業や店舗の商品に関しては原則的にキャラクター使用料を取らないことでした。これによって和菓子店など商店レベルでも気軽にオカザえもんグッズを売り出すことができました。2013年の夏頃には、高速道路のSAPAや県内のキャラクターグッズ売り場などにも専用のコーナーが設けられるほどに。このあたりの仕組みは、熊本県のくまもんがライセンスフリーにして全国的ブレイクにつなげたのとよく似ています。目にする機会が加速度的に増えることで、インパクトのあるルックスにも見慣れるようになり、「キモい」という印象がいつしか「でも何となくかわいい」という愛着に変化していったのです。
また、ラップのDJプレイをしたり、ジャズライブでへんてこなダンスを披露したり、バンジージャンプしたり、レシピ本を出したりと、意外な芸達者であることも、活躍の場を広げるとともに、意外性のあるキャラとしてインパクトと注目度アップに効果的でした。
ブレイクを支えたのは地元っ子の愛情
フリーになって海外へも飛躍?
「何より岡崎の人がこんなに応援してくれるようになるとは思ってなかったでござるから、それが一番の励みになっていますでござる」
こう本人が言うように、ご当地キャラのパワーの源は地域で愛されること。岡崎の人たちに認められたことこそが、オカザえもんの活動の原動力となり、ブレイクを推進したと言えるのでしょう。
4月には岡崎市のアート広報大臣を卒業し、完全にフリーとなるオカザえもん。今後はより積極的に全国、さらには海外にまで活躍の場を広げたいとの野望に燃えているそう。岡崎が生んだ天下人・徳川家康に続けとばかり、岡崎から全国を制することになるのか、オカザえもんの今後に注目です。