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ドコモの新料金プラン名に「分かりにくい」との声 なぜそんな名前に?

山口健太ITジャーナリスト
ドコモが新料金プランを発表(NTTドコモ提供資料より、筆者撮影)

6月20日、NTTドコモがスマホ新料金プランを発表しました。新プランの「irumo(イルモ)」と「eximo(エクシモ)」はさっそくTwitterでトレンド入りするなど、話題になっています。

ただ、その中には名称が「分かりにくい」との声も少なくないようです。どこに問題があるのか、新プランの特徴とともに解説します。

小容量「irumo」登場、最上位は「eximo」に

新たにドコモの最上位プランとなるのがeximoです。これまでの「ギガホ」と「ギガライト」が1つに統合され、使ったデータ容量に応じて料金が変わる段階制プランになっています。

6月30日にはこれまでの「5Gギガホ プレミア」「ギガホ プレミア」「5Gギガライト」「ギガライト」の新規受付が終了することから、今後はドコモの「顔」になることは間違いないでしょう。

3GB未満の利用では5Gギガライトから若干値上げされたように見えるものの、このプランの主なターゲットとみられる「3GB超は無制限」の利用においては、月額7315円と据え置きになっています。

eximoの名前の由来は次のように説明されています。

「お客さまの期待をエクシードする(exceed:超える)スペックで、あらゆるニーズに応える」「料金、サポートなどあらゆる面において上質なcustomer experience(顧客体験)を提供する」ドコモを表現しました。

新料金プラン「eximo」の提供開始 | お知らせ | NTTドコモ

ただ、名前が読みにくいことは否めません。他のプラン名と同じ3文字と考えれば「エキモ」と読みそうになりますし、「exit」や「EXILE」から連想して「エグジモ」と読んでしまう人もいそうです。

プラン名を見ても中身が分からないとの指摘も相次いでいます。eximo、ahamo、irumoという名前の並びから、予備知識なしに中身を想像するのは難しそうです。

ドコモの新プラン。名前からは中身を想像しにくい(NTTドコモ提供資料より)
ドコモの新プラン。名前からは中身を想像しにくい(NTTドコモ提供資料より)

小容量プランのirumoはどうでしょうか。ドコモの説明によれば「サブブランド」ではないとのことですが、「3GBで月額2167円(割引適用後は月額880円)」という価格帯から、ワイモバイルやUQ mobileのライバルになりそうです。

irumoの名前の由来はこのように説明されています。

「あなたにiru(要る、必要とされる)」「あなたのそばにiru(いる)」ドコモを表現しました。また、「i(I:私)」「r(relation:関係)」「u(you:あなた)」から、私やあなたと関係する「irumo」という意味を込めました。

新料金プラン「irumo」の提供開始-データ利用量が少なく低廉な料金をお求めのお客さまに最適なプランが登場- | お知らせ | NTTドコモ

新プランの名称について、NTTドコモ 営業戦略部長の山本明宏氏は「どのプランにもドコモと同じ『モ』を付けており、ドコモらしさを感じられる分かりやすい名前にした」と説明しています。

それでも分かりにくいと感じる理由の1つとしては、各プランを松竹梅のように直線的に並べることができないことがあるように思います。

ドコモ新料金の全体像(NTTドコモ提供資料)
ドコモ新料金の全体像(NTTドコモ提供資料)

irumoは、eximoに比べて低価格なプランですが、ドコモのサービスとのセット割や全国のドコモショップなどでのサポートが使えることが特徴です。この点ではオンライン専用のahamoよりも優れているわけです。

たしかにドコモのユーザー数が非常に多く、利用スタイルは多岐にわたっているため、規模の小さい楽天モバイルやMVNOに比べて料金プランが複雑になってしまうのは分かります。

とはいえ、「NTT」や「ドコモ」よりもブランド力のある会社が業界内に存在していないことから、ドコモの最大の強みは「NTTドコモであること」だと筆者は考えています。

つまりユーザーにとって重要なのは「ドコモであるかどうか」であり、料金プランはもっと退屈な名前にしたほうが、「ドコモ」の名前が際立つのではないかと思うところです。

irumoは「値上げ」なのか?

新料金プランには、これからドコモがやりたいことが詰め込まれていると考えられるので、これから詳細な分析が進みそうです。

たとえばirumoには、NTTレゾナントの「OCNモバイルONE」の後継サービスとしての意味合いもありますが、irumoの3GBプランは月額2167円で、OCNモバイルONEの3GBプラン(月額990円)より大幅に値上げされたように見えます。

しかし、dカードやドコモ光などの割引を適用すると「月額880円」となり、OCNモバイルONEよりも110円安くなります。これは小容量の利用者であっても、ドコモのサービスをしっかり使ってほしいというメッセージが感じられます。

irumoの3GBプラン。割引適用後に月額880円という数字を強調している(NTTドコモのWebサイトより)
irumoの3GBプラン。割引適用後に月額880円という数字を強調している(NTTドコモのWebサイトより)

また、ドコモが他のMVNOと同じ価格帯でサービスを提供した場合、他のMVNOが生き残れなくなる恐れがあります。そのため、付加価値をつけることで価格を引き上げるのはやむを得ない判断という印象を受けます。

もう1つ気になるのはドコモ回線の状況です。最近は都市部などを中心にデータが流れにくくなる「パケ詰まり」が大きな問題となっており、キャリア選びにおいて無視できない要素になりつつあります。

このパケ詰まりの問題が解消し、新しいプラン名が定着すれば、という条件付きではありますが、ドコモのサービスとの親和性が高いプランとして魅力が出てきそうです。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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