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イスラエルのイラン再報復攻撃は空中発射弾道ミサイルによるレーダー撃破か

JSF軍事/生き物ライター
参考:イスラエル空軍よりダビデ・スリング開発試験でのブルースパロー標的

 4月19日にイスラエルはイランに攻撃を仕掛けました。これは4月14日のイランによる報復攻撃に対する再報復攻撃になります。関連:イランがイスラエルに大規模ミサイル報復攻撃(2024年4月14日)

  • 4月01日:イスラエルがシリアのイラン大使館を攻撃(武官7人死亡)
  • 4月14日:イランがイスラエルに報復攻撃(ほぼ迎撃され、損害軽微)
  • 4月19日:イスラエルがイランに再報復攻撃(小規模、レーダー撃破)

 4月19日のイスラエルの再報復攻撃は規模が小さく、イランの核施設など重要施設は攻撃されず、衛星画像では航空基地の対空陣地のレーダーが破壊されたことが確認できます。警告的な意味合いが強く、事態の更なるエスカレーションは望んでいないようです。

イラン、イスファハン、第8シェカリ航空基地の損害

 なおイラン近隣のイラク領(バグダッド近郊のラティフィヤとワーシト県アル・アジジヤ)でイスラエル製空中発射弾道ミサイルのブースターが発見されています。

 ラグ(懸吊環、suspension lug)が確認されるので空中発射方式、そして大直径の固体燃料ロケットモーターケースは、大きさが合致するのはイスラエルのラファエル社のブルースパロー標的です。これは本来は弾道ミサイル模擬標的なのですが、単なる標的ミサイルではなく、実戦用の高性能爆発弾頭(High Explosive)も選択可能で用意されています。

参考:ブルースパロー標的 出典:イスラエル空軍 2020年12月17日

参考写真:イスラエル空軍よりダビデ・スリング開発試験でのブルースパロー標的
参考写真:イスラエル空軍よりダビデ・スリング開発試験でのブルースパロー標的

PDF資料:Sparrow Targets | Rafael Advanced Defense Systems

ラファエル社の資料よりスパロー標的の交換弾頭、高性能爆発弾頭(High Explosive)の設定
ラファエル社の資料よりスパロー標的の交換弾頭、高性能爆発弾頭(High Explosive)の設定

 ただし不可解なことにブースターの発見場所からイスファハンまで約600kmあります。一段式推進ロケット+分離弾頭のブルースパローの場合、ロケットと弾頭は似たような位置に落下する筈です。空気抵抗の違いで降下中に到達距離の差が出るとしても、600kmも違ってくることは考え難い筈です。

Google地図より筆者作成、ブースター発見位置とイスファハンの位置関係
Google地図より筆者作成、ブースター発見位置とイスファハンの位置関係

 もしかするとブルースパローを下段のブースターとして流用した、まだ知られていない新型兵器なのかもしれません。上段に何らかの飛距離を稼げる新型の兵器システムが搭載されてイスファハン攻撃に投入されていた可能性があります。あるいは単にイラク領内で発見されたブースターはイラク領内のイラン隷下武装組織を狙った攻撃だった可能性もあります。

 なおイラン側はイスラエルのイスファハン攻撃について「イラン領内に潜入した工作員の操るマルチコプター小型ドローンによる攻撃」「ドローンというよりも子どもの玩具」といった過小評価する発表を行っており、事態の更なるエスカレーションは望んでいないようです。

軍事/生き物ライター

弾道ミサイル防衛、極超音速兵器、無人兵器(ドローン)、ロシア-ウクライナ戦争など、ニュースによく出る最新の軍事的なテーマに付いて兵器を中心に解説を行っています。

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