Yahoo!ニュース

ホームランを8本打ちながら二塁打と三塁打は0本。今年も新記録!? 昨年は打率1割台で40本塁打以上

宇根夏樹ベースボール・ライター
カイル・シュワーバー(フィラデルフィア・フィリーズ)Apr 21, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 カイル・シュワーバー(フィラデルフィア・フィリーズ)は、4月を終えるまでに8本のホームランを打った。この本数は、5月2日時点のナ・リーグ2位タイ。トップのマーセル・オズーナ(アトランタ・ブレーブス)との差は、1本に過ぎない。ちなみに、両リーグ最多は、ア・リーグの2人、マイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)とガナー・ヘンダーソン(ボルティモア・オリオールズ)の10本だ。

 ただ、シュワーバーの長打は多くない。26安打の内訳は、ホームランが8本とシングル・ヒットが18本。二塁打と三塁打は0本なので、ホームランと同じく、長打も8本だ。

 これまでにシーズン40本塁打以上を記録した延べ363人中、そのシーズンの二塁打と三塁打が計15本未満は2人だけ。1964年に49本塁打のハーモン・キルブルーが、二塁打11本と三塁打1本の計12本。1973年に40本塁打のハンク・アーロンは、二塁打12本と三塁打1本の計13本だ。

 今シーズン、シュワーバーは、40本塁打以上で他の長打は計10本未満という、史上初の記録を打ち立てるかもしれない。現時点では、40本塁打以上で他の長打は0本の可能性も、皆無ではない。

 とはいえ、まだ、開幕から1ヵ月と少ししか経っていない。5月2日時点で5本塁打以上の63人中、二塁打と三塁打が0本は、シュワーバー以外にもいる。カル・ローリー(シアトル・マリナーズ)は、6本のホームラン(と14本のシングル・ヒット)を打ち、二塁打と三塁打は皆無だ。

 なお、シュワーバーは、過去2シーズンとも、45本以上のホームランを打っている。昨シーズンは、打率.200未満で40本塁打以上を記録した史上初の選手となった。どちらのシーズンも、ホームラン以外の長打は、そう多くなかった。2022年が、打率.218、46本塁打、21二塁打、3三塁打。2023年は、打率.197、47本塁打、19二塁打、1三塁打だ。

 今シーズンは、ここまで、打率.211、8本塁打、0二塁打、0三塁打。2シーズン連続の打率.200未満で40本塁打以上も、あり得る。

 また、シュワーバーは、2022年と2023年に、どちらも両リーグ最多の200三振と215三振を喫した。今シーズンの48三振も、現時点では誰よりも多い。3シーズン続けて200三振以上なら、このストリークは、2008~10年のマーク・レイノルズに並ぶ。2008年が204三振、2009年が223三振、2010年は211三振のレイノルズを除くと、連続かどうかを問わず、シーズン200三振以上を3度記録した選手はいない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事