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残留せずにFAを選んだ結果は微妙!? WBC出場後に得た契約は、破棄したオプションとほぼ同額

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジャリクソン・プロファー Oct 22, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の出場を経て、ジャリクソン・プロファーは、ようやく新たな契約を手にした。ニューヨーク・ポストのジョン・ヘイマンによると、コロラド・ロッキーズと交わした契約は、1年775万ドル。そこに、400打席以上で100万ドルの出来高がついているという。

 昨年は、サンディエゴ・パドレスでレフトのレギュラーとしてプレーし、打率.243と出塁率.331、15本塁打と36二塁打を記録した。二塁打は、それまでの自己最多を1本上回った。オフに入り、プロファーは、2023年の選手オプションである年俸750万ドルを破棄し、FAになった。

 オプションと新契約を比べると、750万ドルと775万ドルなので、アップは25万ドルに過ぎない。ただ、オプションには100万ドルの解約金が設定されていたので、それと775万ドルを合わせると875万ドル(100万ドル+775万ドル)。さらに、出来高をクリアすれば、975万ドル(100万ドル+775万ドル+100万ドル)となる。

 とはいえ、プロファーと代理人のスコット・ボラスが望んでいたのは、年俸500万ドル以上の2年契約、あるいはもっと長期の契約だったような気がする。

 プロファーは、先月下旬に30歳となったばかりだ。シーズン本塁打は2018年と2019年の各20本が最多ながら、四球率は過去2シーズンとも11%を超え、三振率は16%に達していない。また、外野だけでなく、内野も守ることができる。

 ちなみに、MLBトレード・ルーマーズのスティーブ・アダムスは、今オフのFAトップ50の33位にプロファーを挙げ、契約は2年2000万ドルと予想していた。プロファーの球団が決まったのは、アダムスがリスト・アップした50人の最後だった。

 ロッキーズでは、ショーン・ボーチャードが左の上腕二頭筋を痛めて手術を受け、シーズン全休の見込み。ランダール・グリチックも、2月上旬に受けたスポーツ・ヘルニアの手術により、少なくとも開幕から半月は出遅れる。外野トリオは、左から右へ、プロファー、ヨナタン・ダーザクリス・ブライアントになると思われる。36歳のチャーリー・ブラックモンは、昨年以上にDH出場が増えるはずだ。

 年齢からすると、次のオフに、プロファーが複数年契約を手にするチャンスはある。もっとも、ロッキーズのホームで打ちまくったとしても、そのスタッツは額面どおりには受け取られない。クアーズ・フィールドは、打者天国だ。

 なお、WBCでプロファーとともにプレーした、アンドレルトン・シモンズディーディー・グレゴリアス――「WBCオランダは「売れ残っているFA」の見本市!? 元有望株、Gグラブ4度の遊撃手、ジーターの後継者」――の球団は、まだ決まっていない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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