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今年30本塁打以上のスイッチ・ヒッターは5人。歴代5位の44本や史上初の左右両打席とも18本も

宇根夏樹ベースボール・ライター
ケテル・マーテイ(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)Sep 21, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ナ・リーグとア・リーグにおいて、1シーズンに30本以上のホームランを打ったスイッチ・ヒッターは、延べ95人を数える。

 1人目は、1934年に35本塁打のリッパー・コリンズだ。2人目から10人目までは、ミッキー・マントル、マントル、マントル、マントル……マントル。1955~64年の10シーズン中、30本塁打に届かなかったのは、出場65試合で15本塁打の1963年しかない。91人目以降の5人は、2024年に記録した。

 その5人は、44本塁打のアンソニー・サンタンデア(ボルティモア・オリオールズ/現FA)、39本塁打のホゼ・ラミレス(クリーブランド・ガーディアンズ)、36本塁打のケテル・マーテイ(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)、33本塁打のフランシスコ・リンドーア(ニューヨーク・メッツ)、34本塁打のカル・ローリー(シアトル・マリナーズ)だ。ローリーの本数はリンドーアより1本多いが、30本塁打に到達したのは、リンドーアが先だった。

 同じシーズンに5人のスイッチ・ヒッターが30本塁打以上は、史上最多タイだ。2004年と2019年に並んだ。2024年の5人中、マーテイとリンドーアは、2019年の5人にも名を連ねている。この3シーズンの各5人は、こちらにリストを記載した。

「同じシーズンにスイッチ・ヒッター5人が30本塁打以上は史上最多!? 5人目はマリナーズの捕手」

 2024年の5人のうち、サンタンデアの44本塁打は、スイッチ・ヒッターの歴代5位に位置する。その上にいるのは、54本塁打のマントル(1961年)、52本塁打のマントル(1956年)、45本塁打のチッパー・ジョーンズ(1999年)とランス・バークマン(2006年)。サンタンデアは、43本塁打のマーク・テシェーラ(2005年)を上回った。

 マーテイは、左右の両打席から、ホームランを18本ずつ打った。こちらは史上初。ホームランと盗塁の「30-30」のように、少ないほうの数字に合わせて表記すると、これまでの左打席と右打席のホームランは「16-16」が最多だった。1960年に左打席で24本塁打と右打席で16本塁打のマントルがそう。マーテイは「18-18」だ。

 もっとも、マーテイが記録した、30本以上のホームランを打ち、その50.0%が右打席からは、最高の割合ではない。2023年のリンドーアは51.6%だ。31本中16本のホームランを右打席から打った。この2人を除くと、シーズン30本塁打以上のスイッチ・ヒッターは、左打席からのホームランのほうが多く、右打席からは44%未満。なかでも、2002年のランス・バークマンは、左打席からの40本塁打(95.2%)に対し、右打席からのホームランは2本(4.8%)にとどまった。右打席からの割合が2番目に低かったのは、5.9%のチッパー(1998年)とバークマン(2001年)だ。ともに、左打席で32本塁打、右打席は2本塁打だった。

 また、2024年の5人は、いずれも、その前にもシーズン30本塁打以上を記録している。サンタンデア、マーテイ、ローリーは2度目、ラミレスは3度目、リンドーアは5度目だ。

 リンドーアの30本塁打以上が5度は、スイッチ・ヒッターの歴代5位タイ。9度のマントルとテシェーラ、6度のチッパーとバークマンに次ぎ、エディ・マリーと並んだ。ちなみに、リンドーアが追い抜いたのは――あと1度でラミレスが並ぶのは――ミッキー・テトルトントニー・クラークカルロス・ベルトランの3人だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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