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ワールドシリーズで投げ合ったルーキーは第3戦の2人が8組目。その前の計14人中、大投手になったのは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ルイス・ガルシア(ヒューストン・アストロズ)Oct 29, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 1勝1敗で迎えたワールドシリーズ第3戦は、2人のルーキーが先発マウンドに上がり、どちらも好投した。イアン・アンダーソン(アトランタ・ブレーブス)は5イニングを投げ、与四球3と与死球1ながら、被安打ゼロの無失点。ルイス・ガルシア(ヒューストン・アストロズ)は4回裏に最初の2人を討ち取ったところで降板したものの、3回裏のピンチを1失点で切り抜けた。

 ワールドシリーズで先発投手として投げ合ったルーキーは、彼らが8組目だ。それまでの7組、計14人のなかで、1950年の第4戦に登板したホワイティ・フォードは、殿堂入りしている。2006年の第1戦に投げたジャスティン・バーランダー(現ヒューストン・アストロズ)も、おそらくそうなるだろう。ただ、4度出場しているワールドシリーズは、7先発で防御率5.68。白星はなく、6敗を喫している。ちなみに、15年前にバーランダーと投げ合い、完投まで3アウトに迫った――9回裏の先頭打者にホームランを打たれたところで降板した――アンソニー・レイエスは、消防士になった。

筆者作成
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 1981年の第3戦に投げ合った2人も、その後、それぞれ違う形で活躍した。フェルナンド・バレンズエラは、この年に新人王とサイ・ヤング賞を受賞し、翌年から6年続けて250イニング以上を投げた。なお、フォードとバーランダーもサイ・ヤング賞投手だが、選ばれたのはルーキー・イヤーではなかった。こちらも新人王を受賞したデーブ・リゲッティは、1984年からリリーバーに転向し、通算250セーブ以上を挙げた。

 また、1983年の第2戦に完投したマイク・ボディカーは、1984年にア・リーグ1位の防御率2.79を記録し、最多の20勝を挙げた。にもかかわらず、サイ・ヤング賞の投票結果は4位。各リーグ1人の選出となった1967年以降、最優秀防御率と最多勝の両タイトルを獲得しながら受賞できなかったのは、ボディカーと2017年のクレイトン・カーショウ(ロサンゼルス・ドジャース)しかいない。一方、1948年の第3戦に完封を記録したジーン・ベアデンは、この年がベスト・シーズン。ア・リーグ1位の防御率2.43を記録した。ワールドシリーズは2登板。第6戦は3点リードの8回裏、1死満塁から登板し、1点差に詰め寄られたものの、優勝までの5アウトを記録した。その後、クリーブランド・インディアンズはワールドシリーズで優勝していない。

 今年の2人は、トップ・プロスペクトだった投手とそうではなかった投手だ。アンダーソンは、2016年のドラフト全体3位。どの投手よりも早く指名された。ベネズエラ出身のガルシアは、2017年にアストロズと契約した時、すでに20歳だった。ドラフトの対象にならない海外のアマチュア選手とは、16歳から契約できる。

 彼らはどちらも、昨年の夏にメジャーデビューした。ここ2年のレギュラーシーズンに、アンダーソンは計160.2イニング、ガルシアは計167.2イニングを投げている。通算防御率はほとんど同じ。3.25と3.27だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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