KNNポール神田です。
なにやら、GAFAや巨大IT企業の一人勝ち体制に対して、日本も法的な整備でなんとか対抗しようとしているのがよく読み取れる。しかし、日本独自の法的なしばりで、制約や透明性を築くことがはたして可能なのだろうか?
また、情報の透明性といっても、GAFAが独自のアルゴリズムを公開することあありえない。むしろ、サービス運用ルールを強化すればするほど、外資に対してだけではなくそれは国内ベンチャーに対してもその包囲網が及ぶこととなるだろう。とくに、キャッシュレス社会推進の政府の音頭と共に、乱立する『QRコード決済』事業者なども、行動ターゲティング広告の手法を取り入れているので、データの持ち方に対して制約がかかることになりそうだ。
外資系の巨大ITのGAFAに抵抗し、日本の『楽天』や『ヤフー』などのプラットフォーマーの競争力は保護するというのは都合が良すぎると思われる。欧州連合(EU)のアクションも罰金制度で、縛りだした事を日本でも適応しようとするのだろうか? 問題はそのような制度で本当に保護できるのかということだ。
欧州連合のアクションはEU地域の弱小IT企業にもチャンスを与えようとしているが、GAFAが巨大になった理由のひとつは、カネや政治力で巨大になったわけではないことだ。巨大IT企業となったGAFAは、人々のニーズを常に先回りし、個人の放つ情報を素材に、広告事業などで情報のマッチングをおこなった結果だ。ユーザーも非常に大きな恩恵を受けているはずだ。ユーザーは誰にも頼まれずにGAFA企業のサービスを自ら利用してきている。それが受け入れられてきたことが現在のGAFAのポジションなのだ。
ユーザーは、嫌ならば、使用しなければすむだけである。いや、むしろ、規制するならば、ギャンブル依存症のようなGAFAの『サービス依存』に対して警鐘をならすべきであろう。
この法律策定の出元は、自民党 岸田派(宏池会)の岸田文雄政調会長の指示のようだった。法律や制度を考えるのは大変だが、本当に今までの自民党の競争政策調査会や公正取引委員会の視点で大丈夫なのか?
■「デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会」の中間論点
これは、2018年(平成30年)の中間論点の公開データだ。
多様な知見を有する学識経験者等からなる「デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会」
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h30/dec/181212_1.html
■規約を一方的に変更をされたという取引先
興味ぶかいのが、1日前の2019年4月17日(水)公正取引委員会のアンケート結果発表である。
■旅行市場の『OTA』プラットフォーマーにも立ち入り検査
■伊藤達也 自民党競争政策調査会会長の弁
つまり、独占禁止法を適用していく方法とみられる。情報開示が不十分な中で取引先が契約を強いられているというが、これもプラットフォーマーの利用規約に納得の上での参画である。参加しなければよいとまでは言わないが、プラットフォーマーの選択肢は、まだ残されている。当然調査結果に基づいての判断だが、取引先が100%満足できるようなプラットフォーマーなどは存在しない。
独占禁止法のルール枠での規制を考えるよりも、巨大ITプラットフォーマーがユーザーに指示されている原因をもっと解明し、規制緩和などで対応できる部分も検討いただきたい。
取引先事業者側や消費者のプライバシーを守るというだけの判断は、民泊やUBERのようなシェアリングエコノミー退国として次世代産業での遅れを作るばかりだ。
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