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PK戦までもつれた皇后杯決勝戦。4度目の対戦を制したのは、INAC神戸レオネッサ!(1)

松原渓スポーツジャーナリスト
決勝が行われたフクダ電子アリーナ(C)松原渓

【見どころ】

皇后杯決勝戦は、昨年と同じカードとなった。

INAC神戸レオネッサ(以下:INAC) vs アルビレックス新潟レディース(以下:新潟L) の一戦である。

新潟Lは、準決勝で今季2冠の日テレ・ベレーザを1−0で下して2大会連続の決勝に勝ち進んだ。

皇后杯では持ち前の堅守速攻を活かし、過去5年間に3度、決勝に進出している。今季からチームを率いる辛島啓珠監督は、シーズンを通して、攻撃面を中心に、ポゼッション能力を高めるトレーニングも取り入れてきた。今大会はその成果が表れており、4試合でわずか1失点と堅守を誇りながら、得意とするカウンターだけでなく、少ないタッチ数でテンポ良くパス回しをする場面も見られる。特に、右サイドでは上尾野辺めぐみ、大石沙弥香、佐伯彩ら、長い間、一緒にプレーしているメンバー間の連携の良さが強みであり、それが存分に発揮されている。

一方、INACは、準決勝では1−1で延長戦にもつれこみ、延長戦では京川舞の2得点でベガルタ仙台レディースを3-1で下し、決勝に進出した。

公式戦10連勝中のINACの強さの理由の一つに、控えも含めた全体のレベルの底上げがある。昨年から今年にかけて新加入の若手も増えた中、松田岳夫監督は日常のトレーニングから激しいポジション争いを促した。

ベンチ入りメンバーも試合ごとに異なる。競争の中で培われた個々の勝負強さや精神的な強さも、シーズン終盤からの好調の要因だ。

また、INACはなでしこリーグでは唯一、アマチュアではなく、昼間からサッカーができるプロに近い環境を持っている。その環境を活かし、松田監督は午前と午後の2部練習を積極的に取り入れた。結果、チームコンセプトの統一がなされサッカーの方向性が定まり、良好なコンディション維持もチームの連勝の一助となった。

昨年の皇后杯は、引退する澤穂希さんのために最高の花道を作ろうという特別な雰囲気がチームを包んでいた。そして、澤穂希さんという偉大なプレーヤーがいない今年は、彼女から多くを学んだ若い選手たちが、「新生INAC」の進化を証明するための新しいステージでもある。それに加え、長年、チームに大きな貢献をしてきた甲斐潤子が引退することもあり、各々の選手たちの胸には、いろんなモチベーションが重なり合っていた。

「(今年で引退を決めている潤さん(甲斐潤子)への思いもあるし、ここ(皇后杯決勝の場)に来られない選手もいるので、その思いを一つにして戦いたい」と話すのは、FWの道上彩花だ。

決勝戦は準決勝(23日)から中1日で迎える。両チームの条件は同じだか、INACは準々決勝と準決勝で延長戦(120分間)を戦っており、その2試合を90分間で決着をつけた新潟Lに比べて体力的に若干のハンデは否めない。どちらも、控え選手も含めた選手層の厚さが鍵になる。

両者は2011年、13年、15年と皇后杯決勝で対戦しており、戦績はINACの3戦全勝。

両チームのスタメンは以下の通り。

【新潟L】

FW  8大石沙弥香  10上尾野辺めぐみ 

MF 28八坂芽依        24佐伯彩          

MF   15阪口萌乃 20山田頌子

DF 4渡辺彩香 3中村楓 6左山桃子 14小原由梨愛

GK       22福村香奈絵

【INAC】

FW       10大野忍    

FW 14京川舞         11高瀬愛実

MF   22伊藤美紀 7中島依美

MF    16チョ ソヒョン 

DF 3鮫島彩 4田中明日菜 5甲斐潤子 2守屋都弥

GK      1武仲麗依

(2)【試合レポート】

(3)【監督・選手コメント(INAC神戸レオネッサ)】

(4)【選手コメント(INAC神戸レオネッサ)】

(5)【監督・選手コメント(アルビレックス新潟レディース)】

(6)【選手コメント(アルビレックス新潟レディース)】

に続く

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のWEリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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