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天然柚子を丸ごと蜜付け。松江市の老舗「彩雲堂」さんのあっさりとした朝汐餡をたっぷり詰めて

柳谷ナオ和菓子ソムリエ・ライター

2023年の冬至は12月22日の金曜日。翌日土曜日が休日という方は、お仕事や家事がひと段落したあと、ゆっくりと柚子湯に浸かるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。入浴剤でも手軽にリフレッシュできるので、ちょっとコンビニやドラッグストアに寄って帰宅なんていうのもありですね。

とはいえ、柚子は果皮も果汁も美味しい果実。酷暑の影響で収穫にも影響が出ているとのことですが、それでも毎年味わえるのは非常に嬉しくありがたいなと思います。

和のビタミンカラーといったところでしょうか、元気がでますね
和のビタミンカラーといったところでしょうか、元気がでますね

創業1874年、島根県松江市にお店を構える「彩雲堂」さんには、この季節限定の銘品が販売されているのです。今回は彩雲堂さんの「柚衣」をご紹介。

柚衣
柚衣

この時点で甘く蜜付けされた柚子の芳香が立ち昇ります
この時点で甘く蜜付けされた柚子の芳香が立ち昇ります

じゅわりと蜜をたっぷり吸った柚子がひとつ。丁寧に一本結びされた袋口からは、愛らしさと手仕事の温もりを感じます。

開封前からすでに心地よく鼻腔をくすぐる香りは、紐をほどいた瞬間待ってましたとばかりに解き放たれて。思わず息を思い切り吸ってしまったほど、大好きな涼香です。

天然の小粒の柚子、果皮も柔らか…
天然の小粒の柚子、果皮も柔らか…

角度を変えるごとに表情を変える天然の柚子。ひとつひとつ皮に穴をあけないよう種を取り除く作業は非常に神経を要すると思います。更に形を崩さないように蜜付けにし、てっぺんのヘタ部分も大切に添えてくださる…手間暇のかかる御菓子です。

中は皮むき小豆餡
中は皮むき小豆餡

中に見えるは一見白餡のようですが、こちらは朝汐餡。

島根県松江市では、小豆の皮を剥いて炊き上げるやや青みを帯びた薄墨色のあんこを朝汐餡とよび、松江市の和菓子屋さんの銘菓などにも多く取り入れられています。一般的なこし餡よりもあっさりとした風味が印象的ですが、手亡豆の白餡とはまた異なる小豆の風味と落ち着いた甘味が印象的。こちらが寒天で固められて柚子の中にとじこめられているのですが、炊かれたあんこの滑らかさや柔らかさを活かした固さに仕上げられているのも驚き。

立派な鹿の子(小豆の蜜煮)が
立派な鹿の子(小豆の蜜煮)が

そのおかげで柚子の甘味や苦味が華やかさとなって口の中で満開に。あんこと一緒に閉じ込められた立派な大納言小豆の蜜煮が時折顔を出し、ほっこりとした味の変化をもたらしてくれます。

体に力が入りぎゅっと縮こまってしまうような季節ですが、一口食べれば思わず肩の力がするすると抜けていくような逸品。お風呂に浸かる前に、おやつで日本の冬を味わってみてはいかがでしょうか。

<彩雲堂・本店>
公式サイト(外部リンク)
島根県松江市天神町124
0852-21-2727
9時~18時
不定休

和菓子ソムリエ・ライター

■年間400種を優に超える和菓子を頂く和菓子ソムリエ&ライター。美味しさだけではなく、職人さんやお店、その土地の魅力をいかに伝えるかに重きを置いて執筆中! ■製菓衛生士免許所持・製造・販売・百貨店勤務経験有 ■和菓子・お取り寄せ・お土産・アンテナショップ・都内物産展&催事・和菓子とお酒&珈琲&ノンアルコールとのペアリングなどの執筆や取材、監修を得意としています。

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