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生き物好きならチャレンジしたい生物分類技能検定、実際に受けた筆者が勉強法を解説!

いわさきはるかサイエンスライター
生物分類技能検定の公式テキスト2冊

哺乳類、鳥類、魚類、昆虫、植物など、身近な生物の名前や特徴を識別する力が認定される「生物分類技能検定」をご存知ですか? この検定は、一般財団法人自然環境研究センターが運営する資格試験で、自然界の多様な生物を正しく見分け、分類する知識と技能を評価します。

生物分類技能検定は4つの級に分かれており、1級、2級は専門家やプロフェッショナル、3級は自然環境自然愛好家、そして4級は動植物に興味のある初心者や子供たちでも挑戦しやすいレベルに設定されています。子どもから大人まで、動植物を学びたい方なら誰でもチャレンジできる資格なのです。

自然観察が趣味の方、将来は生物学者を目指す学生さん、環境保護に携わる仕事に就きたい方、はたまた単純に生き物が大好きな子供たち。この検定は、あなたの「生き物博士」への第一歩となるかもしれません。

本記事では、主に一般の方々や学生の皆さんに人気の3級と4級に焦点を当てて解説していきます。実際に3級を受験した筆者が、0からの勉強法や試験日に気を付けることなどを具体的に書いて行きますので、気になる方はぜひ参考にしてくださいね。

大人から子どもまで「生き物博士」を示せる資格

私は高校で生物を履修していなかったこともあり、生き物に関する知識は中学生レベルで止まっていました。サイエンスライターの仕事をしている中で生き物の記事を書く機会がは多く、その都度勉強しながら書いていましたが、「もう少し基本から広く生物について学んでおきたいな」と思うようになりました。私が生物分類技能検定の受験を決めたのはこのようなきっかけです。

受験生の中には私のように仕事で役立てたいという人もいますが、もともと好きだった生物種の知識をもっと広めたかった人なども多くいるようです。特定の動物種や植物種を愛する子どもたちの受験も多く、2023年度の試験では最低合格年齢が4級で6歳、3級で8歳だというのだから驚きです。動植物への知識は年齢関係なく「もっと知りたい」という情熱によるのかもしれませんね。

広大な範囲をどう攻略する?公式テキストの使いこなし方

とはいえ、生物分類技能検定が対象としている動植物の範囲は非常に広く、普段目にすることもないような無脊椎動物なども含まれます。自分が好きなものにだけ詳しくても合格点には及びません。特に私はどの生物種が得意というわけでもないほとんど0からのスタートだったので、最初はどこから手を付ければいいのかわかりませんでした。

そこで購入したのが、同検定の運営元である一般財団法人自然環境研究センターが発行している公式テキストです。3、4級向けには「生物分類技能検定3級・4級解説集」「生物分類技能検定 試験問題集 3級・4級」の2冊が出ており、Amazonで購入することができます。

試験問題集は過去問を集めたものなので、まずは解説集を使って学習していきました。ただし「解説」と名の付く通り、解説集も過去の問題を基にそれを解くために必要な知識を解説するもので、「テキスト」とは全く別物です。関連する問題がまとめられてはいるものの、3級と4級で解説が分かれているため、項目ごとにノートなどにまとめ直すと復習しやすくなります。私の場合、わからない用語や分類名、生物種などが多くあったので、それに対する説明を空白多めに書いておいて、後から関連する生き物の具体例を書いて行くとうまくまとまりました。

また、前述のように同検定の試験範囲は膨大ですが、中には中学卒業程度の知識ですんなりわかる問題もあります。得意分野の問題なら特に追加の勉強をしなくてもほとんどわかるといったようなこともあるかもしれません。勉強時間は限られているので、わかる問題についての勉強は避けたいものです。

まずは解説集の問題を解説を読まずに解いてみて、特に問題なく解けた問題にマークを付けておきましょう。私は、すべての「選択肢をすべて知っていて、答えもわかった」問題に〇、「一部の選択肢はわからなかったが消去法でわかった」問題に△、「問題文や選択肢にわからない言葉があり問題そのものが理解できなかった」問題に×を付け、×→△→〇の順に優先度をつけて勉強しました。膨大な範囲を効率的に勉強するためにもまず「わからないところがどこか明らかにする」ことを意識してみると良いでしょう。

小さい子どもだと難しい?受験当日の注意点

生物分類技能検定は、試験開始5分前までには会場に到着しておかないと受験不可になります。30分前から受付可能ですので、時間に余裕を持って行動しましょう。受付は本人確認のみで比較的手軽ですが、受付が終わると荷物をロッカーに預け、必要書類を記入する流れになります。最後に少し勉強しておきたいという方やお手洗いを済ませておきたいという方は受付前に行いましょう。

トイレについては、試験中でも卓上のボタンを押すことで試験官指導のもと行くことができますが、その間も試験時間を止めることができず進んでいきます。お子さまの場合はトイレの申告だけでかなり緊張してしまうと思いますので、受付に入る前に済ませておきましょう。

なお、試験はパソコンを使用して行われます。子どもから大人まで幅広い年齢層が受験できますが、パソコン操作を全くやったことがないという方は、少し戸惑うかもしれません。基本的にはクリック操作のみですが、最初だけログイン画面にIDとパスワードを入力する必要があります。お子さまの場合は事前に簡単なキータッチを教えておくといいかもしれません。

また、試験は個別のブースで行われますが個室ではありません。机の上には耳栓やイヤーマフなどの防音装備が用意されていますので、他の受験者のクリック音が気になる場合は活用するとよいでしょう。

試験時間は120分と比較的長めに設定されています。3、4級では100問ある問題がすべて選択式なので、時間には比較的余裕があるという印象です。ただし問題文で「萼片」(がくへん)などの難しい漢字でもフリガナがないことがあります。「漢字だったから読めなかった……」とならないためにも過去問はなるべくこなして読めない漢字を調べておくのがおすすめです。

試験問題をすべて解き終えたら、120分の経過を待たずに退室することが可能です。退室する前には試験終了の手続きが必要となりますので、受付時に与えられた説明書を確認しながら忘れず行いましょう。

生物分類技能検定で幅広い知識を身に着けよう!

今回私は生物分類技能検定3級にチャレンジしましたが、3級と4級の勉強をするだけでも動植物の生態や分類について、かなり知識が深まったように思います。

もちろん現段階では生き物を見てすぐに名前がわかるといったようなところまでは達していませんが、生き物を見るポイントはわかるようになりました。どの生物種か絞り込むために観察すべきポイントがわかったことで、わからない動植物に出会うと今まで以上にわくわくして、ああでもないこうでもないと観察結果を検索していく日々です。

また、幅広い動植物について学び、網目のように絡みあった相互の関係性を知ったことで、生物多様性の大切さを肌で感じることができるようになりました。今まで聞き流していた環境問題や野生の動植物に関するニュースを興味を持って調べたり、考えたりできるようになっただけでも受けた甲斐があったなと感じます。

前述の通り、生物分類技能検定は3、4級なら子どもでも受けることができる資格です。子ども時代に受けておくことで、これから出会うたくさんの動植物やそれに付随する問題に関心を持つことができるかもしれません。

単なる「生き物好き」から「生き物について考えられる人」になれる生物分類技能検定、興味がある方はぜひこの記事を参考に勉強を始めてみてくださいね。

サイエンスライター

保護猫2匹と暮らす理系ライター。猫や犬などペットとして身近な動物の研究をわかりやすく発信します。動物に関する研究は日々進んでいます。最新研究を知っておくと、きっとペットとの生活がより豊かなものになるはず。読めば人も動物もWin-Winになるような記事を書いていきたいと思います。

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