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動物を「知ること」が共生の第一歩!獣医師から学べる動物愛護フェスティバル

いわさきはるかサイエンスライター
提供:公益社団法人神戸市獣医師会

2024年10月6日、神戸市のしあわせの村にて(公社)神戸市獣医師会動物愛護フェスティバルが開催されました。好天に恵まれ、子どもが参加できるブースも多いとあって、家族連れを中心に大盛況だった同イベント。猫を2匹飼っている我が家も子どもと一緒に参加し、多くのことを学ぶことができました。

この記事では筆者の娘たちが実際に「こども獣医師体験」や「ウサギふれあい教室」を体験したようすをご紹介すると共に、動物愛護フェスティバルを通じて学んださまざまなことをレポートします!

大人の飼い主も十分に勉強になる「こども獣医師体験」

聴診器と白衣をつけて、気分は獣医さん(撮影:いわさきはるか)
聴診器と白衣をつけて、気分は獣医さん(撮影:いわさきはるか)

同イベントの目玉の一つでもある「こども獣医師体験」は獣医師さんたちにお話を伺いながら実際に獣医師の仕事を体験できるブースです。動物診療には欠かせない身体検査、心音検査、血液検査、尿検査の4つを体験することができます。

身体検査ではぬいぐるみを使って身体検査を受ける手順を学びました。「動物の身体検査ではまず撫でてあげてリラックスさせてあげることも大切です。」との声に感心する子どもたち。触ることでわかる肥満度や昨今話題になっているマダニの検査なども交えながら、実践的な身体検査を学びました。

犬のぬいぐるみでマダニを探す練習(撮影:いわさきはるか)
犬のぬいぐるみでマダニを探す練習(撮影:いわさきはるか)

心音の検査では、聴診器を用いて健康な犬の心音と異常がある犬の心音を聞き比べます。初めてつける聴診器に「耳がむずむずする」との声もありましたが、心音を聞く際は子どもたちも一言も発さず真剣に聞いていました。時間があったので保護者である私も聞かせてもらったところ、健康な個体が「どっくんどっくん」としっかりした心音をしているのに対し、異常な個体は「ざーざー」とテレビの砂嵐のような音で、こんなに異なるのかと驚きました。

血液検査、尿検査については実際に使われている機器を使った検査のやり方や見るべきポイントを学ぶことができます。我が家にはおしっこに異常が出始めている猫がいるので娘たちも真剣に話を聞いていました。

どの検査でも、担当の先生方が子どもたちに「どんな動物を飼っていますか?」と聞いてからお話を始めてくださり、飼っている動物に応じた実践的な説明が印象的でした。

ウサギとの正しい触れ合い方を学ぶ「ウサギふれあい教室」

小さなウサギをやさしくなでなで(撮影:いわさきはるか)
小さなウサギをやさしくなでなで(撮影:いわさきはるか)

かつては多くの小学校で飼育され、あたりまえに触れ合うことができたウサギですが、最近は飼育環境の難しさなどから飼育する学校も減っており、なかなかそのような機会を得られません。動物園などで触れる機会はあるもののどのように触ればいいかわからないというお子さんも多いのではないでしょうか。

「ウサギふれあい教室」は、単にウサギに触れるだけでなく、ウサギの生態などを学んだうえで獣医師から正しい触れ合い方の指導を受けられる貴重な機会です。「ウサギの耳は何で長い?」「ウサギに適したごはんは?」「ウサギの寿命は?」「ウサギはどう触れたらいい?」などのお話を交えながら、子どもたちの膝にそっとウサギが置かれます。子どもたちは誰一人ふざけることなく、壊れ物を扱うようにやさしくウサギをなでていました。デリケートな動物だと知ることができれば、子どもたちはちゃんとストレスを与えないように触れようとしてくれるのです。

続いて聴診器を使って、ウサギと人間の心音を聞き比べます。子どもたちは口々に「人間はどくんどくんだけど、ウサギはどっどっどって感じ!」などと話し、人間とウサギの心音の速さの違いに驚いていました。

人間よりずっと速いウサギの心音を聞いてみる(撮影:いわさきはるか)
人間よりずっと速いウサギの心音を聞いてみる(撮影:いわさきはるか)

最後には獣医師の先生から「ウサギさんはこういう風な場で触られるのが決して得意じゃないけれどみんなのために協力してくれました。ウサギさんへ『ありがとう』を言ってあげてくださいね。」との言葉があり、みんな思い思いにウサギへの感謝を口にしていました。

「知る」ことで強くなる動物と人間の絆

心臓マッサージも学んだ娘。「いざというときはまかせて」と意気込んでいました(撮影:いわさきはるか)
心臓マッサージも学んだ娘。「いざというときはまかせて」と意気込んでいました(撮影:いわさきはるか)

同イベントでは「動物クイズラリー」や「飼育動物の長寿表彰」など様々な動物に関する催しが行われていました。クイズラリーは様々な動物と人間の能力を比較したクイズも多く、大人である私でも「そうなのか!」と感心する問題がたくさんありましたし、長寿表彰はこれから大好きなペットと長く暮らしたいという気持ちをより強いものにしてくれました。

犬猫ウサギの長寿表彰、飼い主さんたちの愛情が伝わってくる(提供:公益社団法人神戸市獣医師会)
犬猫ウサギの長寿表彰、飼い主さんたちの愛情が伝わってくる(提供:公益社団法人神戸市獣医師会)

イベントから一夜明け、娘たちは「うちの子たちも長生きしてくれるように」と飼い猫たちの身体検査にいそしんでいます。今回の体験で学んだことは動物医療の中のほんの一部分に過ぎませんが、慣れ親しんだ我々飼い主たちによって少ないストレスで日々の健康をチェックができればペットの健康や幸せにつながっていくのではないでしょうか。

動物愛護フェスティバルでは動物と暮らしていく上で動物について「知る」ことの大切さを教えてくれるイベントでした。

【取材協力】

公益社団法人神戸市獣医師会

(公社)神戸市獣医師会は、狂犬病をはじめとした人獣共通感染症の予防や適正飼養の啓発を通して公衆衛生の向上を図ることを目的に発足し、動物愛護推進のため学校園への訪問指導や体験教室、学校園動物の治療、傷病野生鳥獣の救護、長寿動物表彰などの事業を行っており、それら目的に賛同する神戸市内の獣医師の会員によって運営されています。

https://kobeshijuishikai.or.jp/


サイエンスライター

保護猫2匹と暮らす理系ライター。猫や犬などペットとして身近な動物の研究をわかりやすく発信します。動物に関する研究は日々進んでいます。最新研究を知っておくと、きっとペットとの生活がより豊かなものになるはず。読めば人も動物もWin-Winになるような記事を書いていきたいと思います。

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