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天気の周期変化と大雨

饒村曜気象予報士
大粒の雨が降る道路(ペイレスイメージズ/アフロ)

関東の降水量

 冬の関東地方は、時折、南岸低気圧と呼ばれる低気圧の通過によって雨や雪が降るほかは、北西の季節風によって乾燥した天気が続きます。

 このため、一年で一番降水量が少ない季節です。

 しかし、今冬は、南岸低気圧が関東沖を離れて通過したため、関東地方南部の降水量は多くはなりませんでした。

 このため、東京で平年の48パーセントの79.5ミリなど関東南部では半分、前橋で平年の16パーセントの13.5ミリなど関東北部では2割しか降りませんでした(図1)。

図1 今冬の関東の降水量の平年比
図1 今冬の関東の降水量の平年比

 もともと少なかった平年の降水量より、さらに少ない降水量だったわけです。

 ただ、図2のように、南岸低気圧の北側で空気が集まって雲が発達し、小さな低気圧が発生するなどで雨や雪がぱらつくことが多かったので、降水量は少なくても、降水日数は多くなっています。

図2 地上天気図(2月22日21時)
図2 地上天気図(2月22日21時)

周期変化

 鹿児島県では2月28日に大雨警報の可能性が「中」で、南岸低気圧に注意が必要です。

 また、台風2号が天気図の南端に表れます(図3)。

図3 予想天気図(2月28日9時の予想)
図3 予想天気図(2月28日9時の予想)

 日本の南海上の海面水温がまだ低いので、台風として北上してこないと考えられますが、日本付近に水蒸気を送り込む可能性がゼロではありません。

 九州南部では、台風2号の動向にも注意が必要です。

 そして、今冬に多かった南岸低気圧の北側で小さな低気圧ができるという傾向は、2月28日の南岸低気圧でも同じです。

 関東南部では、九州南部にある南岸低気圧の雨雲が接近する前に、南岸低気圧の北側に発生する小さな低気圧によって雨が降りますので、雨のピークが2回あります(図4)。

図4 東京の時系列予報
図4 東京の時系列予報

 しかし、南岸低気圧そのものは、あまり北上しないことから関東北部の雨量は多くない見込みです。

 各地の10日予報を見てみると、短い周期で低気圧が通過するため、2月28日から3月1日、3日から4日、7日から8日と短い周期で、ほぼ全国的に雨となる予報です。

図5 各地の10日間予報
図5 各地の10日間予報

 このうち、3月3日から4日の低気圧については、これまでの南岸低気圧よりも北側を通る見込みですので、これまでと違って大雨の可能性がありますので、気象情報に注意が必要です。

 「雨が少ないと言っていると、雨が多く降りすぎて災害が発生し、年間を通してみると平年並みの雨量」などの事例は数多くあります。

 自然は帳尻をあわせてくる傾向があるということを認識する必要があります。

 油断できません。

図1、図2、図3の出典:気象庁ホームページ。

図4、図5の出典:ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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