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水原一平事件にリアリティ番組のスターが関与していた衝撃

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
水原容疑者の送金先だったボヤジアン(ペドランティのInstagramより)

 大谷翔平選手から1,700万ドルもの大金を盗んでいた水原一平容疑者が、有罪を認め、司法取引に応じる方針であると報じられた。今回の報道では、水原容疑者が歯の治療に必要だとして大谷選手から6万ドルをもらっていながらそれを着服し、大谷選手のデビットカードから勝手に6万ドルを引き出して歯医者に支払っていたということも判明している。親切をしてくれた人をそんな形であざむくとは、本当に考えられないことだ。

 だが、アメリカでは、新しくわかったもうひとつの事実も注目されている。これまで「アソシエイト1」と呼ばれてきた、水原容疑者が送金した相手が、人気リアリティ番組「The Real Housewives of Orange County」の出演者だったと判明したのだ。

 彼の名前はライアン・ボヤジアン。昨年放映された第17シーズンからレギュラーに加わったジェニファー・ペドランティの恋人として登場する。ふたりが交際を始めたのは4年前で、ペドランティがまだ元夫と結婚していたことや(ペドランティは元夫のラストネーム)、ペドランティと付き合ってからもボヤジアンが浮気をしたという噂もあったことから、ハウスワイフ仲間には、彼に良い印象を持たない人もいた。ペドランティと元夫の間には5人、ボヤジアンには過去に交際した女性との間にふたりの子供がいる。

すでに撮り終えた次のシーズンにもカップルとして登場する
すでに撮り終えた次のシーズンにもカップルとして登場する写真:REX/アフロ

 ボヤジアンは、旅行先のバハマでペドランティにプロポーズ。もし結婚することにしたら、お互い指に指輪のタトゥーを入れることにしようと話していたにもかかわらず、ボヤジアンは大きなダイヤモンドの指輪をプレゼントして、ペドランティを驚かせた。ペドランティは、その喜びを「People」に語っている。

 だが、その指輪を買うお金はどこから来ていたのだろうか。ESPNが報じるところによれば、胴元のマシュー・ボウヤーは水原が違法賭博で作った借金の送金先にボヤジアンを指定し、お金が届くとボウヤーとボヤジアンはカジノにある口座に送って、ふたりでギャンブルに使ったとのことだ。

 ボヤジアンは、証言をする代わりに罪には問われないことになったといわれる。しかし、盗んだのはあくまで水原容疑者であるにしろ、スーパースターである大谷選手に大きな被害を与えた事件に関与していたことは、番組と婚約にどんな影響を与えるのだろう。次のシーズンは、水原の違法賭博と借金が発覚するより前に撮り終えている。ボヤジアンの正体を番組のファンが知ってしまった今、その前に撮影されたものを平然と流せるのだろうか?この後、ペドランティが婚約を破棄したならば、なおさらそれらの映像は古いものになる。

 ソーシャルメディアの反応も、彼に冷たい。もともと浮気の噂でイメージが良くなかったことから、「こういうことがいつか起きると思っていた。彼を捨てなかったジェニファーはまともじゃないよ」、「ジェニファー、全力で逃げて!」などという書き込みが見られる。一方で、すでに撮影されたものよりもこれから起きることのほうがよっぽどドラマチックであるのは間違いないことから、「今こそカメラを回すべき」とのコメントも複数ある。

 番組を放映するのはNBCユニバーサル傘下のケーブルチャンネル、ブラボー。彼らは今、頭を抱えているに違いない。水原容疑者の罪状認否は、5月14日、連邦地裁で行われるが、裁判所から離れたところでも、この後まだ何か動きがありそうだ。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「シュプール」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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