首と頭の痛みを乗り越えて。日本代表の木津武士、サンウルブズ復帰へ着々。【ラグビー旬な一問一答】
日本代表のジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(HC)発案の強化システム、ナショナルデベロップメントスコッド(NDS)は第2回キャンプに突入。若手の日本代表候補らが都内に集まり、代表チームの戦術やスキルを会得する。
このキャンプには、ナショナルチームと連携を取るサンウルブズのメンバーも参加。国際リーグのスーパーラグビーへこの国から参戦するサンウルブズが海外遠征中の折、怪我などの理由で国内に残った選手がNDSで汗を流す。その1人が木津武士。身長183センチ、体重115キロの強靭な身体で鳴らす28歳だ。
スクラムの最前列中央に入るフッカーを務め、日本代表として44キャップ(国際真剣勝負への出場数)を保持。出身の東大阪市の小阪中学校時代は相撲でも実績を残しており、15歳の頃には9つの相撲部屋、18の相撲強豪高校、11のラグビー強豪高校から声がかかっていた。
サンウルブズへは2シーズン連続での参加を決めているが、現在は一時離脱リストに入っている。
神戸製鋼の一員として戦った先の国内シーズン中から、首の痛みに悩まされていた。さらに最近は蓄膿症(鼻に膿がたまって頭痛などを起こす症状)にも苦しんだ。3月6日からのNDS第1回キャンプ中、本格的な練習復帰を果たしたところだ。
率直かつユーモアのある語り口で、自らの意志やチームへの思いを語る。
以下、3月8日の練習後における一問一答の一部(編集箇所あり)。
――久々の練習参加でした。体調はいかがですか。
「一応、きょうが練習復帰です。蓄膿が先週もずっと残っていて、しんどいなか何とか神戸から東京へ来て、耳鼻科に行って薬をもらったのですがなかなか治らんくて…。蓄膿は小さい頃から持っていたのですが、4~5年前に久々になった。頭、めちゃくちゃ痛かったです。ですから体調は、すこぶる悪いです!(一同、笑う)」
――サンウルブズから離脱した原因は、首の痛みでした。
「(チーム始動後)3週間はリハビリチームに入れてもらっていましたが、ジェイミーやフィロ(・ティアティア、サンウルブズヘッドコーチ)と話し合って神戸でリハビリをすると決めました。この合宿から(状態を)上げていけたら…と思っていたところ、蓄膿で…。1週間前は寝込んでいました」
――復帰のめどは。
「最初に目指していたのは、3月25日にシンガポールであるストーマーズ戦あたりでした。自分も試合から離れているし、他のフッカーもどんどん離脱している(堀江翔太が休養、日野剛志が故障)。『早う復帰せな』という気持ちもあるんですが、まさかの別の病気でコンディションを崩してしまう、と…」
――堀江選手らが離れたタイミングで、スコット外だったパナソニックの坂手淳史選手が第5のフッカーとして追加招集されました。選手選考はあくまでティアティアヘッドコーチの専権事案ですが、ご自身のカムバックは考えにくかったですか。
「(自身は)NDSでしっかりコンタクト、スクラムができるようになって初めて『行こうか』となるんだと思います。このタイミングだと、やはり坂手が招集されるのはわかっていました。(最も首の状態が悪い時は)ベンチプレスも全く上がらなかった。さすがに『休まな、やばい』と思っていました。しばらくラグビーから離れ、いまはしびれもない。ドクターと話しながら、うまいことやっていきたいです」
――サンウルブズは開幕2連敗中(取材当時)。初代メンバーとして、どうご覧になりますか。
「メンバーもごろっと代わって難しい部分はあると思うんですけど、まだ始まったばかり。去年も最初はそんな感じでシーズンが始まって、だんだんよくなっていった。時間をかければ、いい仕上がりになってくると思います」
2015年のワールドカップイングランド大会時の日本代表キャプテンだったリーチ マイケルは、東海大学の同級生でもある木津にさまざまな相談を持ち掛けていたことで知られる。「ストレートに言ってくれるし、面白い」。頑健さと正直なコミュニケーションという魅力が、チーム力を高めるか。