佐藤栞里らのモデル部門からダンス&ボーカルグループ。レッスン4年、デビュー2年の自己肯定感
佐藤栞里、滝沢カレンらが所属するスターダストプロモーションのファッション部門の新世代で結成された、7人組ダンス&ボーカルグループ・MISS MERCY。ダンス経験のないメンバーがほとんどだった中で、4年にわたるレッスンを重ねて2022年にデビュー。現在はハイレベルのパフォーマンスとクールな楽曲で人気を高めている。個人では女優活動などもしながら、アーティストとしての熱量にはどんな想いが込められているのか? 2ndミニアルバム『Turn Up』の発売を機に、高身長組のRINA(小宮山莉渚)、COCONA(藤谷胡々菜)、YUKI(汐谷友希)の3人に聞いた。
大学生になって自分は背が高いと確認しました
――皆さん、背が高いですよね。いいことは多いですか?
YUKI 昔はコンプレックスで、いつも背中を丸めていました。この世界に入ってからモデルのお仕事などで、背が高くて良かったと思えました。
COCONA 普段MISS MERCYだと2人もいるし、自分が背が高い感覚を忘れていたんです。でも、大学では女の子より頭ひとつ大きいし、男の子とも同じくらいで、私は背が高かったんだと再確認しました(笑)。
RINA 私はたくさん食べていたら、背がどんどん伸びました。途中から、横に行かないように気をつけています(笑)。
――RINAさんは料理上手でありつつ、大食いの動画をSNSに上げたりもしていますが、何をどれだけ食べたとか、記録はありますか?
RINA 最近だとドーナツ14個です(笑)。甘いドーナツと甘くないドーナツを交互に食べたかったんですけど、お店に行ったのが早い時間で、まだ甘くないドーナツは出来上がってなくて。両方あったら、もっと食べられたと思います。
東京に憧れがあってレッスンを受けることに
――MISS MERCYは2022年のデビューまでに、レッスンを2018年から始めたそうですが、YUKIさんとRINAさんはもともとモデル志望だったんですよね。ダンスや歌に意欲はあったんですか?
RINA 私は宮城に住んでいて、東京に憧れがあって。ダンスレッスンも演技レッスンも東京で受けられると聞いて、やってみようかなと思いました。
YUKI 小さい頃、家で姉と踊るのが好きだったので、ダンスに抵抗はなかったです。ただ、ちゃんとした基礎はなくて、歌も人に聴いてもらうことはなかったので、自分の中では挑戦でした。
――COCONAさんはスカウトで事務所に入って、自分では何をやりたかったんですか?
COCONA 女優さんになりたいと思っていました。『科捜研の女』を夕方の再放送でずっと観ていて、大好きだったんです。ダンスや歌は事務所に入って1から始めました。
踊れなすぎていつも泣いていました
――今では『HIGHWAY』の詞に<舞とマイクは得意技>とあるように、バリバリに踊る皆さんですが、初心者からこのレベルに至るには、かなり頑張ったんでしょうね。
RINA 私はいつもロボットダンスと注意されていたくらい、踊りがカチコチになってました。レッスンの日が来るのが怖かったです。
YUKI 踊れなすぎて毎回怒られて。私も静岡から通っていて、レッスンのあとはいつも地方組でRINAと一緒に泣いていました。
COCONA みんな泣きながら練習していたよね。それでも頑張って少しずつ成長して、メンタルも鍛えられて今があります。
――COCONAさんはマーシーの歌姫と呼ばれていますが、歌は最初からバッチリで?
COCONA 事務所に入るまでは歌は好きでなくて、カラオケに行っても、ずっと耳をふさいでました(笑)。でも、レッスンで歌ってみたら、すごく気持ち良かったんです。
RINA 最初から上手かった! 歌手を目指して事務所に入ったのかと思っていました。
初めて会ったときからきれいな子だなと
――それぞれ初めて会ったときの印象は覚えていますか?
YUKI 覚えてます。COCONAとはレッスン場の階段で初めて会いました。制服でお母さんと一緒に来ていて、すごくきれいな子だなと思いました。
COCONA そうだった。YUKIはスーツケースを持っていて、地方から来たのかなと。私は陰キャだったので、自分からは話し掛けられないんですけど、YUKIは明るくニコニコと声を掛けてくれました。
YUKI 「おはようございます」ってあいさつして、「このあとダンスレッスンがあるんだ」と言ったら「私も」って。
COCONA たまたま一緒だったんです。
――その頃から“COCONA様”という感じだったんですか?
RINA それはありました。COCONA様と言われるようになったのは最近ですけど、もともときれいなお嬢様という感じでした。当時はレッスンを受けているメンバーが20人くらいいて、私はCOCONAと話すきっかけがなくて。徐々にメンバーが絞られてから、よく話すようになりました。
1人で東京に泊まるのが寂しくて
YUKI RINAは最初、レッスンを見学に来たんだよね。大鏡で右の後ろのほうに座っているのが見えたのを覚えています。首が長くて(笑)、「新しく入る子かな?」と思いました。
RINA まだレッスンを受けるか悩んでいた頃、「見学だけでも」と言われたので、見に行きました。
YUKI それからしばらく来なかったから、結局入らなかったのかなと思ってました。そしたら、ある日、事務所でまた見掛けたんです。レッスンに来たときから、どこかで見た気がしていたんですけど、「Seventeen」のミスセブンティーンのファイナリストのページに、私もRINAも載っていて。私と同じように、あのモデルオーディションをきっかけに事務所に入った子がいると聞いていて、「この子だったんだ」と知りました。
RINA 私も地方から来ていて、最初の頃に話していたのはYUKIくらいでした。私のお姉ちゃんと雰囲気が似ていて、すぐ馴染めて、一緒に泣いたりしてました。
――YUKIさんも当時から世話好きなタイプでした?
RINA 本当にお姉ちゃんのようでした。
COCONA 温かく支えてくれて。
YUKI でも、前にはいないよね(笑)。引っ張るというより、後ろからついていく感じじゃない?
RINA 遠足で列を作るとき、前と後ろに先生が付きますよね。そういうときの後ろ側の先生という感じ。
YUKI 先生になっちゃった(笑)。
RINA 普段はそうなんですけど、ホームシックで泣いていることもありました(笑)。
YUKI 私は家族が大好きで、1人で東京で泊まるのが寂しかったんです。
挑戦したい路線とストライクでビビッと
――MISS MERCYはクールでカッコいい系の曲が多いですが、皆さんは普段、どんな音楽を聴いているんですか?
COCONA K-POPが好きです。特にLE SSERAFIMのユンジンさんが推しです。
YUKI 私はVaundyさんと椎名林檎さん。以前はライブの動画ってあまり観なかったんですけど、Vaundyさんを観て、すごくいいなと思いました。椎名林檎さんはカッコ良くて、『罪と罰』や『長く短い祭』から『神様、仏様』の流れが好きです。
RINA 私はback numberさんやRADWIMPSさん。歌詞が響くバラードをよく聴いています。
――『Turn Up』のリード曲『Welcome To The Show』には、どんな印象がありました?
COCONA ビビッときました。挑戦してみたい路線の、どストライクだったので。
YUKI たぶん、みんなそうだよね。
COCONA 最初に聴いたときから、「この曲で新しい私たちを見せていこう!」と燃えていました。
キャッチーな振りを重心を落として踊ってます
――<わたしスーパースター>とか<I am brilliant革命家>とか、ガールクラッシュ的な曲ですね。
COCONA 自己肯定感を爆上げしてくれる歌詞がたくさんあります。自分をもっと見てもらいたい気持ちを、どんな歌い方で表現したらいいか、すごく難しかったです。特に3行目の<I got no ceiling>のところから、どう歌いこなすか。似ている路線の楽曲をたくさん聴いて、歌い方を取り入れたりしました。
――結果、どんな歌い方を意識したんですか?
COCONA ちょっと息を混ぜたり、ネチっこい感じで歌ってみたり、エッジを利かせたり。いろいろ研究しながら、練習しました。
RINA 英語が多くて発音も大変でした。普通に言えても、歌うと違ってしまったり。
――ダンスの難易度はどうでした?
RINA 有名なアーティストの振付をたくさん手掛けられているRuuさんに、監修していただきました。細かい振付が多くて苦戦しましたけど、ひとつひとつがすごくキャッチーでかわいくて。絶対踊れるようになりたくて、ダンス番長のSHUKAを中心に、みんなでたくさん練習しました。
――振りのポイントというと?
RINA 軸をしっかりしないといけない振りが多くて。重心を落として腰は動かさない。プラス、大きい動きが多いので、肩回しのストレッチやマッサージをしました。
YUKI 2人1組のペアになって。
――RINAさんは出だしでセンターで踊っています。
RINA 地元の仙台のイベントで初披露したときは、すごく緊張しました。最初がキマらないと、曲が台なしになってしまうので。任されたパートで責任を持ちたくて、両手を前に出すところから、息を殺しながらやった覚えがあります。
ウィンクでたくさんの人を落としてるみたいです
――先ほどの音楽の好みの話だと、今回の収録曲では、RINAさんはバラードの『Gravity』がお気に入り?
RINA そうですね。私はMISS MERCYの曲はダンスもリズムもメロディも好きですけど、歌詞もいいなと思うんです。『Gravity』は仲間やファンの人たちに向けている感じで、歌詞にも注目していただけたら嬉しいです。
――<魅せてウィンク>というフレーズもありますが、COCONAさんはライブで魅せるウィンクの威力がすごいですね。
COCONA 最初はウィンク自体ができなかったんです。片目だけつぶれなくて。だから、鏡の前で練習して(笑)、今はパフォーマンス中に結構やっちゃってます。ポイントはゆっくりつぶることと、手のポーズも付けることです。
YUKI ウィンクでCOCONAを好きになったというコメントもあって、たくさんの人を落としているみたいです(笑)。
ユーロビートの曲が転機になりました
――YUKIさんとCOCONAさんは、他に特に思い入れの強い収録曲はありますか?
YUKI 私は『UNSTOPPABLE』です。初めてユーロビートに挑戦しました。3ヵ月連続リリースで『Gravity』、『UNSTOPPABLE』、『STARGLOWS』という流れでしたけど、『Gravity』はウィスパーボイスの部分があったのが、『UNSTOPPABLE』では声を張り上げたり、まったく違うジャンルで驚きました。でも、自分たちの歌声が入った音源が出来上がったら、とても新鮮な楽曲に感じたんです。初披露でも、お客さんがすごく盛り上がってくださって。歓声に手応えがあって、ライブに欠かせない1曲になると確信しました。
RINA MISS MERCYの転機というか、方向性が一気に変わったのが『UNSTOPPABLE』です。コールにも初挑戦して、お客さんと一心同体になれたと初めて感じました。
――皆さんには新鮮だったでしょうけど、上の世代としては懐かしさを感じます。
COCONA 新曲の『HIGHWAY』もユーロビートの曲で、お母さんがこういう音楽を聴いていました。自分たちが歌うとは思ってませんでしたけど、持ち味になればいいなと思います。
――他のガールズグループにはないような。
RINA これからも自分たちの良さを貫いて、「MISS MERCYといえばこれ」というものを作っていきたいです。
ゴーカートに乗ってブチ上がりました
――『UNSTOPPABLE』のMVでは、ゴーカートのシーンもありました。
COCONA 楽しかったです! 運転するのは初めてで「事故らないかな。どこかに突っ込んじゃったりしないかな」と不安でしたけど、教えていただいたら、意外とちゃんと運転できました。
RINA COCONAはサングラスを掛けて、高級車に乗っているようでした(笑)。
YUKI ゴーカートの感じではなかったよね(笑)。
RINA MVの撮影ではダンスパートを何回もやり直して、激しい踊りだし寒かったし、みんなだんだん疲れてきていたんです。でも、最後にゴーカートに乗ることになって、テンションが最高にブチ上がりました。運転はMIYUとSARAがどうかなって感じで(笑)、IONは免許を持っているので安全運転。YUKIはサングラスを頭に上げて、ニコニコで楽しんでいました。
YUKI ゴーカートは遊園地で乗ったことはありましたけど、あれは結構本格的で。アクセルを踏むと風がフワッと来るのが快感でした。
自分たちの曲に背中を押されています
――MISS MERCYは前向きな曲が多いですが、皆さん自身もそういうマインドですか?
YUKI 曲に助けられている部分があります。自分たちの過去を通して、未来へ向かっていく歌詞が多いので、背中を押されていて。
RINA 自分たちに向けた曲、ファンの方に向けた曲、その関係性を描いた曲。パフォーマンスをしてお客さんに届けながら、自分にも言い聞かせていることが多いです。歌いながら成長できている部分はたくさんあります。
――落ち込むことはあまりないですか?
YUKI メンバーごとに落ち込むタイミングが違うので、誰かが落ち込んでいたら、誰かが助けてあげられます。
RINA 6年間一緒にいて、お互いの性格もわかっているから、そっとしておくときもあって。
COCONA 今は1人の時間が欲しいんだと思ったら、少し間を置いて、落ち着いた頃に寄り添います。
先輩方から吸収したものを発揮します
――今後、目指しているものはありますか?
YUKI LINE CUBE SHIBUYAでワンマンライブをしたいです!
RINA 私たちが初めてパフォーマンスをしたのは、事務所の「スター☆オーディション」のオープニングアクトだったんです。その会場がLINE CUBE SHIBUYAで、お客さんは公開オーディションを観に来た方たちだったので。今度は私たちだけのライブで満員にするのが、今後の目標です。
YUKI 近い目標としては、まず8月12日の渋谷duoでの3rdワンマンを必ず成功させること。2月から毎月「カケルMERCY」という対バンイベントをやってきて、先輩方から吸収させていただいたものも発揮したいと思います。
――「カケルMERCY」の最後のいぎなり東北産とのイベントでは、RINAさんが吉瀬真珠さんからリップロール担当を命じられたとか。
RINA 真珠さんが大好きなので、リップロールも頑張ります(笑)。あと、個人の活動で学んだこともたくさんあるので、それも役立てていけたらいいなと。
個人の活動とグループが繋がって知っていただけたら
――今出たように、RINAさんは女優の小宮山莉渚さんとして、映画『違国日記』が公開されて、ドラマ『ビリオン×スクール』にも出演中。YUKIさん、COCONAさんも個人の活動がある中で、MISS MERCYとはどうバランスを取っているんですか?
RINA 私は俳優の自分、モデルの自分、グループの自分と意外と切り分けられています。別々の日だったら、キュッと切り替えられます。ただ、同じ日に個人とグループの活動があると、切り替えの難しさを実感していて。それをどうするか、これから見つけていきたいです。
COCONA 私は今年から大学生になって、学業とグループを両立しながら、いろいろな作品に出演していけたらと思っています。
YUKI COCONAは休憩中もパソコンをカチャカチャやっていて、カッコいいよね。
COCONA 大学の課題に追われているので(笑)。
YUKI 私はすべて手探りの状態ですけど、個人での活動の場を広げて、汐谷友希としても見つけてもらって、グループでの活動も知っていただけたら嬉しいです。
――スターダストの男性グループでは、そういうふうに活躍してる人もいますよね。北村匠海さん(DISH//)とか佐野勇斗さん(M!LK)とか。
RINA 逆に、グループを通じて個人の活動も応援してもらったり、繋げていけたらいいですね。
汗をいっぱいかいて、お客さんにも跳んでほしい
――差し当たり、先ほど出た3rdワンマンでは、どんなものを見せていきますか?
YUKI タイトルが「Turn up Summer」で、夏を感じていただけるライブにしたいと思います。
RINA さわやかさもありつつ、汗をいっぱいかいて盛り上がって、お客さんにも跳んでほしいです。『Welcome To The Show』のような重低音バシバシの曲も作っていただいたので、カッコいい私たちも見てもらえたら。
COCONA 私はリードボーカルと言いつつ、歌はまだまだなので。今回のワンマンをきっかけに、パフォーマンスしているときの歌をもっと磨いていきます。
RINA 激しいダンスが多いので、歌声がブレないようにするのが、私たちの課題になっていて。
COCONA 高音パートを任されることが多いので、ブレずにスパンと出せることが、今回はカギになると思って頑張っています。
――日ごろから、ボーカルの向上のためにしていることもありますか?
COCONA ノドにはすごく気をつかっています。ライブ前にオリーブオイルをノドに流し込んだり。
YUKI それも「カケルMERCY」でAMEFURASSHIさんに教えてもらって、すぐ実践しました。今はメンバーみんながやっています。
COCONA 声が出やすくなった感覚があるので、欠かせません。
YUKI 私は2ndワンマンのとき、初めて2部制でやらせていただいて、1部で結構な体力を使ってしまって。2部の最後のほうはヘトヘトだったんです。今回はペース配分を考えて、体力づくりもしっかりしていきたいと思っています。
COCONA いぎなり東北産さんには走り込みを教わりました。
YUKI みんなで体力アップして、盛り上げていきます!
Profile
MISS MERCY(ミスマーシー)
「GIRLS NEW ERA(新時代の女の子たち)」をコンセプトに、2018年からプロジェクトが始動。2022年にシングル『Cinderella』でデビュー。2023年に「東京ガールズコレクション2023 SPRING/SUMMER」でオープニングアクト。2ndミニアルバム『Turn Up』が発売中。
『Turn Up』
3rdワンマンライブ「Turn up Summer」
8月12日<1部>14:30~<2部>18:00~渋谷duo MUSIC EXCHANGE