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【お腹が弱いランナーのために】消化器病専門医がすすめる大会前の食事、低FODMAP食とは?

たくや/ランナー医師、ランナー、ランニングコーチ

マラソンのスタート前のトイレは非常に混雑するので、お腹の調子は死活問題です。多くのランナーは、大会前日にカーボローディングとばかりに大量の食事を摂取します。その結果、当日の朝はトイレを頻回に利用することになったり、レース中にお腹の差し込みや便意でタイムロスするランナーもいます。そんなレース前やレース中にお腹のトラブルに見舞われる方は、大会前日や当日にどんな食事を摂取したらよいのでしょうか。

何故お腹の調子が悪くなるの?

マラソンの走力と同じように、消化する力も強い人と弱い人がいます。そしてたくさん食べるには訓練が必要です。胃腸が弱い人が訓練をしていないのに、突然カーボローディングとばかりに大量の食事を摂ると、胃腸が耐えきれなくなって膨満感を生じたり、差し込みや軟便になったりするのです。

そんなお腹が弱いランナーは、低FODMAP食を摂取することで症状が軽減するという文献が出てきています。

もともと低FODMAP食とはランニングとは関係なく、「過敏性腸症候群」というお腹のトラブルが多い方にすすめる食事として提唱されたものです。ですがランニングについても有用と言われるようになってきています。2019年末に公開された国際スポーツ栄養学会のウルトラマラソンの提言のなかで、「個人差はあるかもしれないが、レース数日前からの低FODMAP食は胃腸障害が大幅に軽減されることが示されており、さらなる研究が必要としながらも有用である可能性がある」と述べられています。食べながら走るウルトラマラソンのみならず、48時間の低FODMAP食の摂取は高FODMAP食に比べて1時間走での消化器症状が少なかったという文献や、日々のトレーニングの中での低FODMAP食でも消化器症状が軽減したという文献もあります。

低FODMAP食とは?

FODMAPとは小腸で吸収されにくく、大腸で発酵しやすい糖質のことです。そんなFODMAPが少ない食事を低FODMAP食といいます。低FODMAP食の糖質は小腸で吸収されるので、大腸でガスが発生しにくく、お腹の症状がでにくいわけです。

高FODMAP食と低FODMAP食の例:イラストACより改
高FODMAP食と低FODMAP食の例:イラストACより改

ランナーは一般的に、足腰が強くて胃腸も強いと思われがちです。ですがもともと胃腸が弱くてやせ型で、体力をつける目的で走り始めた方もいます。また胃腸の働きは加齢とともに低下していきます。ですので競技を続けていくうちに、だんだんと胃腸の症状が出てくることもあります。そんなランナーは、大会前の食事やカーボローディング、ランニング中の補食で低FODMAP食を試してみてはいかがでしょうか。

医師、ランナー、ランニングコーチ

41歳まで某大学病院の消化器肝臓内科で勤務、現在は都内の一般病院で内科医をしています。また、中学でランニングを始めて走歴は約40年、その経験を活かしてランニングステーションでコーチもしています。総合内科専門医・消化器病専門医・肝臓専門医・抗加齢医学会専門医、JMJA公認ランニングドクター他、資格は多数。フルマラソンの完走は67回でベストタイムは2時間50分31秒(2019湘南)。ランナーからよく聞かれることやランナーに伝えたい事を、科学的なエビデンスと経験をもとに記事を書いています。

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