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【河内長野市】ふるさと歴史学習館で楠木正成伝説展を開催!今更ながら史実とは違う正成の伝説を学べる機会

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野のミュージアムといえば、やはりふるさと歴史学習館ですね。とにかく無料で見学できるのがうれしいところです。

常設展示で河内長野に関する歴史が学べ、また定期的に行われる企画展も見ものです。くろまろの郷や花の文化園から近いのも良いですね。

さて、現在開催中の企画展はどんなものなのでしょうか?

今回は楠木正成伝説です。いわゆる「楠公さん」ですね。もしかしたら千早赤阪村のヒーローの印象が強く、さらに河内長野でも頻繁にこの名を聞くので、いまさらながらと思ってしまうかもしれません。

しかし、今回のテーマは河内長野市内に残る伝承について紹介しています。意外な発見があるかもしれません。

なお、今回は一部撮影禁止のものがあったのですが、ふるさと歴史学習館の館長より特別に許可をいただいて撮影しています。

こちらに展示物の一覧があります。正成の生きていた南北朝の時代から正成が「大楠公」と呼ばれて神格化されていた昭和初期までのものが展示しています。中には個人の方が所有している物も展示されています。

まず河内長野市の地図を見ながら、楠木正成伝承の残る場所を紹介しています。

この中のいくつかは、過去に記事にしたものがあります。しかし、まだ紹介していないものやこれを見て初めて知ったものがありました。これだけでも来た価値がありますね。

さてこちらに展示物があります。ふたつは文書で、左側は絵図面のようです。

いちばん右側の文書は個人の蔵から発見されたものです。南北朝時代の武将・畠山義深(はたけやまよしふか/よしとお)が隠棲(いんせい:隠居)したことが書いてあるそうです。少し畠山義深を調べると、北朝側として南朝と戦った記録があるようです。

こちらは真ん中の展示です。こちらも個人の蔵から発見されたようです。烏帽子形八幡神社についての説明が書いてあるとのこと。

いちばん左に展示していた絵図面です。これにはどんな意味があるのでしょう?

絵図面の説明です。これも個人の蔵に所蔵していた物のようです。烏帽子形八幡が上田八幡、烏帽子形城が長野城と呼ばれていたことがこの文書でわかるわけですね。

他にもいろいろと貴重な資料が展示してあります。

資料のほかパネル展示もあり、楠木正成由来の場所が紹介されています。

楠公通学橋などその歴史の意味がわからないと単なる道路や橋にしか見えないものなども含まれています。

物見の松や小野塚などは初めて知りました。このように「もう知っている。いまさらながら」と思いつつも、実際にふるさと歴史学習館に行けば新しい知識が得られるというわけです。

こちらのヤブセ(矢伏)観音は、実際に見に行った事があり、現在は大矢船北町から行けます。伝承話をイラスト付きで紹介していると子どもにもわかりやすいですね。

こちらは正成が幼少の頃に当時の観心寺の住職、瀧覚から四恩の教えを学ぶという伝承をイラストにしたものです。三日市町駅前にある大江時親から兵法を学ぶ石像も有名ですが、正成は兵法以外のものも学んでいたわけですね。

8月28日に行われていた声明・演奏・演舞法要
8月28日に行われていた声明・演奏・演舞法要

ちなみに観心寺は、今でも市を代表する寺院として先日も新しい試みが行われていました。このように正成が生きていた鎌倉末期から南北朝時代に存在していたものが現在でも現役で存在するという事を考えると、また感慨深いものがありますね。

さて、こちらは本来撮影禁止のものを特別に許可をいただいて撮影した二枚の掛け軸です。これは明治時代のもので正成親子が神格化していく過程で描かれたもののようです。

こちらは正成親子を書いた掛け軸の複製で、原画は近代日本歴史画の父といわれる小堀鞆音(こぼりともと)が描いたとのこと。

こちらは右側の親・正成の肖像画に書かれた文字「盡(尽)忠報国」で、西郷隆盛のいとこにあたる大山巌(おおやまいわお)が書いたもの。

こちらは左側の子・正行の肖像画に書かれた文字「忠孝両全」の説明です。日露戦争で活躍し、海外でも有名な東郷平八郎(とうごうへいはちろう)が書いたんですね。

最後に、たとえ史実とは異なったとしても、楠木正成伝説が歴史文化遺産であり、生き方や教育上の指針となり、さらに観光地化して地域発展の助けになったこと。伝説の背景や影響、人々の心性や歴史的事実に対するイメージを考えながら受け継ぐことの大切さが力説してありました。

例えば観心寺にある正成首塚ですが、史実では別人という説があり、正成の首は神戸湊川神社の近くで葬られたといいます。しかしそこで幕末に天誅組が集まって決起を行い、五條に攻めていったという事実は真実で、首塚伝説が新しい歴史を開く可能性もあるわけですね。

なお、取材でも撮影を控えてほしいという展示物がいくつかありました。なのでもし見たいと思われたらふるさと歴史学習館に足を運びましょう。

企画展、楠木正成伝説はふるさと歴史学習館で10月1日までの開催です。10月18日から31日までは河内長野市役所1階市民サロンで展示されます。

ふるさと歴史学習館の館長によると、11月に入るともっと大掛かりな企画展を計画中とのこと。次の展示会も楽しみですね。

河内長野市立ふるさと歴史学習館
住所:大阪府河内長野市高向2230-5
電話:0721-64-1560
開館時間:9:00~17:30
定休日:祝日以外の月曜日・祝日の翌日・年末年始
料金:無料 
アクセス:南海・近鉄河内長野駅からバス、奥河内くろまろの郷バス停から徒歩7分

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奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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