Yahoo!ニュース

【史上最年少名人ロード】藤井聡太竜王(20)挑戦権争い単独トップを維持! 豊島将之九段(32)に勝利

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 1月18日10時。大阪・関西将棋会館において第81期順位戦A級7回戦▲藤井聡太竜王(20歳)-△豊島将之九段(32歳)戦がおこなわれました。

 10時に始まった対局は23時43分に終局。結果は139手で藤井竜王の勝ちとなりました。

 藤井竜王はこれで6勝1敗。名人挑戦権争いにおける単独トップの位置を守りました。

藤井「ここまで苦しい将棋もあったんですけど、結果としてはよいペースで来れてるかなと思うので、残り2局も全力を尽くしたいと思います。僅差なのであまりトップという意識もないですし。あまりそういったことは意識せずに、次の対局も臨めればなと思っています。(残り2局)一局一局が大事になってくるので、しっかり集中して指せればと思います」

 もし藤井竜王が名人挑戦権を獲得し、さらに名人戦七番勝負を制すると、史上最年少20歳での名人就位となります。

 敗れた豊島九段は4勝3敗となりました。

豊島「残り2局残して、挑戦がかなり厳しいというか、望みが少ない状況になってしまったので。けっこう最近は毎年そういう感じになってしまいがちなので。なんかもうちょっと改善していけたらとは思います」

 8回戦一斉対局は2月1日におこなわれます。

 藤井竜王の順位戦通算成績は55勝4敗(勝率0.932)となりました。

 藤井竜王は現在、先手番で21連勝。今年度成績は40勝7敗(勝率0.851)となりました。

藤井竜王、名人挑戦にまた一歩近づく

 藤井竜王の先手で戦型は角換わり腰掛銀に。46手目、豊島九段が自陣に角を据えたところで前例から離れました。藤井竜王は角銀交換の駒得でポイントをあげたかにも見せますが、局面全体ではバランスが取れています。

 59手目。藤井竜王は三段目に玉を上がり、相手の攻めから遠ざかります。

藤井「一応、考えたことのある形で。▲4七玉で少し手を渡す感じになるんですけど。2筋の交換とかを含みにして、どうかなというふうに思っていました」

 対して豊島九段の手が止まります。考えること1時間35分。豊島九段は銀を打ち、自陣を補強しました。

豊島「△5二銀打つところで長考したんですけど。どう指せばいいかわからない・・・」

 79手目。藤井竜王は豊島陣一段目に飛車を打ち込みます。

豊島「確かに本譜も気にしていた順の一つだったんですけど、▲8一飛車打たれて、厳しかったような気がしました」

 コンピュータ将棋ソフトが示す評価値はほぼ互角から、少しずつ藤井竜王の側の点数が上がっていきます。藤井竜王は豊島九段側の攻めの主力である馬を追い返し、優位を確立しました。

 終盤、藤井竜王の側に珍しくミスがあったようにも見られます。しかし藤井竜王はその後、冷静に指し進め、形勢逆転には至らず。

 最後は藤井竜王が押し切って、豊島玉を受けなしに追い込みました。

 持ち時間6時間のうち、残りは藤井1時間2分、豊島2分。藤井竜王が大きな一番を制して、史上最年少名人にまた一歩近づきました。

 

 両者の対戦成績はこれで藤井20勝、豊島11勝。2月23日には朝日杯準決勝で対戦します。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

松本博文の最近の記事